第七話 七機のオートマキナ
今日はオートマキナの詳しい構造についての座学だ。
「やっぱすげぇなぁ、オートマキナ!!バランスの取れた合金フレームと超硬質セラミック装甲、しなやかな人工筋肉、でかい機体を支える小型でかつ大容量バッテリー……」
葛西は教科書を見つめながら恍惚としていた。
「あとはナノマシンが使われてるのか。用途は軽い自動修復機能と全体の微調整ね」
「オートマキナは通信性能も素晴らしいですぞ。量子暗号化された高速無線通信もある。男の子のロマンてんこ盛りですな、デュフフフ」
「そこの3人、私語は慎むように。熱心なのは良いことだがな」
「「「はい、教官」」」
しばし授業を熱心に聞き、オートマキナの構造と性能についてしっかり学んだ。
次はセクターJと統合地球の通信基盤についての授業だ。
「セクターJの都市通信はフォトニックバックボーンで接続されている。さらに軌道衛星ネットワークにより、インテグレーター様が各セクターを統合管理しておられる」
インテグレーター様、か……
「次に、軍事通信はすべて量子暗号化され、さらに君たちが搭乗するオートマキナ同士は戦術メッシュでデータを共有する」
その後、セクターJと統合地球についての詳しい通信網についての授業が続いた。
次の日。
「本日は生徒同士によるAMを使った実戦形式演習の準備を行う。今までの成績から、2名のチームリーダーをこちらで選んだ。新崎・A・ジェームス、三沢ヨハネ、両名前へ」
「はい!!」
「了解であります!!」
「ふたりとも、今ここにいる生徒から6名ずつ選抜し、合計7名のチームを編成しろ」
「ノエル、よろしくな」
「おう、任しとけ」
2人は自然にハイタッチを交わした。
相馬教官が小さく微笑む。
「いいコンビだな」
「ふん、あの乱暴なだけの小娘を選んだか。おい、お前」
「おう」
「お前の操縦技術はなかなかだ。チームに入れ」
「あいよ」
新崎は相馬から与えられた成績表を見つつ、一人の大柄な生徒をスカウトした。
ヨハネは、真田、寺崎、棚橋、葛西、瀬戸を選び、新崎も生徒を選び終えた。
「チームは決まったようだな。演習で使用する機体はすべて量産型オートマキナだ。ただし訓練用モジュールで各自カスタマイズできる。3日後までに、調整しておくように」
ヨハネたちは少し集まって作戦会議を開いた。
「調整できるんだな」
「調整?」
「ふむ、装甲を厚くしたい」
「命中率のいいスナイパーライフルがほしいな」
「ぼくはセンサーとかジャミング装置ですかなぁ」
「俺は作戦中修理とかできる機能ほしいぜ!!」
「私は救護とサポート特化ね」
「ふん、ワイワイと仲良しごっこか。おい、お前ら」
「なんだ?」
「とにかく火力とスピードで押しつぶすぞ」
「おう、やろうぜ」
和気あいあいと作戦会議をするヨハネのチームとは対象的に、事務的に話す新崎のチーム。
「カスタムの指針は決まったか?では実戦演習のブリーフィングは以上で終了とする。解散」
「ありがとうございました」
生徒全員が相馬教官へ一礼し、新崎チームはすぐに解散、ヨハネチームはオートマキナ格納庫のある上層階へと向かった。
格納庫の巨大なシャッターが開く。
そこには、10体の巨大な機体が並んでいた。
数人の整備兵が機体の点検をしている。
「さて、詳細を詰めるか」
「調整ってなんだ?」
「どんな戦い方をするのか、そのためにどんな武器を持つのか決めるんだ」
「なるほど、じゃああたしはブレードと軽めの銃がいいな」
「うん、それがノエルにはあってそうだ」
「俺は盾がほしい。それと制圧用の機関砲だな」
「やはり命中精度の高いスナイパーライフルだな。光学スコープもあればなおいい」
「僕は索敵ドローンとか、通信ジャマーを積みたいお」
「修理用のナノマシンと、作業用の追加アームがほしいぜ!!」
「私は医療機ね、怪我した人を収容できるよう、大型にしたいわ」
「よし、まとめたぞ。整備の人に注文してくる」
「俺も整備に加わるぞ!!」
ヨハネは整備員にそれぞれの希望を伝える。
さらに詳しいカスタムについて、葛西が熱く語りながら整備に加わった。
3日後。
「ではこれより訓練フィールドへ移動する。総員輸送機に乗り込め」
相馬教官の指示とともに、AMが積まれた2つの巨大な空輸機へチームごとに乗り込む。
数十分ほど飛行し、セクターJから離れた荒野が見えてきた。
訓練フィールドに輸送機が着陸し、ハッチが開いた。
「セクターJからこんなに離れたのは初めてだな」
「おおー!!でかい岩だらけだな!!」
「今回の演習は拠点にあるフラッグ搭載ドローンを守る形式だ。ドローンが破壊されるか、どちらかのチームメンバーが全滅、時間切れまたは降参で終了となる」
「あれか、オートマキナよりやや小さいな」
「あれを守るのか」
「確認は済んだな、では全員オートマキナに乗り込め」
ヨハネは灰色の機体へ、ノエルは銀色の機体へ乗り込む。
巨大なハッチが閉まり、操縦席の計器が光った。
「準備はいいな、ではカウントダウンを開始する。3,2,1、演習開始」
「いくぞノエル!!」
「ああ、やってやる!!」
初めての対人演習、その幕が切って落とされた。




