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灰色の未来に灯る福音  作者: 岩井朔太郎
始まりと出会い
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6/8

第六話 オートマキナでの初陣

「いよいよオートマキナまでたどり着いたな、三沢!!」

「やたら気合入ってるな、葛西」

「当たり前だろ!!技術者としてあんなもん見たら興奮しなきゃ嘘ってもんだ!!」

「そ、そうか」


 オートマキナのブリーフィング以降、葛西康弘は誰にでも熱く語っていた。


「さて、今日はオートマキナについての座学か」

「ワクワクするな!!一体どんな構造やシステムで動いてるんだ?」

「うるさいぞ、葛西、集中力が乱れる」

「なんだよ、はじめは楽しみじゃないのか?あれで思いっきりぶっ放すの?」

「別に。必要なら戦い、撃つだけだ」

「ほんとにクールだねぇ、はじめは」


 葛西康弘と寺崎はじめはいつもこんな感じだ。

 ふたりはいつもやり合ってるように見える。

 でも、ヨハネはそんな二人の間にいるのが、心地よかった。


「ヨハネ、飯だ!!」

「おお、ノエル、オートマキナの操縦うまくいったか?」


 別授業で、AM(オートマキナ)の操縦訓練に参加していたノエル。


「余裕だったぞ、これももらったしな」

『はじめまして』

「お、ノエルもLOGOSもらったか。まあAM操縦には必要だしな」

「こいつ面白いな」

「でも気をつけろよ?使い方次第じゃ危ない奴だ」

「大丈夫、アタシはアタシだ」


 本能的にLOGOSの危険性を感じているノエル。


「それより飯だ、腹減った」

「そうだな、葛西、寺崎、一緒に食べないか?」

「いいね!!ノエル、AM動かした感想聞かせてくれ!!」

「実際の操縦について興味がある」

「いいぞ、オートマキナはな――」


 食事を取りながら、短くAMについての感想を述べた。


「なるほど、かなり立体機動性が強いんだな、バーニアで加速と簡易飛行……」

「ふむ、AMの主武装は光学ブレードとアサルトライフルか。バランスが良い」

「ああ、飛び回って斬りまくって打ちまくった!!」

「酔ったりしないのか?」

「酔うってなんだ?」

「そういや自動車に乗ったときも車酔いとは無縁だったな」

「自動車か」


 一瞬ノエルの顔が暗くなり、ヨハネも顔を伏せた。


「ん?どうした二人とも?」

「自動車が嫌いなのか?」

「いや、なんでもないよ」

「大丈夫だ、自動車は速かったな。でもオートマキナはもっと速い!!」

「ならいいけど。でも高速移動もできるし、近接でも遠距離でも戦えるのか、夢が広がるな」

「問題ないなら構わない。遠距離狙撃には興味がある」

「ちょうど俺達も次の授業がAMの実践訓練だったな」

「実戦はちと苦手だが、その経験もメカニックには必要だ。頑張るぜ」

「実戦に勝る知識はない。体で射撃を覚えるとしよう」

「じゃあノエル、また後でな」

「おう、ヨハネ、頑張れよ!!」


 ノエルと分かれ、AM実践訓練へと向かうヨハネ、葛西、寺崎

「では、AM搭乗訓練を始める。各員乗り込め」

「LOGOS、AMに接続、起動しろ」

『はい、マスター』

 LOGOSのAR体が暗いコックピットを薄く照らし、電子音が鳴り響く。

 コックピット内の照明が点灯し、AMが起動、スクリーンに訓練場が映し出される。

「本訓練での仮想敵はAMホログラムだ。命中すればホログラムは停止する。成績は敵AMの撃破数、損壊度、自機へのダメージ、作戦時間などを考慮して行う。では、始め!!」


 教官、相馬雅史の言葉と同時に、訓練フィールドにホログラムが展開される。

 敵AMが、淡く青い輪郭を伴って立ち上がった。

「よし、LOGOS、敵勢力を分析しろ」

『結果:前衛近接個体が3体、後衛射撃個体2体、中央に指令を出している個体が1体です』

「前衛3体か、こっちは全部で8人……みんな、敵情報を送る」

「おっ、さすがヨハネのLOGOSは優秀だねぇ」

「ふむ、俺は牽制でいいか?」

「寺崎、頼む。後衛メインで」

「俺達はどうすっかな」

「葛西とあと3人、前衛を抑えてくれ。でも突っ込みすぎるなよ」

「あいよ!!」

「一人、俺と一緒に来てくれ、寺崎が牽制してる間に後衛を各個撃破する」

「了解しました」

「それじゃ行くぞ!!散開!!」


 8体のAMがそれぞれ動き出す。

「おらおら、やるぜやるぜ~~」

 葛西がアサルトライフルを乱射しながら、前衛の敵AMに向かって突っ込んだ。

 続けてクラスメイトの3人も、牽制しつつ突撃する。

 そこに敵後衛AMがスナイパーライフルを構えた瞬間。

「やらせんよ」

 寺崎のスナイパーライフルが火を拭き、敵後衛AMの小銃を揺らす。

「はじめナイス!!」

「葛西、よそ見するな」

「わかってるって!!」

 葛西は1人の仲間とともに一体の敵AMに取り付き、光学ブレードで応戦している。 

 同時に、ヨハネはフィールドの端を仲間とともに疾走し、敵後衛へたどり着いた。


「LOGOS、センサー妨害用のチャフをばらまけ」

『はい、マスター』

 フィールドの空気中に細かい銀片が大量に撒き散らされた。

「寺崎、できればこっちにも援護射撃を頼む」

「了解」

「いくぞ、後衛を各個撃破だ」

「りょ、了解しました」

 少し緊張気味のクラスメイトとともに、1体の敵後衛AMに迫るヨハネ。

 敵後衛の主武装はスナイパーライフル。

 近接戦闘には不向き。

 その弱点を見抜いたヨハネは、光学ブレードを引き抜き、一体の敵AMを切り裂いた。

「三沢、危ない!!」

 クラスメイトが叫んだ瞬間、ヨハネの機体の左腕に敵後衛の放った模擬弾が着弾した。

「ちっ、模擬弾でもやはり着弾した部分は動かないのか」

「ヨハネ、左側はフォローする、逆から回り込んで倒せ」

「サンキュー寺崎」

「お、俺もフォローする!!」

 先ほどヨハネと組んでいたクラスメイトが叫んだ。

「ありがとう!!残り行くぞ!!」

 ヨハネは右手に残った光学ブレードを握りしめ、寺崎の援護射撃とクラスメイトのフォローもあって、残る後衛敵AMも撃破した。


「ヨハネ、こっちは前衛が後2体だ!!」

 ヨハネ達が後衛を片付けている間、葛西たち四人は奮戦し、すでに前衛のAMを一体撃破していた。

「よし、油断せずに、各個撃破だ!!」

「おう!!」

「援護射撃を継続する」

 その後、1体ずつすべてのAMを撃破し、訓練は終了した。

「ふー、疲れたけどなんとかなったな」

「楽しかったぜ!!メカニックとしていい経験だった!!」

「良い模擬戦だった。データを分析しないとな」


「総員集合、模擬戦の評価を発表する」

 8人全員が敬礼し、相馬教官の前に直立した。

「まず、寺崎。良い動きだった。無駄がなく、全体を見られていた。これからも励め」

「ありがとうございます」

「次に、三沢。良い指揮だったな。これからが楽しみだ。だが、被弾したのは減点1だ」

「はい、以後注意します」

「次に葛西。張り切るのはいいが、高速移動中の無駄な乱射は命中率も低いし、残弾もなくなる。特に銃弾はただではない。減点3」

「すみません……」

「残りの者は目立った活躍もないが、大幅な減点もない。初陣の結果としては上出来だ」

「ありがとうございます」


「これからもインテグレーターフォースの一員として、精進してくれ。訓練は以上だ」

 全員再度敬礼し、相馬が去って授業は終わった。

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