第五話 軍学校と、オートマキナ
いよいよ巨大ロボット登場です。
教会襲撃から2ヶ月。
ヨハネとノエルは無事セクターJの軍事学校に入学した。
入学するまでの間、ヨハネはできる限りノエルに一般教養を教え、ノエルは水を吸うスポンジの様に吸収した。
「あー、今日もきつかったな……20キロも走らされるなんて」
「そうか?軍の学校だから、普通だろ?」
「まあ、そうなんだけどな、いてて」
「大丈夫か?」
そっとヨハネの足をマッサージするノエル。
「サンキュー。あ、いててて!!」
「痛いのは回復してる証拠らしいぞ?」
「ふたりは仲がいいな」
「デュ、デュフフフ、ノエルたん、僕にもマッサージを……」
「ノエルちゃん、マッサージはこうするといいわ」
訓練後、同じ部屋で休んでいた真田猛、棚橋薫、瀬戸エミリアが二人に話しかけたり、ちょっかい出してきた。
「エミリア、こうか?」
「そうそう、揉んだり押したりして」
「ぐっ、いたたた……でも疲れが取れるな」
「エミリアはさすがメディック専攻だな。いい腕前だ」
「真田くんは私がマッサージするわ。棚橋くんは……必要ある?」
「僕だって死ぬほど走りましたぞ!?」
「でもLOGOSでいかがわしいファイルを生成する元気は残っているな」
「こ、これは、ノエルたんとエミリアたんの絡みを……ブツブツ」
棚橋のLOGOSからチラチラ見えてくる銀髪と金髪の女性からみんな目を背けた。
その後、昼食を取りにダイニングホールへ5人で移動した。
「…………」
「…………」
食事前に無言で祈りを捧げるヨハネ。黙祷するノエル。
「ふたりともどうしたの?食べないの?」
「エミリア、先に食べるぞ」
「味気ない食事ですが、栄養は摂らねばですな」
「ああ、すまない、待たせた、食べよう」
「めし!!」
用意された食事は主食に大量の米、2枚のローストチキン、カラフルな温野菜、コーンスープ、バナナだった。
「温かいが、なにか物足りないな」
「そうだな、でも食えるだけまし」
「栄養最優先だものね、しかたないわ」
「コンカフェの食事がなつかしいですぞ」
「みんな、早く食え」
真田の一声で、時間がないことを思い出した。
全員作業的に素早く完食し、次の授業へ向かった。
「今回の授業は、オートマキナのブリーフィングを行う」
教官、相馬雅史がそう言うと、訓練生の前の壁が割れ、数十体の人型機体が現れた。
全長約30m。メインカラーは黒。金属製で無骨だが、どこか有機的にも見える。
「これがオートマキナか。でかいな」
「かっこいいな!!」
相馬の説明によると、兵士が搭乗して操縦する軍標準装備の量産人型兵器。
主に地球統合政府に反逆する外部組織を制圧するために使われる。
各兵士が持つLOGOSともリンクさせることができる。
それ以外の細かい仕様や運用上の注意を言い渡され、ブリーフィングは終わった。
「今日のカリキュラムは全部こなしたか」
「帰ろうヨハネ」
「ふふ、ふたりは本当に仲がいいわね」
「うむ、良いコンビになろうだろう」
「ノエルた~ん、こっちにも笑顔を!!」
帰路につく五人。
その様子を、監視カメラがじっと追随していた。
「ふむ、三沢ヨハネ、明坂ノエルか」
軍事学校、インテグレーターフォース、セクターJ司令室。
地球統合政府軍部統括、藤堂潤一郎は監視カメラが映す映像と、2枚の書類を交互に見る。
「一人は指揮官として、もう一人は兵士として将来性が見込める」
「仲間にも恵まれている。これからが楽しみだ」
「司令、なにか?」
「独り言だ」
「はっ、失礼しました」
「構わん、下がれ」
副官が下がり、一人司令室に残った藤堂は、不敵な笑みを浮かべていた。




