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運命の絆  作者: ふじわら
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第13章 山南敬介と今井恭子

前川邸 18時。


山南の切腹の時刻。


部屋には白黒の幕が張られていた。


山南の切腹場には、座る位置の前には三方と呼ばれる台の上に短刀が置いてある。


その前には幹部連中が、ずらりと座り込み、山南の切腹の立会をする為、集まっていた。


坂本達も呼ばれていた。


死装束に身を纏った山南が部屋に入ってくる。


山南は着座し全員にお辞儀をする。



介錯人は山南の意向で沖田が務める。


沖田は隊服を纏い山南の後に立つ。



山南は沖田に囁いた。



「沖田君、わがままを言って申し訳ない」

「いえ」

 

沖田は目を潤ませていた。



土方が厳しい表情で山南を見ていた。


「山南君時間だ」


土方の一言に頷き、山南は短刀を手に取り、短刀の下に敷いてあった、白い紙を短刀の取手に巻いた。



介錯人の沖田は刀を抜き上段に構える。


その時、納得がいかないわんわんが突然大声をあげる。


「待ってください!」


全員わんわんに顔を向けた。


近藤は睨みつけて叫ぶ。


「武士の名誉ある最後を止めるとは貴様何事か!!!」

「納得がいきません!!」


わんわんからすれば、たかが隊から脱走しただけで、なぜ死ななければならないのか疑問でならない。


現代人からすれば当然である。


犯罪でもないのに死ななくてはならない。


普通に考えれば理不尽極まりない。


だがこの時代には裁判などない。


組織が死罪を決めたならそれに従わなければならいし、それを止められる人間など、もっと上の人間でなくては止められない。


新撰組の上は会津藩、だが会津藩に言っても時間がない。


わんわんも今更、山南の切腹を止める事が、出来るとは思っていないが、人としてどうしても納得がいかないのである。


近藤は怒りは収まらなかった。


「貴様の罪は万死に値する」


坂本とのりおは顔が真青になった。


だがわんわんは臆さず近藤に突っかかる。


「上等じゃないか!命賭けで抵抗してやんよ!」


刀に手をかけたその時だった。


山南がわんわんを止めるため、席を立ち上がろうとした瞬間、山南の目を見て、任せろと合図をした男がいた。


土方である。


土方はわんわんの胸ぐらを掴み顔を力一杯殴った。


わんわんは吹っ飛び畳に背中をつけた。


土方はそのまま座り込み近藤に一言詫びた。


「近藤さんすまねぇ。副長の責任だ」

「歳何を言うか!!」

「納得がいかないか?ならば俺が責任を取って腹を切ろう」


土方は鋭い視線で近藤の目を見る。


近藤、土方は暫くお互いを見合っていた。


流石の近藤も土方を死なせる訳もいかず折りた。


「もうよい!山南君の最後の花道に、水差すわけもいかん」


しかし土方がここで思いもよらない事を言い出す。


「よくねぇ!これだけはハッキリ言わせてもらう!こいつの発言は俺も同じ思いだと思ってくれ」

「なに!!?」


土方は表情は、この場の全員が凍りつくくらい殺気に満ちていた。


それほど山南の死が納得が行かないし、悔しいのだ。



山南はそれを見て感極まった。


「土方君ありがとう。局長、私の死に免じて今回の鈴木君の件、許して頂きたい」


近藤はこれ以上何も言わなかった。


土方は一呼吸をして再び着座した。


山南は皆に一礼をして...



「新撰組総長山南敬介参る」



一言発して、力強く左下腹部から短刀を突き刺し、右下腹部に腹を掻捌いた。


すぐさま沖田は山南の首目掛けて介錯した。



山南敬介

新撰組脱走の罪で切腹

享年33歳

 


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