表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の絆  作者: ふじわら
PR
97/266

第13章 山南敬介と今井恭子

新撰組屯所八木邸。


山南と沖田が屯所に戻ると、隊士達は驚きの表情を見せていた。


永倉と原田が山南に近づき話しかける。


「山南さんなぜ戻って来たんだ!!」

「あんたこのままじゃ切腹だぞ!」



だが覚悟を決めてる山南は笑顔で返答した。


「承知の上ですよ」


原田は沖田を睨みつけた。


「総司なんで連れて帰ったんだ!」


沖田はもちろん逃げるように説得したが、名目上では山南の捕縛である。


「お役目だからですよ」


そう答えるしかなかった。


沖田は山南を近藤と土方の待つ部屋に連れて行く。



近藤は沖田に一言声をかける。


「ご苦労であった」


土方険しい表情で山南を見ている。


山南は座り2人に深々と頭を下げた。


「ご迷惑をお掛けしました」


近藤は一言だけ山南に告げた。


「山南君、士道不覚悟にて厳罰に処する」

「承知」


土方は立場上、法度に背いた山南を罰しなくてはならない、しかし心の奥底ではなんとか助けたいと思っていった。


「追って沙汰を申し付けるまで、謹慎とする」


近藤と土方は、こう言い残し部屋を後にした。


山南は別の部屋にて謹慎処分となる。


部屋の前には2人の隊士が見張りとして立っていた。


だが土方が近藤には内緒で、隊士との面会を許した。


もちろん山南が脱走を図らない事を見越してるのと、万が一脱走を企てて脱走したとしても、それはそれで見逃すつもりでもあった。


山南の元には沢山の隊士が面会に来た。


脱走を促す者や最後の別れに訪れる者、山南がどれだけの隊士に慕われていたのか、良くわかる出来事だった。



一方、新撰組の幹部達は、山南の処遇を決める話し合いが行われていて、坂本達もそれに参加していた。


話し合いは激昂し、なかなか前に進まなかった。


厳罰に賛成派と反対派の2つに割れていたのである。


賛成派

近藤勇、伊東甲子太郎、武田観柳斎、谷三十郎、鈴木三樹三郎


反対派

永倉新八、原田左之助、井上源三郎、藤堂平助


沖田総司はもちろん反対派だが、近藤の立場を考え、何も言わなかった。


土方歳三も同じく黙って聞いていたのである。


話し合いは平行線を辿っていたが、近藤が土方の意見を聞いた。


「歳よ、お前の意見を聞きたい」


土方は険しい表情をし口を開く。 


「局中法度は、新撰組の結束を固めるため、山南君と私が作ったものだ。それを破った者は例外なく切腹だ。これは山南君も承知の上、もはやこのような話し合いは無用である」


近藤は大きく頷き切腹の決断をする。


だが土方は近藤を決断を無視するかのように、更に話し続けた。



「だが、もし今後、局中法度の罰則を変えて幹部の話し合いで処遇を、決めるのであれば、反対はしない」

「歳!何を言ってる!」

「今まで通りの処遇なら切腹で反対はしないが、幹部で話し合って決めるんであれば、山南君の切腹は反対だ」


坂本は驚いた、局中法度を違反した者は、問答無用で切腹だったが、幹部の話し合いで処遇を決める事など聞いたことがない。


資料や小説等でそんな事実、聞いたことがない。



坂本達が来たせいで変わってしまったのか、元々こうゆう史実だったのか、わからなかったが、土方歳三が山南敬介を、どうにか助けたいと言う思いだけは坂本の胸に伝わっていた。


しかし近藤は断固拒否した。


新撰組の総長として局中法度を破った山南が、ここまで皆に慕われてる事を、実感すると嫉妬すら覚えてくる。


もしここで処遇を軽くすれば、今後誰かが山南を担ぎ上げ、自分の地位さえも脅かす恐れがある。


なんとしても山南を、切腹に追い込まなくてはならない。

 

「局中法度を犯した者は例外なく切腹。これを曲げるつもりはない!歳!暮れ六ツ刻(18時)に切腹と致せ」


土方は悔しさを押し殺して、近藤の決断を了承した。


山南敬介の切腹の真実は、近藤勇だと知った坂本であった。


土方はその足で山南の元を尋ねた。


「山南君、士道不覚悟にて暮れ六ツ刻に切腹を申しつける」

「承りました」


山南は深くお辞儀をした。


「介錯人は誰にする?」

「出来れば沖田君に」

「わかった」


介錯人とは切腹をした時に、苦しまないように息の根を止める役である。



切腹は読んで如く、腹を刺し死ぬまで苦しむ事になる。


それを如何に苦しませない様にするかが、介錯人の腕にかかっているのだ。


「切腹は前川邸でおこなう」


そう言い残すと土方は立ち上がり去ろうとした。


襖を開けて部屋を出ようとした土方は、立ち止まり山南に深く頭を下げた。


「すまない山南さん」

 

その目には大粒の涙を流していた。


山南は土方の行為に、驚いたがすぐ笑みを見せた。


「鬼の副長が頭を下げると隊士に示しがつきませんよ」


土方は無言で部屋を出た。


廊下を歩く顔は大粒に涙で一杯だった。



その頃、坂本達は庭で話し合っていた。


「なぁわんわん?麻美と恭子にはどうする?」

「言わない訳にもいかないだろ」

「だよなぁ」

「まぁショックを受けるだろうよ」


3人は重い足取りで麻美達の元に戻る事にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ