第13章 山南敬介と今井恭子
明け方頃、山南は大津に着いた。
寝ずに歩いていたので少し休む事にした。
丁度神社を見つけ、境内の階段に腰を掛けた。
疲れてたのか、山南は睡魔に襲われた。
暫く深い眠りについた。
どれくらい経過しただろうか、山南はふと目が覚める。
目の前に少女が立っていた。
どこか見覚えがある。
山南はニコリと笑い少女に尋ねた。
「どうかしましたか?」
しかし少女は何も言わず微笑んでいた。
「お嬢さん?」
少女は暫く微笑み続けて、振り向き歩いてその場から立ち去った。
山南は気になって少女の後を追った。
少女を追ってるとある異変に気がつく。
来る時と違って辺り一面霧で、何も見えなかった。
暫く歩いてると、少女立ち止まってこちらを見ている。
山南は少女の近くまで近寄った。
少女は微笑みを浮かべて山南に手を差し出す。
山南はその手を握った。
その時だった。
山南に信じらない事が起きる。
坂本達の幼い頃から現在の映像が、一気に山南の脳裏に走った。
しかもこの先に起きるであろう映像も脳裏に走った。
近藤勇の斬首。
土方歳三の洋装姿。
そして自分の死装束姿。
山南は驚愕し、そして気がつくと少女は消え、元の境内に少女に、手を差し伸べた同じ状態で立っていた。
周りを見渡したが少女の姿や、霧は消えていた。
山南は呆然として歩き出し町に向かった。
早く大津を出て江戸に戻る決意をした。
颯爽と大津を出ようと急足で向かった。
だがやはり運命からは逃れられないのか、町の外れで坂本と沖田に出会ってしまった。
「山南さん...」
沖田は顔を困惑した表情で山南に話しかける。
坂本はわんわん達の姿を探したが当然姿はない。
(何やってんだよアイツら!)
山南は暫く空を見上げ覚悟を決めて微笑んだ。
「山南さんなんで脱走なんかしたんですか!」
沖田は山南に詰め寄る。
「追手を沖田君にするとは、流石土方君ですね」
坂本は黙って2人の会話を聞いていた。
「これじゃあ抵抗もできませんねぇ」
沖田は、笑いながら冷静な態度を取る山南に半分呆れていた。
「もういいや。山南さんこのまま行っちゃてくださいよ」
「いや、戻りましょうか」
「なっ!何言ってるんですか!?このまま帰ったら切腹ですよ切腹!!」
山南は大きく頷いた。
「土方さんも同意の上ですから!!」
「甘いですねぇ〜土方君も」
山南は微笑んでいたが、坂本は土方の友情を感じた、本気の嬉しさの笑顔だと感じた。
「とにかく早く行ってください!」
山南は顔を横に振った。
「ここで見つかったって事は、私の運もここまでです。戻りましょう」
「山南さん!!!」
しかし山南は沖田の言う事を聞かなかった。
新撰組総長山南敬介脱走の罪にて捕縛。




