第11章 禁門の変
のりおの不機嫌は最高潮だった。
隣についてる遊女があまりにもブスであるからだ。
坂本には麻美が着き、わんわんには恭子が着き、山南には馴染みの遊女が着いた。
ブスはのりおにお酒を勧めた。
しかしのりおは断って自分でお酌した。
なにをどう思ったのかブスは勘違いをしていた。
「あら、照れちゃって可愛いどすなぁ」
「あん?」
ブスはのりおとの距離を更に縮め、更に密着する。
あからさまに怒りを露わにするのりお。
「女の子に慣れてないんだぁ可愛いねぇ」
ますます勘違いするブス。
のりおは無になった。
笑いを堪えながら見てる坂本とわんわん。
こそこそ話をしていた。
「あいつ可哀想だな」
「罰ゲームだなあれは」
のりおはこっちを見て泣いていた。
坂本はのりおが可哀想になり、他に女性がいないのか尋ねた。
山南も流石に可哀想に感じ自分の着いてる遊女に、他に余ってる遊女が居ないか確認する様に頼んだ。
暫くすると、新しい遊女が入って来た。
その顔を見た坂本達は驚いた。
坂本達の同級生の黒崎桜にそっくりだった。
化粧はしていたが、どっからどう見ても桜だった。
麻美は思わず尋ねてしまった。
「桜ちゃん??」
「え?私ですか?」
麻美は頷いた。
「咲ですけど」
名前は違ったが幼馴染の黒崎桜にそっくりであった。
桜はのりおに着きお酌をした。
のりおもあまりに黒崎桜に似ていた為、唖然としていた。
「そんなお友達さんと似てはるのですえ?」
「いや〜そっくりだ、顔もそうだが声も似てる」
「世の中、同じ顔の人が3人は居てはるって聞いたことがありますえ」
わんわんは坂本に呟いた。
「あれってさ、桜の祖先じゃないの?」
「わからんけど、そうかもしれないね。でも桜が京都出身なんて聞いたことないよね」
「うん。でもそっくりだよな」
この咲との出会いが坂本達の行く末の鍵となる。
夜もだいぶ老けてきたので解散となった。
のりおは咲とすっかり仲が良くなった。
また会いに来ることを約束し、店を出た。
麻美達も坂本達と帰る事にした。
全員だいぶ酒が入っていて酔っていた。
途中で浅い川を見つけた。
月明かりが川を反射しとても綺麗だった。
麻美と恭子は足だけ入って遊んでいた。
川は膝くらいまでの深さである。
その様子を坂本とわんわんとのりおは見ていた。
小学校の時にもよくあった光景である。
坂本はわんわんとのりおに言った。
「なー?落としちゃう?」
「川に?」
「やりますか」
3人は麻美と恭子を川に落とす事に決めた。
坂本達はゆっくり近づいていき、一気に麻美と恭子を抱えて川に投げた。
「きゃーーー!!!」
2人はびしょ濡れになった。
「もう最悪だ!!なにすんのよ!!」
「本当びしょ濡れになっちゃった」
3人は大笑いした。
2人の顔が水に濡れて化粧が中途半端に取れていた。
麻美と恭子も顔を見合って笑った。
「キョー化粧取れて大変な事になってるよ」
「麻美も凄いよ」
恭子は麻美に懐かしそうに言った。
「中学生の時にも同じことされたね」
「あーあったね」
「あの頃からだね、もっさんとわんわんが私達の事守ってくれたの」
「え?なにそれ?」
「知らないの麻美?」
「え?」
中学2年の時、麻美と恭子は中学のマドンナとして頭角を出していた。
当然狙っている男達も学年問わずかなりいた。
しかし中には、卑劣な手で2人を自分の物にしようと考える輩もいた。
その度に坂本とわんわんが動いて、陰ながら守っていた。
麻美は全く知らなかった。
恭子はのりおや守屋に聞いて知っていた。
坂本、わんわん、麻美、恭子の幼馴染の結束力は硬いのである。




