第10章 吉田東洋暗殺
吉田東洋暗殺計画を聞いた2人は悩んだ末、他の者達に斬られるぐらいなら、可愛がってくれた吉田を自分等で斬る事を決意した。
だが問題があった。
武市が暗殺を指示した那須信吾、大石団蔵、安岡嘉助の3名である。
土佐勤王党の長である武市が、暗殺を指示した事は3人にとっては名誉なことでもある。
簡単に譲って貰えるとも思えない。
しかし2人もこれだけは譲れない。
守屋達は3人と話し合い説得することを決めた。
3人とは顔馴染みではあるが、そこまで親しい仲ではない。
翌日の夜、守屋達は大石の邸に集まってる事を知り訪れた。
大石は2人の訪問を驚いたが、邸の中に招き入れた。
邸の中には打ち合わせ中だったのか、安岡と那須
が険しい顔つきで座って居た。
「2人共珍しいのぅ、どうしたがじゃ?」
守屋と拓司は正座した。
ゆっくり深呼吸をし守屋は口を開く。
「吉田東洋を俺らに斬らせてください」
唐突に言い放った守屋に対して3人は激怒した。
「なんじゃとぉ!!なぜおまんらぁがそん事を知ちょるが!」
3人は刀を握りしめた。
当然である。
この話は隠密であり、失敗は許されないのである。
しかも守屋達は吉田から気に入られてる事は、有名な話である。
それを自分らに斬らせて欲しいとは、おかしい話でもある。
「この間、隣の部屋で聞いてました」
「何じゃと...おまんらぁ吉田にこの事言ったんじゃないろうのぉ?」
「言ってたらこんな所にノコノコ来ませんよ」
大石達は顔を見合った。
「何を考えちょるか知らんけんど、譲る事は出来んき」
「こっちも吉田のおっさんを他の誰かに斬らせる訳にはいかないんです、武市さんのためならば、せめて俺らの手で葬ってあげたいのです」
大石は顔を強張せて2人に言い放った。
「帰りや、今の話しは聞かなかった事にしちゃるき」
「お願いします。俺らに譲ってください!」
「あかん、何度頼んでも変わらんき」
もはや平行線である。
これ以上は話しても無駄だと思い、守屋達は帰る事にした。
その帰り道に守屋達はある決断をする。
「なぁ拓司、こうなったらしゃーない。吉田のおっさんの側に居よう」
「どうするの?」
「暗殺の時にあの人らが現れたら...」
守屋は拓司に今後の動向を提案した。
吉田の側に居れば大石達の暗殺の日時がわかるのである。
2人はそのまま吉田の所に向かった。
吉田にこの頃物騒なので、警護したいと申し入れた。
吉田は大いに喜び守屋達を受け入れたのだが、正直警護などどうでも良かった。
守屋達を自分の側に置いときたかったのだ。
こうして、吉田と常に行動を共にした。
そして土佐藩を大きく変える運命の日を迎えた。




