第10章 吉田東洋暗殺
吉田と武市の会談から2ヶ月が立ち、守屋と拓司は、あれ以来定期的に吉田邸を訪れていた。
これは守屋がなんとか吉田と武市の仲を取りまとめたいと思った為である。
2人は相変わらずの上士嫌いではあったが、吉田の人柄もあってか、徐々に吉田に心を開いていった。
吉田は2人が訪れると、最高級のもてなしをし、更に会う時は側近は呼ばず必ず1人で会った。
これは上士嫌いの2人に配慮もあったが、何よりも心から2人を溺愛してたからでもある。
守屋は隙があれば吉田に、武市ともう1度会う事を促すが、だが毎回、はぐらかされてしまい上手く流されてしまっている。
吉田は武市と2度と会うつもりはない。
吉田に少しでも武市を認める事があったなら、吉田の運命は変わっていたかもしれないが、もはやあの武市と言う水は、吉田と言う油に弾かれてしまっているのだ。
1862年 5月1日武市は、那須信吾、大石団蔵、安岡嘉助を道場に呼んだ。
3人は自分らがなぜ武市呼ばれたのかわかってない。
3人は武市と向かい合い座り、武市の横には平井収二郎が座っている。
ただならぬ空気感に3人は緊張した様子であった。
そして平井は口を開く。
「今日呼んだのは、おんしらぁにしか出来ん事じゃ」
「何ですろうか」
「今、我等勤王党が置かれてる立場が危ういのじゃ」
「吉田東洋ですろうか」
「そうじゃ、吉田がいる限りワシらの悲願である、攘夷が実行できながじゃ」
3人は全てを察した。
「先生わしらぁが吉田を斬りますき」
「やってくれるか」
「わしらぁが斬ったら必ず土佐勤王党...武市先生が土佐の実権を握れるですろう?」
「もちろんじゃ、反吉田派の上士の方々とは話がついちょるき」
3人は顔を見合わせて深く頷いた。
「おまんらぁ事が済んだら脱藩して、長州に行きや、全て話は通してあるき、心配ないぜよ」
武市は一言も喋らなかった。
これは武市がなんの関与してないと言う意思表示であったが、覚悟を決めた3人に,武市は涙を流しながら、力強く1人ひとりの手を握った。
だがこの話を隣の部屋から盗み聞きをしてる2人が居た。
守屋と拓司である。




