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運命の絆  作者: ふじわら
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第9章 土佐勤王党

土佐勤王党には約200人程の加盟者が集まった。


武市が心配していた龍馬も、他の下士の説得もあって加入する事になった。


土佐勤王党は血判状を作っており、土佐で最初にサインしたのは龍馬であった。


龍馬に最初にサインさせる事で、他の者達がその後に躊躇せずにサインさせるためでもあった。


武市に思惑通りになったのだ。


いかに龍馬が他の下士から慕われてるかわかる血判状であった。


この土佐勤王党には多くはないが、上士の加盟者もいた。


加盟した上士は主に反吉田東洋派であった。


この土佐勤王党結成はすぐ吉田派の上士に露見してしまう。


上士は武市の動きをずっと探っていて、下士の一部の連中を金で雇い見張っていた。


その中の1人が岩崎弥太郎である。


岩崎は金さえ貰えばなんでもやる男である。


頭も良く、吉田東洋や後藤象二郎にその才も買われていた。


この男が後の三菱創立者、岩崎弥太郎である。


岩崎はこの後、坂本達と大きく関わってくることになるがそれはまた別の話で。


土佐で勤王党が結成された事で長州の勤王派は大いに喜んだ。


だが大半は下士で構成されている為、力は全くと言っていいほど、皆無に等しいのである。


武市は何度も何度も吉田に会見を申し出たが、吉田は全く相手にしなかった。


結成して半年近く経っても状況は全く変わらなかった。


その結果なんの進展がない状況に、苛立ちだす勤王党の志士達は、党を抜けると言い出す者も出てきた。


武市は必ず土佐藩を尊王一色染めると公言していたからである。


武市は焦っていた。


これでは土佐勤王党だけではなく、長州からも見放されてしまう恐れがある。


そこで武市は守屋と拓司に、吉田と会談を開かせる為、使いを立てることにした。


井口村事件から約1年が経ち、2人は武市に弟のように可愛がられ完全に信用しきっていた。


2人は武市のためになるならと、快く快諾した。


武市は2人が吉田から気に入られて、会いたがってる事を武市は知っていた。


それを利用しない手はないと思ったのだ。


もちろん2人はあの事件以降、上士に対して敵意を持っていたのだが、武市の為になるならと押し殺した。



2人は吉田邸を訪れた。

守屋は門を力いっぱい叩くと、中から使用人が現れる。

守屋は尋ねた。

「東洋様は居ますか?」

「どちら様ですろうか」

「守屋と拓司が尋ねて来たと伝えてください」


使用人は2人を怪しげに見つめながら、吉田の元に向かった。



暫くすると、大きな足音が聞こえてくる。

足音の正体は吉田だった。


吉田は2人を見て大いに喜んだ。


「おおーおまんらぁやっと来てくれたがか」


守屋はお辞儀をした。


「ご無沙汰してます」


だが拓司は事件を引きずってるのか、吉田から目を逸らしていた。


「さっさっ!とりあえず中に入るがじゃ」


吉田は2人を邸の中に招いた。


部屋に連れて行くと、すぐお酒と食事を用意させ、2人をもてなした。


「さっ、2人とも遠慮しないで飲むがじゃ」


吉田は上機嫌で酒を注ごうとしたが、守屋は手を前に出し断った。


「酒は話のあとでもいいですか?」

「ん?なんじゃ?何でも聞きや」

「今日は武市先生の使いで来ました」

「なんじゃと...」


吉田の顔色が一気に怖ばんだ。


「申してみよ」

「先生は土佐藩を攘夷実行を目指しています。1度先生にお会いしてもらえませんか?」

「会ってどがいするがじゃ、おまんらぁ攘夷を実行したらどうなるか、わかってて言っちょるがか?」

「わかってますよ、日本は外国に潰されるでしょうね」


吉田は激怒した。


「それがわかってるならなぜ武市に味方すがじゃ!!」


守屋は眉一つ動かさず答える。


「先生の要望ですから」

「こんバカもんがぁ!!!武市と日本の行く末どっちが大事なんじゃ!!」

「吉田様にはわからないと思いますよ。俺らは日本の未来より義理をとります。ここまで生きて来れたのも先生や下士の人達のお陰です」


吉田は黙り込んだ。


「私は私の考えを突き進みます。吉田様も吉田様の道を突き進んでみてはどうですか?」


「自分の道か...」

「そうです。先生と会って話をしてみてはどうですか?話してみて先生を否定するなら仕方ないと思います」


吉田は暫く考え込み武市と会う決断をした。


「武市に伝えやぁ、会っちゃると」


守屋は吉田の決断に深くお辞儀をした。


そして3日後、武市は吉田会談することになった。


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