第9章 土佐勤王党
どんちゃん騒ぎし、3人は泥酔し、それぞれの遊女と同じ布団で、イビキをかきながら寝ていた。
全員全裸だった。
そしてそのまま朝を迎えた。
太陽の日差しが拓司の目に差しかかり、眩しく目が覚める。
「んー。頭っ痛ぁぁ」
拓司は状況がいまいち把握出来ない。
しかし、横に一緒に寝てる遊女に気がつき、慌てふためく。
(なななな、なんで!!しかも全裸だしぃぃぃどう言う事だぁぁぁヤッタのかぁぁぁ、全然覚えてない)
拓司が慌てふためいてると、一緒に寝ていた遊女も目を覚ます。
「拓司さんおはようさん」
ニコリと笑う遊女。
「お、おはようございます」
拓司は目を背けながら挨拶を交わす。
それもそのはず、胸を隠さず堂々としているからである。
拓司は恐る恐る遊女に尋ねる。
「あの〜昨日僕は...その...やったんでしょうか...」
遊女は笑って答える。
「うふふ。そいは内緒じゃき」
「ええええええっ」
「気になってまた来てくれるじゃろ」
可愛い笑みを浮かべ、拓司は胸がときめいた。
まさに小悪魔である。
「あのぅお名前を聞いてもいいですか」
「アイ..ですき」
「アイさんですかぁ」
「また来てつかんさいねぇ、待っちょりますき」
そう言うと、アイは拓司の頬にキスをした。
拓司は完全に恋に落ちてしまった。
暫くすると、守屋と中平も同時に起きた。
2人とも酒が残っており二日酔いである。
かなり辛そうだった。
3人は店を出て家に向かった。
家に着くと3人は酒が残ってるせいか、縁側で横になっていた。
そこに北添、望月が訪ねて来た。
「おはようさん、なんじゃおんしらぁ、朝からぐっちょりして」
中平は目だけ開けて答えた。
拓司と守屋は起きずに寝ていた。
「おはようさんです。夕んべ龍馬さんと飲んじょって...」
「知っちゅうき、そん件で来たがじゃ」
「なんですろうか」
「龍馬さんに余った銭もろうって来ちくりって言われたがじゃ」
中平は動揺した。
守屋と拓司は今な話で目が覚めたが、自分らが昨日全部使ってしまった事を、何となく覚えていた。
しかも自分らが中平を煽って使わせた事も、覚えている。
2人は同じ事考えていた。
寝たふりを決め込もうと...
望月は中平に金を返すように促す。
「ほら、早よせんかちぃ、龍馬さんの話しだと5両ほどは、余っちょっとるって言ってたがぜよ」
中平は冷や汗が全身に出てきた。
北添は中平の様子を見て察した。
「中平、おんしらぁ、さてはみな使こうてしまったじゃなかか」
「いや...」
望月は驚いた。
「なんじゃちぃ!おんしらぁ一晩で、10両も使こうってしもうたがか?」
「いや...あれは守屋君と拓司君が...」
2人はドキッとしたが、寝たふりを決め込めている。
望月はため息ををつき、呆れて物も言えなかった。
北添は中平に、龍馬に謝罪しに行くように促した。
とりあえず望月は寝たふりしている2人を、叩き起こし、龍馬の所に向かわせた。
龍馬は桂浜に居た。
海を眺めながら、自分の行く末を考えて居たのである。
龍馬時々ここに来ている。
海の広さを見てると、自分の小いささを、思い知ることが出来き、自分の存在を知ることが出来る。
武市と共に歩むか、現状のままこの土佐で生涯を全うするか、悩んでいたのである。
そこに望月達が姿を現す。
「おーい龍馬さん」
「ん?おお、おまんらぁか、昨日は楽しかったのぅ」
中平達は頭を下げた。
望月は龍馬に守屋達が、全て金を使った事を告げた。
「なにぃ、全部使こうてしまったがか」
ここで守屋は訳のわからん言い訳をした。
「龍馬さんの顔を潰す訳には、いかなかったんで...」
これには望月が激怒し守屋の頭をこついた。
「痛ッッ」
「おんしは、何を言っちょるがぁぁ詫びらんかいぃ」
守屋は頭を手で押さえて、龍馬に頭を下げた。
龍馬は大声で笑った。
「チャチャチャ、ほんま愉快だのぅ、ええき、銭は天下の回りものちゅって言うがじゃろ」
3人は龍馬の器の大きさを知りつつも、頭を下げて謝罪した。
龍馬は守屋を見て昨夜の発言を思い出した。
「そういやおんし、夕んべワシに可笑しな事を言っちゃったなぁ」
守屋は首を傾げた。
「なんか言いましたっけ」
「ワシが薩長同盟がなんとか...って」
守屋は動揺した。
全く覚えてないが、薩長同盟の言葉を知ってるのは今の段階では、守屋と拓司だけなのである。
当然説明する訳にもいかないので、覚えてない事にした。
「まぁええき、全員座って海を一緒に、眺めんかぁ」
龍馬に言われた通り全員座って海を眺めた。
龍馬はいつになく、真顔になり語った。
「こんからはぁ海の時代じゃき、ワシはいつか海に出よっち思うちょる、おまんらぁもよく考えて行動するがぜよ」
望月と北添は頭を傾げていた。
言ってる意味が大きすぎて、理解出来なかったのである。
この2人が少しでも龍馬の言ってる事を理解出来たなら、もしかしたら池田屋で命を落とす事はなかったかもしれない。
この後、時代の先を行く、龍馬の考えはこの頃から、少しずつ芽生えていたのかもしれない。




