第8章 悪夢
坂本が寝小便をして起きるもう少し前まで、時間はさかのぼる。
全員寝静まる中、わんわんは夢を見ていた。
濃い霧の中歩いている。
しばらく歩いていると、霧が段々と晴れてくる。
霧が晴れると夜の街中に出てくる。
「ん?どこだ?」
わんわんは周りを見回しながら歩いている。
すると前から浪士が5人歩いてくる。
5人は道いっぱいに広がり歩いている。
避けようにも避けられない、このままじゃ完全にぶつかる。
「ぶつかるじゃねーか。避けてくれ」
わんわんは浪士達に促した。
しかしそれを無視して、わんわんに向かって歩いてくる。
「おいおい」
ぶつかる瞬間に、相手を突き飛ばそうと、わんわんは両手を前に出した。
しかし、浪士達はわんわんをすり抜ける。
わんわんは目を疑った。
「透明人間...」
後ろを振り向き浪士達を目で追った。
浪士達はT路地で止まり、目の前の邸を眺めてる。
わんわんは気になり、浪士達の近くまで寄る事にした。
浪士の1人が邸の扉を叩く。
すると中から主人らしき男が出てくる。
男は札を何やら見せてる。
主人はそれを受け取ると、中に戻って行く。
主人が中に戻った瞬間、浪士達は刀を抜き、邸になだれ込んだ。
わんわんは何事かと、浪士達の後を追った。
邸の中に入ると、体の大きい男が階段の下で、背中を斬られて倒れている。
2階を見渡しわんわんは、階段を登り、浪士達を追った。
ここは宿なのか、いくつもの部屋がある。
長い廊下を歩き突きあたりの部屋にたどり着く。
部屋を覗き込むと、浪士達は2人の男を斬っていた。
2人の男は血だらけになりながらも、短刀で応戦していたが、1人は頭を斬られ、もう1人は背中を向けて、串刺しの様に背中を突かれていた。
浪士達は何かを話し込んでいたいたが、会話は聞こえない。
そして刀を納め、部屋から颯爽と出て行った。
わんわんはその場に立ち尽くしていた。
何がなんだかわからない。
壁に寄りかかり座り込んでる、頭を斬られた血だらけの男が、突然顔あげわんわんを見た。
その目は頭から流れてくる血で、真っ赤に染まっていて視線は、体が凍りつくくらい鋭かった。
そして見えないはずのわんわんに、血だらけの男が話しかけてくる。
「おまんも、きぃつけなければ、こうなるぜよ」
「見えるんですか」
わんわんの問いかけを無視するかの様に、再び話し出す。
「おまんのゆく道は、アイツらが必ず必要じゃき」
「アイツら...」
そう言うと男は目を瞑り頭がガクンと落ちた。
ここで、部屋に息を切らせながら2人の男が入ってくる。
坂本とのりおだった。
「えっなんで」
坂本は膝からガクンと落ちた。
2人は部屋の状況を見て絶望してる感じだった。
突然で驚くわんわん。
当然2人にはわんわんが見えない。
2人は何かを話してる様子。
もちろん会話は聞こえない。
すると突然、坂本達の背後から刀を握りしめて、
坂本達に襲いかかる2人組が現れる。
守屋と拓司である。
坂本とのりおは刀を抜き応戦。
強い口調で話しながら戦ってる。
わんわんが戦いに気を取られてると、後ろからさっきの男が立ち上がっていた。
男はわんわんに話しかける。
「こんな事しちょっても、なんちゃ変わらんがぜよ」
急に後ろから声をかけられ、驚き腰が抜けた。
男は懐から短銃を取り出し、銃口をわんわんに向けた。
わんわんは恐怖した。
そして笑いながら男は短銃を発射した。
「うわぁぁぁぁぁ」
わんわんは大声で悲鳴をあげると同時に、目が覚める。
隣では坂本とのりおが寝ている。
悪夢だった。
あまりの恐怖で息も荒くなって、大量の汗も出てる。
わんわんは水が飲みたくなり、台所に向かうことにした。
台所に向かう途中に、トイレの前を通った。
思い出したかの様にトイレに入る。
用を足していると、突然腰からお尻付近に冷たさを感じる。
びっくりして振り返ると、酒臭い隊士が酔っ払って、わんわんに向けて小便をかけていた。
「おいぃぃ何してんだよぉあんたぁ」
「ウィィィッ」
わんわんは力一杯押し倒す。
完全に酔っ払て状況が、わかってない。
「マジで最悪だ」
わんわんは急いで台所に行き、服を脱ぎ水をかけた。
しかしこれを干す所は部屋しかない。
朝になって干されてるのを見られたら、漏らした様にも取られる。
説明しても坂本は信じないだろうと思った。
ならどうするか...
大変な事になった。
それと同時に坂本に対し怒りが湧いてくる。
坂本が居なければ、絶対信じてもらえる。
あの冷やかし野郎...と
理不尽に勝手に怒り出す。
するとそこにオケを発見する。
オケを見つめて閃く。
「これだ」
オケに水を入れて、部屋に戻った。
部屋に入るなり、わんわんは坂本の下半身までゆっくりと捲り上げた。
そして水を掛け、布団を元に戻す。
オケはそのままにして、濡れた服のまま、眠りについた。
これがわんわんの一連の行動だった。
つまり全ての始まりは、わんわんであって、誰1人寝小便をしてなかったのである。
だがわんわんは坂本に水を掛けた後のことは、全く知らない為、まさかこんな連鎖反応が起きてるとは、夢にも思ってなかった。




