第8章 悪夢
麻美と恭子、坂本とのりお等の騒動が収まり、再び眠りについた。
太陽が顔を出し、雀が鳴き響く早朝。
今度は恭子が夢を見ていた。
深い霧の中、恭子は歩いている。
横には2匹の子猫が一緒に歩いてる。
「どこここ?」
歩いてると、段々霧が晴れて来る。
霧が晴れると、見覚えのある場所だ。
「八木邸の前...」
慌しく出入りする隊士が数人いる。
八木邸から坂本と麻美が出てくる。
2人は深刻な顔をしながら歩いて来る。
恭子は2人に話しかけた。
「ねぇねぇ?私なんでここに居るの?」
しかし2人はなんの反応もない。
それどころか恭子をすり抜けて行く。
「え?」
そのまま前川邸に入る2人。
状況が全く理解出来ない。
唖然としてその場に立ち尽くしていると、ありえない事が起きる。
恭子がわんわんと、八木邸から急足で出てくる。
「わ、わたし...」
2人は急いでる様子だった。
恭子は後を付けることにした。
もう1人の恭子とわんわん、その後ろに恭子、更にそれについて来る子猫2匹、なんとも言えない異様な光景である。
2人は前川邸の端の十字路で止まった。
恭子は前川邸の小窓に向かって必死で話し込んでいる。
わんわんはそれを見守るかの様に、2、3歩離れて立っている。
「誰と話してるんだろう」
恭子は2人に近づき、自分が誰と話してるか窓を覗いた。
しかし誰もいない。
声も全く聞こえない。
だがもう1人の自分は、その小窓に向かって、必死で話してる。
奇怪な光景である。
後ろに居たわんわんが、もう1人の恭子の肩に手を優しく添えた。
もう1人の恭子は地面にへたり込み、号泣する様子だった。
状況が理解できない恭子。
その時だった。
小窓の中で真白い服装で、男が短刀を持って立って居た。
だが顔がよく見えない。
男は短刀を自分の首に当てて、力一杯静脈を斬った。
首から大量の血が飛び散り、男はそのまま倒れた。
飛び散った血は恭子にもかかり、全身血まみれになった。
恭子は一瞬の出来事で理解出来なかったが、手で顔を触り、血を確認しパニックになり悲鳴をあげた。
「キャーーーーーーァァ」
それと同時に目が覚め、恭子は飛び起きた。
悪夢だった。
恭子の心臓は鼓動が早くなっていた。
恭子の慌しい起き方で、麻美も目が覚める。
「どうしたのキョー?」
「怖い夢見たの」
「そうなんだ。てかもう朝だね」
外は明るくなっていた。
「本当だねぇ」
麻美は思い出した様に、手で下半身を触り確認した。
「乾いてる...」
「あっ私も...」
2人は安堵し、起き上がって布団を畳みだした。
畳んで最中、麻美は部屋の隅に置いてあるヤカンに気がつく。
「何このヤカン」
「寝る時あったっけ」
「なかったと思う」
不思議に思いながらも、布団を畳み続けた。
暫くすると、八木家の使用人が、朝食の用意が出来たことを告げにくる。
麻美達は隣の部屋寝てる坂本達を起す。
坂本達は眠そうに起きた。
起きるやいなや、坂本とのりおは思い出した様に、ゆっくりと下半身を触って確認する。
乾いていたのか安堵した顔をしている。
「さて朝飯くうかなぁ」
坂本は大きなあくびをしながら、大声で言った。
この後、4人の駆け引きが始まるとも知らずに、朝食がある部屋に向かった。




