第8章 悪夢
夜もだいぶふけて来て、寝る事にした。
池田屋事件の事もあり、全員すぐに深い眠りに付く。
坂本は夢を見ていた。
深い霧の中歩いている。
暫く歩いてると、霧が晴れて来る。
それと同時左から、大勢の怒声が聞こえ、こっちに向かって来る。
鎧を着て刀、槍、馬に乗ってる武将らしき人もいる。
旗印が見える。
あれは薩摩と長州の旗印...
同時に右からも同じように大勢が向かって来る。
旗印は徳川と会津である。
戦場なのか...
そこの中心に自分が立っている。
坂本は臆して腰が抜ける。
そして、自分をすり抜け、両軍は混じり合い斬り合いが始まる。
坂本は驚いた。
透明で誰も坂本が見えないのだ。
腹部を斬られ、頭から血を流し、悶える者や喉を突かれ即死する者。
これが戦なのだ。
暫く見てると新撰組の隊服を着てる男達が、戦っている。
その姿を目で追ってると、信じられない光景が、目に飛び込んで来る。
わんわんとのりおが、薩長相手に戦っていた。
隊服を真赤に染めて、戦ってるのだ。
その動きは速く、目で追うのがやっとだった。
「なんであいつらが...」
そして、遠くから1人男が、鬼形相で大声で叫びながら、わんわんに向かって来る。
「鈴木ぃぃぃぃ」
男はわんわんに向い、大きく跳ね上がり刀を上段に構えながら、力一杯振り下ろした。
男は守屋だった。
わんわんは笑いながら刀で受け止める。
その横では、のりおが拓司と向かい合っていた。
2人は無言で同時に斬りかかった。
坂本は4人を止めようと思ったが、なぜか声が出せない。
4人は互角で一進一退の攻防だった。
だが次の瞬間。
辺り一面銃声が鳴り響き、4人は夥しい銃弾を受けて倒れ込んだ。
それを見た坂本は大声で叫んだ。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
そのまま、大声をあげたまま目が覚める。
2人は横で寝ている。
坂本は汗をびっしょり掻いて、息が荒くなっていた。
まさに悪夢だった。
そしてある異変に気がつく。
坂本は自分の股間部に手をやった。
「濡れてる...」
そう、寝小便をしてしまったのである。
悪夢だった。
ハタチにもなって...。
これは大変な事になった。
麻美にバレたら完全にバカにされる。
いや違う。
横で寝てるわんわんにバレたら...
そう思うと恐ろしい。
冷や汗が出る。
なんとかしないと...
そしてある事を思いつく。
坂本は2人を起こさないように、ゆっくり起き上がりすり足で歩く。
だが運悪く何かを蹴っ飛ばしてしまう。
一瞬声が出てしまったが、口を押さえて2人をみる。
2人は気がついてない。
何を蹴ったんだろう。暗くて良く見えない。
手探りで触って確認したが木製の丸い物だったがよくわからない。
再びゆっくり歩き、部屋を出た。
坂本は台所に行き、ヤカンを見つけた。
(これだ...)
ヤカンに水を入れて再び部屋に戻る。
部屋に戻るとすぐ様ターゲットをロックオン。
ターゲットはのりおである。
そして、のりおの布団をゆっくりと捲り上げ、股間に水をかけた。
のりおは少し反応したが、起きなかった。
そのまま坂本は、自分の布団に入って寝たふりをした。
同じ境遇にしようと考えたのである。




