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運命の絆  作者: ふじわら
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第6章 池田屋騒動

新撰組に囲まれた守屋と拓司だったが、全く動揺していない。


それどころか、余裕すら感じられる。


原田、井上を始めとする4名の隊士、坂本達を入れると計9名である。


実際は坂本達を除けば2対6である。

しかも、原田と井上といえば、10番隊隊長と6番隊隊長である。


普通なら臆する状況である。


一体2人はどれだけの修羅場を、括り抜けてきたんだろう。


坂本はそう考えていた。


しかし、ここで2人を死なせる訳にはいかない。


坂本は原田に相手にしない様に言う。


「原田さん、こいつらより、奥沢さんの方が先です」


しかし原田は坂本を、無視するかの様に守屋達に激昂した。


「お前らよくも奥沢を斬ったなぁぁ許さん」


流石新撰組の隊長である。

坂本達は、その殺気だった迫力に恐怖した。


だが守屋達は眉一つ動かさず、原田に言い返した。



「許さんじゃち?おまんらぁこそ、よくもやっちくりたなぁぁ」


「土佐訛り...。斉藤を斬ったのもお前らか」


井上は冷静に聞き返す。


「斎藤?ああ、あいつか、弱いちゃくせに立ち向かってきちょったやつがか?」



その言葉に更に激怒する原田。


「斎藤を愚弄する事は許さん」


やり取りを見てたいた拓司が業を煮やした。


「もういいきに、かかってこんのなら、こっちがから行くぜよ」


そう言うと、拓司は隊士に斬りかかり、一瞬で隊士を斬った。


坂本達には全く見えなかった。

拓司のスピードはとてつもない速さで、瞬きの瞬間に1歩間合いが詰まる感じである。



拓司はそのまま、井上にも斬りかかったが、井上は紙一重でかわした。


拓司は一言呟く。

「ほぉ、流石新撰組の隊長様じゃ」



井上は内心驚いていた。

こんな早い動きをしてる者は、沖田以外では初めてだった。


守屋は嘲笑った。


「おんしら、何人かかってきても同じやき」

原田は血が騒いだのか笑った。

「行くぜぇ源さん」

「ああ」

そして全員身構え、斬りかかろうとした瞬間。


守屋達の後方から大きな叫び声が聞こえてきた。


「ちぇーすとぉぉぉ」


と叫びながら、数人の男が守屋と拓司の横を通り抜け、新撰組に襲いかかった。


原田と井上は刀で受け止めたが、もう一人の隊士は、一瞬の出来事で戸惑い、まともに喰らった。刃は左肩から左腰まで届き、凄まじい破壊力で斬り殺された。


坂本はすぐわかった。


「薩摩の示現流だ...」


返り血を浴び、守屋に向かって一人の男が問いかけた。


「守屋さぁ、拓司さぁ、あんかわらず忙しい方々でごわっとなぁ」


「半次郎さん、邪魔やきぃ」

守屋は半次郎を睨みつけ、苛つく様子だった。


次から次へと、驚くばかりの坂本。


「人斬り半次郎かよぉ、てかなんで薩摩が味方してんだよぉ」


この頃、薩摩藩は幕府や会津側である。

尊攘派の過激浪士で密かに長州とは、繋がってる噂はあったが薩摩自体、敵対する長州や、守屋達の土佐勤皇党に、表立って味方する事はありえないのである。


坂本の知ってる歴史がどんどん変わっていく。


わんわんは坂本に小さく囁く。


「誰だよあいつ」

「薩摩の中村半次郎だよ。人斬り半次郎とも呼ばれてる」


中村半次郎は薩摩藩士で、家老小松帯刀に目をかけられる。

その事から、西郷隆盛や大久保利通に重要視される。


幕末人斬り四天王の1人。


中村は守屋に告げた。


「ここはオイ達に任せてたもんせ。守屋さぁ達を坂本さぁがお待ちもんそ」


「坂本さんがか?ワシらはあん人に、用はないですき」


わんわんは坂本を冷たい目で見る。

「お前...」

坂本は慌てて首をふる。

「俺じゃない、お前とずっと一緒に居たじゃないか」

「いや...お前のことだから...」

「違うわいや」


あの2人のやり取りを見ていた守屋は、鼻で笑い、少し懐かしさを感じていた。


「ふっまぁわかったき、ほいじゃ行くかいのぅ」


しかし原田は去ろうとしてる、守屋を挑発した。


「逃げるのか?逃がす訳ないだろ?」


それを聞いて守屋は、原田を睨みつけ激昂した。


「逃げるじゃと?おまんら、今日のこと必ず後悔させるきぃ、壬生狼はワシらが必ず潰すがぜよぉ」


坂本は守屋から、凄まじい殺意を感じた。


しかしそれと同時に、この5年の月日でどれだけの辛い思いをしてきたのかと思うと、胸が締め付けられる思いであった。




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