第6章 池田屋騒動
信じられない状況だった。
守屋は髷に変わり、身だしなみも清楚感が漂っていた。
しかし問題は拓司の方である。
拓司は後髪が背中まで伸びていて、1本で結んである。
頬はこけ、特に変わってしまったのが、冷酷な表情と目つきである。
何よりも2人の殺気が凄まじい。
一体どれだけの人を斬ってきたのか。
そして坂本が口を開く。
「今までどこに居たんだよ。なんで人斬りなんかしてんだよ」
守屋は嘲笑う。
「何を言いよるかと思えば」
のりおは強い口調で詰め寄る。
「お前らまじで何やってんだよ」
「ふっ。天誅じゃき」
今度は拓司が嘲笑う。
2人に何が起きたのだろう。
臆しながら坂本は聞いた。
「なにがどうなったら、お前らこんなに変わるんだよ」
「こん動乱の世界で生き抜くためじゃき、おまんらも、壬生狼に入ったんじゃないろうか?」
「俺らは入ってない」
「そんハッピが何よりも、証拠ですろぅ」
「なりゆきだって」
ずっと黙ってたわんわんが口を開いた。
「てかお前らの話し方なんなんだよ。何言ってるのか全然わかんねーだよ」
それには坂本が答える。
「土佐弁だろ」
「ふっまぁええき。そがなこと、どうでもええき」
坂本達は幕末に来てまだ4日程度。
なぜその短時間で、土佐弁を話してるか不思議でしょうがない。
わんわんは更に問いただす。
「なぁ?4日間でお前らに何が起きたんだよ?」
守屋と拓司は腑に落ちない顔をした。
「4日間じゃと?おまんら何を言うがじゃ?ワシらは5年前ぜよ」
「え?」
坂本達は驚愕した。
拓司達は坂本達より5年も前にタイムリープしていたのだ。
坂本達は1864年
拓司達は1859年なのである。
坂本は深く考えた。
ほとんど知識がない状態で、この幕末で誰の助けなく
5年間も生き抜いて来た2人。
しかも察するとこ、土佐の連中と深く関わっているのであろう。
土佐藩は上士と下士で分かれており、上士は下士を犬以下と見ており、下士は絶対服従であった。
その土佐で5年も生き抜くって事は想像を絶する。
守屋は坂本達が4日前に、タイムリープした事知ると、不気味に笑った。
「ふははっこいつはええぇ、どうりで探しても居ない訳じゃち」
坂本は守屋に聞く。
「お前らまさか土佐勤王党に入ってないか?」
「さすがもっさんじゃ。そんとおりじゃ」
「お前らこの京都何を企んでるんだ。もう武市半平太や岡田以蔵も居ないはずだろ?」
守屋は急に強い口調になり、坂本に詰め寄る。
「武市先生や以蔵さんは、こん後、どうなるがじゃぁ?答えやっ」
坂本は首を横に振った。
「今のお前らに、この先の事言える訳ないだろう」
「力ずくで聞いちょってもええがぞ?」
「これ以上歴史を変えない」
「ふざけるなぁ。ワシらは、絶対先生を助けるがぜよ。そんためならなんでもしゆうき」
守屋達の目は本気だった。
一体守屋達はどう生きて来たのだろうか。
このまま行けば、確実に幕末の歴史は変わってしまうのが目に見えていた。
坂本は、それだけは阻止しなくてならないと心に誓った。




