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運命の絆  作者: ふじわら
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第6章 池田屋騒動

新撰組組は事前に、会津藩と落ち合う場所を決めていた


しかしいつまで経っても会津の兵は来ない

苛立つ土方


「くそ!いつまで待たせるんだ」


坂本はなぜ会津藩が来ないのか知っていた


会津藩は京都の守護職として、幕府から任命されている


京都守護職に任命された時、藩内で反対も少なくなかった

安泰の徳川の世ならいざしも、徳川が弱体化してるこの幕末期、討幕派の矢面に立たされてるのは間違いない


しかし会津には家訓がある

徳川家が窮地に追い込まれた時には、藩挙げて守る事と。


藩主松平容保はそれを重く遵守し、守護職の命を受けた


その事もあって重臣達は、新撰組の報告を受けて揉めていたのである


もし会津が動けば長州と一戦交える可能性もある

そういった事から、静観する方向になってしまった


そうとも知らず、新撰組は待ち続けていた



だが土方は業を煮やし近藤に進言した


「近藤さん新撰組だけで動こう」


近藤は少し考え決断する


「よし行こう!」



近藤の号令ともに新撰組は池田屋に向かった


本来史実では2、3チームに分かれて、3時間かけて探索し、池田屋にたどり着く


池田屋に最初に突入したのは、近藤チームの5〜10人と言われてる

その後、遅れて土方達が参戦していた


しかし歴史が微妙に変わってしまった為、ピンポイントで池田屋に向かった


この事で突入の時間が早くなり、また歴史が変わってしまう事を坂本は懸念していた


街灯がないので夜は真暗で、見えにくい

月の光で明るくはあるが、月が雲で隠れると、周りがかなり見えにくくなる


現代では考えられない状況である

いかに現代人は、電気を頼ってるかがわかる坂本達だった


池田屋に到着し、周りを取り囲んだ


坂本達は裏口に回るよう指示される

裏口に10人近く回って待機する


裏口から人が出て来れば捕縛する

もし抵抗すれば斬り捨てる事となっている


表では近藤が土方と目を合わせ、頷き扉を大きく3回叩く


暫くすると中から男の声が聞こえてくる


「へーい」


扉を開けながら男は返事する

男が外に出ると大勢の新撰組の姿を目にして動揺する男


近藤は男に冷静に言った


「主人は居るか?御用改めだ」

「はい...少々お待ちください」


そう言うと男は家に入る


家に入ると突然走り出し、大声で2階に向かって叫んだ


「お2階の皆様!御用改めですよ!」


それを聞き近藤達は、一気に池田屋になだれ込む


2階の大広場では30名位で、会合の真最中であって、熱く語られていて、ざわざわしていた


そのため、1階で叫んだ声が良く聞こえて来なかった


ここには長州藩士 吉田稔麿

肥後藩 宮部鼎蔵

土佐藩 望月亀弥太 北添佶磨などがいた


吉田は下から声に気づいた

「今何か聞こえなかったか?」

「ん?何も聞こえんかったですよ」


北添は吉田に答えた


「なんか聞こえて来た気がしたんだが...」

「ならワシが見ちょって来ますき」


そう言うと北添は腰を上げ、部屋を出て1階に向かって叫んだ


「おーい。なんかゆーたがか?」


そう叫んだ瞬間、階段下から刀を抜き、近藤が走り登り北添の腹部を横に払った


北添は脇に手をやり、血を見てそのまま大きな音を立てながら、階段を転げ落ちた


その大きな物音に気がついた浪士達は静まり返りそれぞれ刀に手を掛けた


近藤は部屋の前に立ち襖を勢いよく開けた


部屋には刀を持ち身構える浪士



近藤は浪士達に大声で叫ぶ

「大人しく縄につけ、手向かう者は容赦なく斬り捨てる」

 

近藤の激昂に対し宮部は睨みつけ冷静に反論する

 

「壬生狼か...会津の犬め、何しに来た」

「聞こえなかったか?大人しく縄につけ、さもなくば斬り捨てる」


宮部は不敵に笑う

「ふっ。この人数相手に勝てるとでも思ってるのか」


「試してみるか?」


そう言いながら近藤の後ろから土方が、姿を表す


殺気が漂う異様な空気に耐えきれなくなった浪士数名が近藤と土方に襲いかかった



池田屋事件の幕が上がった


数人近藤と土方に襲いかかり、近藤と土方も応戦する


他の襖が同時に、開かれ他の隊士もなだれ込んでくる


戦闘は一気に広範囲に広がった


永倉 原田 藤堂 井上ら新撰組の幹部が次々浪士を斬り捨てる


常に鍛錬を怠らず鍛えられた新撰組に、統率が取れてない殺気だけの、浪士がかなうわけもない


みるみる斬られていく浪士達は、バラバラに逃げだした


一方裏口で待機してる坂本達は、中の物凄い怒声や叫び声で緊張感が漂っていた



「始まったな、もうじきここにも浪士どもが来るであろう」


奥沢が言うと他の隊士も入り口に向け刀を構えた



史実なら土方チームが合流するまで、戦闘はかなり時間がかかっていたのだが、最初から全員で突入したので、一気にかたがついて来た


この戦いで1番目立ったのが沖田総司である


沖田は裏口がある付近で、逃げて来る浪士を涼しい顔で斬り殺していた


沖田総司の三段付きは鋭く、急所を的確に突いていた


沖田を恐れた浪士達は引き返す者も居たが、引き返せば近藤や土方がいる


全員恐怖でパニックになっていた


2階から飛び降り逃げる者、屋根に飛び移り逃げる者、現場は壮絶な状況だった


だがそんな中、土佐脱藩浪士 望月が沖田の前に立つ


手は振るえ、足は立つのがやっとな状況だった


「震えてますよ?大人しく縄につけば命は取りませんよ」


笑って降参するように呼びかける沖田



それに対し望月は言った


「ことわる!おんしら新撰組は絶対許さんき!」


沖田は土佐訛りを聞いて望月に尋ねた


「貴方ですが?斉藤さんを斬ったのは?」

「なんじゃ、なんのことじゃ?」

「うちの屯所に来て、古高を逃し、斉藤さん達を斬った事ですよ」


望月は首を横に振り答えた


「そんな話は知らんき!」

「ふむ...貴方じゃないのですか」

「うるさい!そこを退くがぜよ」


そういうと望月は刀を上段に構えながら、沖田に斬りかかった


「無駄な事を...」


沖田は刀を受け止め、足で腹部を蹴り望月の左肋を斬り払った


望月は刀を落とし、両膝を付いて苦しそうに悶えた




すかさず、望月の急所目掛けて刀を突き刺そうとした瞬間、沖田は苦しそうに咳き込みその場で倒れた



これが有名な沖田の吐血である


それを見た望月は苦しそうに立ち上がり、他の浪士6、7人と裏口を出た


当然裏口には奥沢らが待機してる


裏口を開くと、同時に隊士が斬りかかって来た



浪士達は1、2人はすぐ斬られたが、他の浪士は上手く入り口を出て、隊士達と向き合った



最後に出てきた望月は脇腹を押さえ、急足で長州藩邸の方に逃げていった


坂本達はそれを見ていたが、恐怖のあまり動けなかった


当然である現代の人間が、この状況で動けるわけがない



望月はなんとか脱出し長州藩邸に応援を頼みにきた


望月は土佐を脱藩していたので、土佐藩邸には行けなかったのだ


長州藩の過激浪士は土佐脱藩浪士とも、親交が深いため何かと援助してくれているのだ


望月は藩邸の門を力強く叩いて叫んだ

「助けてつかんさい!開けてください!」


中から返事が返ってくる

「だめだ。誰も入れるなと命令されてる」


食い下がらない望月

「なんでですろうか!?長州藩の方々も戦っておりますきに!」

「うるさい!帰れ!」


騒ぎを聞いた長州藩は、望月を助けなかった

それどころか追い返したのだ


これは長州藩が関わっていない事を示す、桂小五郎の指示であった



望月を助ければ長州藩が関わってる事になるのである



望月は泣きながら必死で門を叩き、大声で説いたが反応は全くなかった

「なんで...」


望月は絶望にみち、覚悟を決め、介錯なしで腹を詰めた



望月が腹を詰め瀕死の状態で苦しんでいると、そこに2人の男が現れる


「亀さん!!しっかりしてつかんさい!」

「亀さん!亀さん!」


2人は必死で呼びかけるが、腹部から大量の血と腸が飛び出している


「これじゃもう助からんぜよ...」


そう言うと男は涙を流しながら

望月の心臓を、一突し介錯し、望月は絶命した

2人は望月に深く会釈して一言言い放つ


「亀さん仇は必ずとりますきに、新撰組めぇ!!!許さんぜよ!!!」

「ほおじゃ!何が幕末の英雄じゃ!全員ぶっちゃギっちゃるきに!!」


刀を強く握りしめ、2人は池田屋の方に走り出した


望月の遺体を月光が悲しく照らしていた


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