第6章 池田屋騒動
新撰組の屯所では3人の遺体が運び出されていた
隊士達は、斎藤一が殺された事を、まだ信じられない様子であった
近藤は現場の状況を調べる監察以外は、皆八木邸に戻るように指示をする
坂本達も一緒に戻ろうとしたのだがのりおが拳を強く握りながら下を向いていた
「のりお君?」
坂本はのりおに話しかけた
普段感情がないのりおが、怒りに満ちていた
「くそ!!誰がヤったんだ!!」
そう言うと壁を何度も殴りつけた
滅多にないのりおの怒りに坂本達は驚きを隠せなかった
わんわんはのりおの腕を掴んで殴るのをやめさせた
「落ち着けよ。のりお君」
「そうよ。きっと大丈夫だよ。みんなでちゃんとした歴史に戻そうよ」
麻美ものりおを落ち着かせる
のりおは座り込み地面を一発殴った
「くそ...どうすんだよ」
だがなぜここまでのりおが、激怒してるか理由がわからない
坂本はのりおに尋ねた
「のりお君ってそんな斎藤一好きだっけ?」
「好きっすよ!」
「そうなんだ...」
「マジでムカつきますわ」
のりおの怒りは収まらなかった
「るろ○にの藤田五郎が登場しないじゃないですか!」
「そっちかよ!!」
のりおは漫画に登場しなくなる事に、激怒していたのだった
漫画好きとは言え、ややこしい奴だと思う坂本達であった
怒るのりおを引張って、八木邸に戻った
八木邸に戻ると緊迫した顔付きで、全員黙りこんでいた
そして近藤が静かに口を開く
「皆も知っての通り、斉藤君が殺された。古高達を追っているが、そう簡単には見つけられんだろう」
土方は斎藤が殺され感情が昂っていた
「局長、このままじゃ新撰組の面子が立たないぞ!」
永倉や原田も土方と同意見である
「土佐訛りって言ってたろう!勤王党の残党の仕業じゃないのか?」
「局長!土佐と長州の仕業ってわかってるんだから容保公に動いてもらえないのか?」
近藤は首を横に振った
「証拠がなかろう」
土方は拳で畳を叩きつけた
「そんなもん関係ない!古高は長州の人間なんだぞ!長州藩邸に斬り込む」
「そうだよ近藤さん!これじゃ斎藤も浮かばれない!」
土方と永倉は怒りが収まらない
新撰組...いや浪士組結成からの仲間が、殺されたのだから冷静差を欠けても無理はない
そこにずっと腕を組んで目を瞑り、黙り込んでいた山南は静かに口を開く
「近藤さんの言う通り、今は古高達を追って行った者達の報告を待ちましょう」
土方は山南を睨みつけ反論する
「そんな悠長な時間はない!全員用意しろ!」
これには山南も土方を睨みつけて言い返す
「独断で動いて新撰組を潰す気か!!!」
普段、声を荒ける事がない山南の迫力に、全員黙り込んだ
そこに古高を追って行った隊士達が、息を切らせながら戻って来た
原田は隊士に尋ねた
「捕らえたか?」
「い、いえ...古高が斬り殺されてました」
「何だと!!!」
近藤は動揺を隠しきれなかった
最悪の事態である
史実では古高は池田屋後、斬首される
またもや歴史が変わってしまった
坂本は頭を抱え考えていた
(池田屋事件のきっかけは、新撰組の屯所から古高を助け出す話し合いの為、集まった会合の場に新撰組が乱入したんだよな...じゃあ古高が死んだ今、会合が開かれないって事になるのか?池田事件も起きないって事か?じゃあ俺らも殺されるじゃないか!)
坂本は頭の中で考え、そしてある事に気がつく
(あっ...まてよ...そうか武器弾薬か!あれを奪い返えす為でもあったな...おそらく武器弾薬奪う会合を6月5日に池田屋でやるはずだ)
まだ希望はある
坂本は真剣な顔つきで、わんわんを見て深く頷いた
わんわんと坂本は幼い頃からの付き合い
お互いの表情で分かり合える仲だった
大丈夫の頷きの合図を送った
わんわんは坂本の表情を見てすぐ察した
(あの顔は...やばいて事か...歴史が変わって池田屋事件が起きないって顔だな...どうにか逃げる事を考えないとあかんって奴だな...わかったよもっさん)
わんわんも坂本を見て深く頷く
全く分かり合えてなかった
古高が殺された事で長州の過激派浪士はますます持って会津、新撰組を敵対する事は目に見えてわかっていたのである
山南は近藤にとりあえずこの事態を会津藩に伝える様に進言した
近藤は頷き一旦この場は解散となった




