第4章 激論
坂本達の顔を見ながら鋭い目つきで近藤が静かに口を開く
「お前達は何者だ?」
一間置いてわんわんが返答する
「尾張から尊王攘夷の志を持ってこの京に参りました」
「ほう...尊王攘夷の志か...」
小さく頷くわんわん
この時わんわんの幕末知識なんて坂本から聞いた池田屋事件の前後と大雑把な知識しかなかった。
尊王攘夷の意味なんて全くわかってない
彼がこれまで経験してきた中で最も厳しい状況であろう
しかしこの状況を少し楽しくなり始めていた
彼は逆境に強く、自分が追い込まれると燃えて来るタイプであり「人生とは気合とハッタリ」をモットーとしてこの極難を乗り越えようとしている
更に近藤は問う
「おまえ達の姿はなんだ?なぜその様な格好をしておる?」
近藤は指を坂本達に向け、少し声を荒げて尋ねた
絶対くる質問だと思っていた様な顔で答えるわんわん
「これは...アメリカに住んでた頃の格好です」
「何?アメリカだと?」
幕末の時代もちろん欧米の情報なんてほぼないに等しい。
日本人の殆どが欧米に対し、異人異人と偏見を持っていたため、この格好をしてる理由としては辻褄があう
「なぜアメリカに居たのだ?」
「幼い頃、一緒に遊んでたここに居る奴らと親の手伝いで漁に出て、その時舟が難破してアメリカの船に拾われ向こうで住んで居ました」
これは坂本がジョン万次郎がアメリカに渡った事をそのまま使った案だった
バレる心配もあったが、情報が少ないこの時代にジョン万次郎の事が新撰組に知られてることはないと確信していた
近藤は頷き納得した様子で更に再度質問する
「アメリカでは全員その様な格好しているのか?」
「はい。この様な格好で街を歩いてます」
「なるほど...ではどうやって日本に戻って来られたのだ?」
「日本が開国をしたおかげでございます。3ヶ月ほど前に下田に帰ってきました」
それを聞いた山南は近藤に対し、これ以上の詮議は無用ではないかと打診した
坂本達は「助かった」と安堵した
しかし...鬼の形相でこっちを見るもう1人の男が口を開く
「ちょっと待て!」
そう吐き捨てる言葉を聞いて坂本はですよね〜と思わず思った
そう...まだこの男がいる
土方歳三である




