第16章 それぞれの道
守屋達が土佐に向かって10日が過ぎた。
2人は桂浜に立っていた。
空は真っ赤になり夕陽が海を染めていた。
穏やかな波が2人の心を和ませていた。
「なつかしいのぉ」
「ほうじゃのぉ」
守屋は浜辺に寝転んだ。
「なぁ拓司覚えちょるか?」
「何がじゃ?」
そう言うと拓司も浜辺に寝転ぶ。
「ここに初めてタイムリープして来た時の事じゃ」
「ああ。もちろん覚えちょる」
「懐かしいのぉ」
「ここから始まったんじゃのぅ」
「ほうじゃ、そう考えたら、よくここまで生きて来れたのぅ」
「ああ。けんど...」
拓司は起き上がりながら、真剣な顔つきで夕陽を眺めながら囁いた。
「今度は死ぬかもしれんのぉ」
「ああ、ほうじゃのぉ」
「じゃが止める訳には行かんき」
「ほいたら行くかのぅ」
拓司も起き上がり2人はある場所に歩き出す。
2人は何年も通い続けたある場所に辿り着く。
武市半平太の道場、武市道場である。
しかし武市半平太は罪人の為、自宅は勿論、道場も藩に召し上げられていた。
2人は無言で呆然としていた。
しかしその拳は悔しさで強く握られていた。
その時だった。
数人の村人が2人の前を会話しながら通り過ぎる。
その会話の内容に衝撃が走る。
拓司は大声を上げて、村人の足を止める。
「おい!!今の事、もういっぺん言ってみぃ」
「え?明日武市半平太が切腹、岡田以蔵が、雁切河原で処刑されるらしいがじゃ」
「なんじゃと!!!」
恐れていたことが起きてしまった。
武市半平太と岡田以蔵は奇しくも同じ日に処刑される事になってしまったのだ。
拓司は守屋の目を見た。
「どうする」
「決まってるじゃろ」
拓司は笑みを浮かべた。
「ほうじゃのぅ、行くか」
「死ぬじゃろうな」
「まぁそれも運命じゃろ」
2人は覚悟を決めて明日を待った。




