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運命の絆  作者: ふじわら
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第16章 それぞれの道

第一次長州討伐。

幕府が禁門の変の処分として、長州藩に出兵。


結果は幕府の勝利、長州藩は3家老の切腹、参謀の斬首、山口城の破却。


長州の惨敗で終わった。


しかし戦闘はなく幕府、長州藩ともに被害、損害はない。


この時に幕府が長州を潰しておけば、倒幕も違う形になっていたかもしれない。

 

だがここまで長州藩が叩かれて、この数年後、薩摩と組み幕府が倒されてしまうなんて、未来から来た坂本達以外に、誰が予測できたのだろうか。

 


1865年 5月 新撰組屯所 西本願寺


新撰組は予定通り壬生を出て、西本願寺を屯所とした。

 

西本願寺の坊主達は、新撰組が屯所として使う事をよく思ってなかった。


隊士たちは、実弾射撃などの軍事演習をはじめ、斬首や切腹なども行われていた。


そんな中、坂本とわんわんとのりおは西本願寺に見学に来ていた。


坂本はわんわんとのりおと別れ、まず療養中の沖田総司の下を訪ねた。


「沖田さん、坂本です」

「どうぞ」


坂本は襖をゆっくり開けた。


沖田は布団の中で寝ていた。


顔色も悪く、何も食べてないのか、頬がこけていた。


「どうですか?具合は?」


沖田はニコリと笑みを浮かべた。


「だいぶいいですよ」


どう見ても良いようには見えない。

しかし坂本は気にしない素振りを見せる。


「それはよかったです」


沖田は坂本の目をじっと見つめる。


「この先新撰組はどうなると思いますか?」

「え?」


いきなりの質問で戸惑う。


「さー私にはわかりません」


そう答えるのがやっとだった。

沖田はじっと見つめ、再び笑顔を見せた。


「そうですか」


この透き通る目に、坂本は全て見透かされてるように感じた。


沖田は坂本達が未来から来た事を、知っているのだが、沖田にバレてる事は坂本は知らない。


「さて今日は調子がいいので、組手の稽古をしましょうか」

「え?」


そう言うと、沖田はゆっくり立ち上がり、隊士に刃引きしてある刀を2本用意させる。


坂本はほぼ毎日、沖田の下を訪れ剣術の稽古していた。


沖田のお陰で、腕をだいぶ上げていた。


だが稽古で沖田との組手はほぼ無かった。


しかも刃引きをしているとはゆえ、真剣で組手をするとなると、一つ間違えれば死ぬ事だってある。


しかも相手があの新撰組1番隊隊長沖田総司である。


恐怖でしかない。


坂本と沖田が組手をやると聞いて、隊士や土方をはじめとする隊長連中が集まってくる。


わんわんとのりおも話を聞きつけ駆けつけた。


「もっさん沖田さんと組手するって正気?」

「わからんけど、こんな事になった...」

「アーメン」


沖田は刀を抜き、中段構えをとった。


「さぁかかってきなさい」

「は、はい」


坂本も刀を抜き中段構えをとったが、明らかに全身から震えていた。


「どうしました?かかって来ないならこっちから行きますよ」


沖田は2歩間合を詰め、坂本の頭目がけ振り下ろした。


坂本は間一髪刀を横に持ち替えかわす。


沖田はすぐさま2歩下がり再び構え取り、すぐさま攻める。


坂本は慌てて構えそれをギリギリかわす。


沖田は容赦なく攻め立て、かわすのが精一杯の坂本。


隊士達は一方的にかわすだけの坂本に、嘲笑いヤジを飛ばす。


だが隊長格やわんわんやのりおは、真剣な眼差しで見ていた。


沖田の剣術はスピード重視である。

坂本はギリギリとはゆえ、そのスピードについてっている。


自分では気づいてなかったが、毎日毎日沖田による稽古で知らぬ間に力をつけていたのだ。


「坂本君、毎日まじめに稽古した結果が出てますねぇ」


沖田はニコリと笑った。


「じゃあこれはどうですかねぇ」


沖田の得意技、3段突きを繰り出す。


だがこれも坂本は首だけを動かしかわす。


それを見ていた土方歳三は坂本の上達に感心した。


「ほう...あれをかわすか...」


本気で突きに行った沖田もこれには驚いた。


「やりますねぇ、驚いちゃいましたよ」


坂本はかなり疲労していた。


「ハァハァハァ...もういっぱいいっぱいですよ」

「ふふふ。まぁ真剣は竹刀や木刀と違いますかねらねぇ、極端に体力が奪われるんですよ」


沖田は構えをやめて、刀を鞘に納めた。


終わりだと思った坂本も構えを解いた。


「まだ終わりじゃないですよ?誰か木刀を持って来てください」

「え?」


沖田は隊士に木刀を持って来させた。


「なぜ木刀に?」

「流石に刃引きしてるとはゆえ、危険ですからねぇ」

「え?」

「いいですか?剣術は鍛錬で上達はいくらでもできます。戦で1番必要な事はなんだと思いますか?」

「必要な事?」

「殺気ですよ。殺気で相手に何倍も大きさを感じさせる事ができるのですよ。それにより相手に尻込みをさせる事ができるのです」

「なるほど...」


それを聞いたのりおは、この間の高杉とわんわんの一件を思い出した。


(確かにあの時、わんさんから感じた殺気はそんな感じだったなぁ)


「だけど君に見せるのはその上ですよ」

「その上?」

「ええ」


沖田は目を瞑った。


坂本は構えを取った。


そして目を開け、坂本の目を鋭い眼差して見た。


お互い見つめ動かずにいた。



坂本は全身から冷や汗が滲み出てくる。


手足はガタガタ震え止まらない。


坂本が感じたのは殺気ではない。


(な、なにこの感じ、何も感じない)


坂本が感じたのは「無」だった。


殺気は相手の攻撃を感じ対応できるが、今沖田が放つ「無」はいつ攻撃が来るか皆目見当もつかない。


坂本が取る作戦は一つしかなかった。


刀を上段に構え沖田目がけて攻めた。


「やあああぁぁぁ!!」


だが右に半人分動いてかわす沖田。


かわされ地面を思いっきり叩いたが、空かさず沖田目がけて、右に刀を振り切りったが、それを読まれて、更に後ろに間合を取りかわす沖田。


両者は体制を整えて構える。


坂本は息を荒げていたが、沖田は息ひとつ切れていない。


そしてニコリと笑ったかと思うと、急に真剣な表情になり...



一気に間合を詰め、3段突きを繰り出す。



当然かわす事ができない坂本は胸を突かれ、吹き飛ばされ、そのまま気を失った。



沖田は倒れた坂本を暫く見て、木刀を隊士に渡しその場から立ち去った。



気を失った坂本にわんわんとのりおが心配そうに駆け寄る。


「おーいもっさん生きてる?」

「大丈夫ですか?もっさん」


勿論応答はない。


「のりお君?こうゆう時は、テレビでほらよくやってるじゃん、背中をグってやれば気がつくやつ」

「見た事はありますけど、どうやるんですか?」

「さぁ?適当にやってみれば?」

「適当って...」

「あれで起こしてみたいんだよ!今がチャンスじゃないか!」

「はぁ...」


のりお仕方なく坂本の上半身上げた。


その時、わんわんは気絶してる坂本の顔を見て不快感を覚える。


「ちょっと待って、なんか顔が、だらーんってしてムカつく」

「何すか、だらーんて?」

「わからんけど、気絶してる顔がムカつく」

「ひどい...」

「いいから早くやれよ」



のりおはテレビでよく気絶してる人を、起こす方法を足を使ってやってみた。


当然目を覚さない坂本。


「起きないじゃないか!」

「やり方わからんっす」

「使えないなぁ、顔もムカつくし、蹴っちゃえよ」

「え?酷くないですか?」

「コイツの顔がな」


のりおはわんわんに言われるがまま、背中蹴った。


それを見たわんわんはケラケラ笑った。


「ひでぇぇぇ」

「わんさんが言ったんじゃないですか」

「まぁいいや、そこの縁側に寝かせておけよ」


のりおは坂本を担ぎ、縁側に寝かせた。


「しかし沖田さんやばかったね」

「無でしたっけ?」

「ああ。達人の域を越えてやがる」

「それにしてももっさんの上達も驚きましたねぇ」

「ああ。見違えたな」

「今やったら勝てないかもしれんすね」

「それはないが、まぁ大したもんだよ」


2人は気絶してる坂本の顔を見て笑った。


ようやく坂本も剣術の腕を上げ、幕末時代に適用出来る様になった。


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