第15章 祇園大騒動
本日は本当に変な日であった。
あやが飴屋の玄関先を一生懸命掃除してると2人組の侍が訪ねて来る。
「おい女、龍馬さんと高杉さんはおるがか?」
「へい、いますけどどちらさんです?」
「おるならそれでええがじゃ、そこどくがじゃ」
あやを無理矢理どかし、中に入る2人。
そして大声で主人を呼ぶ。
「主人はいるか?」
その声に気がつき主人は慌ただしく、声のする方へ急ぐ。
「これはようこそいらっしゃいました」
「高杉さん達はどこの部屋にいるがじゃ?」
「2階の奥の間です」
「ほうか、邪魔するき」
2人は履き物を脱ぎ、2階に向かった。
奥の間に着くと勢いよく襖を開け中に入る。
「邪魔するき」
突然部屋に入って来た2人を見て高杉が笑みを浮かべる。
「守屋君に拓司君じゃないか」
2人は高杉を睨みつけ詰め寄る。
「高杉さんこがんところで何をしゆーきか!」
「何がって酒を飲んどるんじゃ」
「何を呑気にそがな事を!」
守屋は呑気に酒を飲んでる高杉や龍馬に苛立ちを覚えていた。
「こがなところで酒...」
守屋はわんわんと目が合う。
わんわんは右手を少し上げた。
「や、やあ」
「どーいておまん等がおるがか!!」
「どうしてって...なりゆきで...」
龍馬は守屋に尋ねた。
「なんじゃおんしらぁ知り合いがか?」
「はぁ?何を呑気な事をゆーちょるんですか!こん奴ら新撰組じゃ!」
全員の目つきが変わる。
「なんじゃと...」
池田屋事件、禁門の変で長州は会津と新撰組に仲間を殺されてる。
わんわんとのりおは一気に窮地に立たされる事になった。
高杉は銃を取り出し、目の前にある御膳を蹴り飛ばし、2人に銃口を向ける。
「お前等、本当に新撰組か!!!」
わんわんは銃口を向けられるも冷静に答えた。
「違います」
「じゃあなんでこいつ等がこんな事言うんじゃ!」
「さー?虚言癖でもあるんじゃないですか?」
守屋は不敵に笑う。
「何を言うかと思えば笑えるのぅ、おまん等、新撰組の隊服を着ちょるやないか」
「はぁ?これが隊服なら京の人ら全員新撰組じゃないか」
「今じゃない!」
「いつだよ」
「この間、着ちょったじゃないか!!」
「怖っ!今って言ったり、この間って言ったりどっちなんだよ」
「この間じゃ!」
「ふーん証明してよ。証拠あって言ってるんだろう?」
さすが、ああ言えばわんわんである。
だがそんな事で高杉が納得するわけがない。
銃口をわんわんの額にくっつける。
「答えろ、新撰組か?」
「隊士ではないです」
ハッキリしないわんわんの態度に苛つく高杉は、右手の親指で撃鉄を引いた。
「言え!!!お前等は何者だ!!」
「新撰組の客人ですよ」
「客人だと?」
「そうですよ。それだけです」
「そんな事、信用出来る訳ないだろう!!」
「ならば撃てばいいじゃないですか」
部屋はただならぬ緊張感が漂っていた。
「高杉さん!!!」
大声を上げて伊藤が突然土下座した。
「俊輔どうした急に」
「高杉さんお願いします。今回はワシに免じて見逃してもらえんですか?」
伊藤に習って井上も頭を下げる。
「なんじゃ聞多まで」
「この2人は我々を助けてくれたんじゃ。その2人をここで殺したらワシらの立場がない」
「どういう事だ?」
伊藤はこれまでの経緯を高杉に話す。
「高杉さんお願いします!!」
高杉は無言でわんわんを睨みつけ、そして銃を下げた。
「わかった。今回はお前らに免じて見逃してやる」
のりおは安心したのか、ホッとし溜め息を吐く。
だが...
「あんた何言ってんだよ。人に銃向けておいて、それで済むと思うなよ」
「なんだと?」
のりおは唖然とした。
「なぜ煽る...」
わんわんは高杉を睨みつけた。
「わんさんもういいじゃないですか...」
「いいわけないだろう」
のりおはわんわんを宥めたが、怒りが収まらない様子である。
「やはり死にたいらしいな」
高杉は再び銃口を向けた。
「貴様自分の立場がわからんらしいな」
「銃で誰もがいいなりになると思うなよ」
「じゃあ死ね!」
そして....
バン!!!
「きゃーーーーー!!!」
「わんさん!!!!」
1発の銃声とのりおと遊女達の悲鳴が部屋中に鳴り響いた。




