第15章 祇園大騒動
更に遠くから今度は伊藤と井上を呼ぶ声が聞こえて来た。
「おーい俊輔、聞多」
2人が振り向くとそこには2人の侍らしき人物が手を振っていた。
坂本は2人を見るや足が竦み、声も出せなくなるくらい、驚いていた。
伊藤は顔見て笑顔で返答した。
「高杉さんじゃないですか!!いつ京に?」
「さっき着いたばかりじゃ」
「髪どうしたんですか?」
「剃ったんじゃ」
高杉とは高杉晋作である。
高杉は禁門の変以降、幕府に弱腰となってる長州の保守派を一掃し、藩を一気に倒幕に転換させ、奇兵隊を作り倒幕に貢献した1人である。
だが病には勝てず、28歳の若さで労咳で死んでいる。
高杉自身の写真は多く残っている為に坂本は一目で分かった。
だが坂本が驚いているのは、高杉の後ろにいる人物である。
長身で、髪が乱れてるその男だった。
坂本龍馬である。
これにはわんわん達全員が気づいた。
テレビ、雑誌等でよく見るからである。
そうとも知らず伊藤は龍馬に話かける。
「龍馬さんも一緒だったんですね」
「俊輔君、聞多君久しぶりじゃのぉ」
幕末から明治にかけて、大活躍する4人のこの会話は、幕末大好き人間からすれば、金を払ってでも聞きたいであろう。
それをタダで聞ける坂本は感極まって涙を流した。
涙を流す坂本にわんわんは気がつき苦笑いをした。
「なに泣いてやがる」
「うっさい」
右腕で涙を拭き取り、鼻をすする坂本。
龍馬は坂本達を見る。
「おまんらんは誰じゃ?」
伊藤は事の経緯を高杉と龍馬に話す。
「ほうか、たった3人で浪人をのぅ〜すごいのぅ」
高杉は3人を誉めたが、坂本、わんわん、のりお、藤堂が新撰組だとは知らない。
1番困るのは藤堂である。
坂本達は新撰組の客人扱いであるが、藤堂は新撰組隊長である。
身元がわかれば殺されてもおかしくはない。
気が気ではなかった。
そんな中、高杉は麻美と恭子に近づく。
高杉も大の女好き。
「あんたら可愛いのぅ〜特に右側のおなごは、
ワシの好みじゃ」
そう言うと恭子に顔を近づける。
恭子は急に近寄られて、びっくりして咳こんだ。
「コホコホッ...あっ...すいません」
高杉は恭子の飛沫を少し吸い込んでんでしまった。
高杉の労咳はこの時、移ってしまったのかは定かではない。
もし移ってしまったなら自業自得な気がする。
長州の高杉、伊藤、井上の女好きは有名である。
高杉は全員を飴屋に誘った。
「今日は皆で飲み明かし、好きなだけオナゴを抱きまくろう!銭はワシがだす!」
わんわんとのりおはこんな高杉に好感度を抱いた。
一行が店に入ろうとしたその時、「出穴」から女性が出てくる。
「あら、わんわんさん?」
わんわんを呼ぶその女性はゆいかであった。
「なんだ誰かと思えば、ゆいかか...」
「どうしたんですか?こんな大勢で...」
「なんでもない」
「あっ...もうわんわんさんたら...」
突然頬を赤らませるゆいか。
「私に会いに来たんでしょ?」
「違います」
これを見た坂本が割って入る。
「はいはい。もう中に入ろう!」
「ちょっと坂本さん?!」
「麻美と恭子も行くぞ!!」
これ以上ややこしくなる事を恐れた坂本が、麻美、恭子、ゆいかの手を引っ張り店の中に入って行った。
坂本はこのメンツの中に、藤堂をこのままにしておけないと思い、こちらに招き寄せた。
わんわん達も、おゆきの導きで店の中に入って行った。
満月が綺麗に光る夜の出来事であった。




