第15章 祇園大騒動
わんわん達は伊藤にとある店に連れて来られた。
連れて来られてわんわんとのりおは驚いた。
そこは、麻美達の働いてる遊郭「出穴」だった。
「ここですか?」
しかし伊藤は首を横に振った。
「違いますよ。このお店の目の前の店ですよ」
そう言うと伊藤は指を指す。
わんわんは振り返り店の看板を見た。
看板には「飴」と書かれていた。
「飴屋さんですか?」
「ははは。違いますよ。れっきとした遊郭ですよ」
「何故、飴なんですか?」
「僕も前に気になって聞いたんですが、主人が大の飴好きで、店名も飴にしたらしいです」
「な、なるほど...」
この時わんわんは思った。
(なんだろう...また聞いた事あるぞ...)
店の前で話してると、2人の女性が店から出てくる。
「あら伊藤先生ようこそおいでやす」
「おお。おゆきさん」
声は酒焼けしてるのか、擦りかかった声で話すおゆきと言う女性が話しかけて来た。
「今日はえらい大勢で来てくれたんですねぇ」
「ええ。僕らの恩人でして、そのお礼に連れてきたんですよ」
「それはそれは。では最高級のおもてなしをしますね。なるみ、お客様をお部屋にご案内して」
わかりました」
なるみと呼ばれた女性は店の中にわんわん達を招き入れようとしその時。
「おーい。わんわん」
遠くからわんわんを呼ぶ声が聞こえた。
「ん?」
わんわん達が声のする方に顔を向けると、坂本、麻美、恭子だった。
全員が合流した。
坂本は伊藤と井上を見て軽く会釈をした。
2人は微笑み会釈を返した。
伊藤と井上を見て、なんとなく見覚えがある坂本。
「なぁわんわん?この方達は?」
「ああ。さっき知り合った、えっと...」
わんわんは名前を忘れてしまった。
それを見た伊藤は自ら自己紹介した。
「えっと僕は長州藩士伊藤俊輔、コイツは同じく長州藩士井上聞多です」
「えええええええ!」
当然の如く声をあげて驚く坂本。
驚く坂本の反応を見て、わんわんとのりおは囁き合った。
「やっぱ有名な人なんじゃないですかね?」
「う、うん。そうだろうねぇ」
大声を上げた坂本に、伊藤と井上は深く驚いた。
「ど、どうしました?」
わんわんは素早くフォローした。
「発作です」
「発作?」
「ええ。コイツは初めて会う人の名前を聞くと、驚く発作を持ってまして...」
のりおはわんわんに小さい声で囁く。
「わんさん、無理がありますよ」
「うっさい。大体アイツは大袈裟なんだよいつも」
わんわんはゆっくり坂本に近づき耳打ちした。
「おい、お前いつも大袈裟なんだよ。誰なんだよ、あの人ら」
「だ、誰ってお前、初代総理大臣の伊藤博文とその内閣で、外務大臣やら大蔵大臣をやった井上馨だぞ」
「ええええええええ!」
これには流石のわんわんも、声を上げて驚いた。
「なんでそんな人と一緒にお前らが居るんだよ」
「たまたまだよ」
井上はわんわんに近づき尋ねる。
「どうしました?」
わんわんはとっさにびっくりして敬礼をする。
「なんでもありません!」
のりおはわんわんの様子を見て、ただ事じゃないと思ったが、でも何故敬礼を...と苦笑いした。
「さぁさぁ皆さん中に入って一緒に飲みませんか?おゆきさん用意は良いですか?」
おゆきはニコリと笑い頷いた。
だが麻美と恭子は仕事がある為断った。
「ごめんなさい、私達はここの「出穴」の店で仕事があるので...」
それを聞いたおゆきとなるみの顔つきが変わる。
「あんたらここのお店の人間かい?」
急に顔つきが変わったおゆきとなるみに少し恐怖する麻美。
「え?はい。そうですけど...」
「ふーん」
「え?」
急に強張るおゆき。
これが全ての事の始まりだった。




