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星空の少女は兄の影を追いかける  作者: 白雪
第2幕 B

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9 打ち上げ

 会場の装飾を撤去し、ただの体育館へ戻す。

 清掃が終わり次第、学園内の食堂で打ち上げが行われた。


 マホガニーの長机に私服姿の男女が並ぶ。

 手前には豪勢な料理が並び、いい匂いを漂わせていた。


 感想戦が止まらず、笑い合う声。

 たいへんにぎやかなのに、どこか違和感がある。


 眉をしかめながら見つめた先に、ぽっかりと穴が空いていた。

 本来ならたとえ派手な環境であろうと、目を引くはずの男子。

 どこへ行った?


 ひそひそ、ひそひそ。

 濃いメイクの下で、目を細める女子たち。


 冷ややかな視線の先、テーブルの中央。

 ぬるりと視線を滑らし、あっと瞬き。


 ウイエから見て反対側の席で、アルフがこんがりと焼けた肉に、かぶりついていた。


「これだから森の蛮族は」

「ハイラム様になにかあればどうするのかしら」


 彼女たちが苦言を呈しても、アルフは気にもとめない。

 より香ばしい匂いがあたりに飛び散った。


 ちょうど隣――耳のそばではエレナがにこりと笑い、高い声を出す。


「ハイラムなら大丈夫よ」


 欠席したのは、別の理由があるようだ。

 恥ずかしいから逃げたわけではないだろう。


 勝手に考えていると、急にエレナが耳打ちする。


「それよりもエウリックって知ってる? 実は王立学園の卒業者、魔術大会でも優勝したらしいのよ」


 何人も寄せ付けない圧倒ぶりで、見事に優勝。

 まるで今日のアルフのようだったと。


 自分も兄を連想した。

 歴史にくわしいエレナも、同じ気持ちだろう。


 皿に盛った肉をもぐもぐと頬張りながら、こっそりとグラデーションヘアの少年を覗き見る。


 フーフー! やーやー!

 拳を上げ、チャンピオンになったかのようなポーズを取ると、周りはパチパチと拍手を送る。

 はやし立てる様相だ。


 女子に恨まれながらも、男子たちと仲良くやっているようで、なにより。


「もしかしたら後継者になるかもしれないわね」


 エレナが口走る。

 内心でうなずきつつ、脳裏にはマントがよぎった。

 闇の向こうに赤い色が旗のように揺らめく。


 アルフにかれるのは、兄の面影を見ているからかもしれない。

 なんとなく思った。



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