表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レジスタンス  作者: 猪仲
上書きされた世界
PR
14/15

激動する戦場

【Г2048/10/11】



ノルデン鉱山の地下深く、データサーバー内では中央管制室を制圧した3人が居た。青木がコンソールを操作して四葉の居場所を突き止めようとハッキングを開始している。



「ここのセキュリティは本当に固いですね、かなり時間がかかりそうです」


「そう簡単に突破は無理ということですね、リナちゃんかなり時間がかかるらしいから少し休んでてくれ」


「まだ大丈夫。ヒール!」



魔法ヒールは軽症などを一瞬で治癒する魔法だ。リナは至る所にかすり傷があった。普通なら無視する程度のものなのだが、魔法の赤石の影響で怪我は勝手に治癒されない。軽傷でも放置しておけば大惨事に繋がりかねないのである。


「四葉さんの写真とかないのかな・・・?」


「あ、そうだ・・・僕たちは山本四葉の顔を知らない!青木さん見たことあります?」


「あります!良くお話とかしてましたから」


「よかった、確認ができないんじゃどうにもならないから助かります」


「えっと、確かこの端末に写真があったはず・・・あったこの人です」



写真には山本吾一と楽しそうな表情で写っている四葉の姿があった。黒髪でショートヘアの清楚な雰囲気の女性である。



「この人が四葉さん・・・こんな争いに関係ないはずなのに巻き込まれるなんて」


「私は四葉さんを助けたいです、お友達としてもですが戦争は避けなくてはなりませんから・・・」


「そうだな、とにかく山本四葉の場所を特定しなくては」


「がんばります!」



その頃正面ゲートはもうゲートではなくただの瓦礫の山となっていた。敵は全て殲滅され、降伏したものが捕虜となっていた。



「お前たちの大将はどういう計画で動いているかわかるか?下っ端なら知らなくても当然だ。正直に答えろ」



「は、はい!仰った通り我々は正面ゲートを死守せよとの命令しか受けておりません!時間稼ぎをしろと」


「時間稼ぎ・・・?」


「副隊長、アタシは本拠地に向かったっていう大和と応戦してくる。あとは任せていい?」


「わかりました隊長、お気をつけて」


「父さん!戦艦はどう対処するの?」


「レミか、日本軍の戦艦と我が軍の宇宙戦艦で対処する。お前も加わってくれるなら勝率があがるな、お前もアンドレイのところまで向かってくれ」


「了解、座標を教えて」



レミは隊員の中にいるテレポート系のスキルをもった部下に戦艦武蔵に飛ばしてもらった。レミのスキルは戦艦武蔵の主砲を遥かに上回る威力を持っている。できればナビを使って錬金結界を破壊してから対処したいところだが現在ナビは気絶しているせいで使えない。ならば最大火力で対処するしか手はないのである。



「アンドレイ!アタシも加わるよ!」


「レミが来てくれるなら心強いな!日野さん、出撃だ!」


「了解しました、主機関エネルギー充填100%を確認、副機関より動力伝達、フライホイール接続。主機関始動!戦艦武蔵出撃!」



特殊部隊の宇宙基地から戦艦武蔵、ヴァストーク宇宙軍戦艦V-S3が出撃した。即座にワープで地上まで向かい、ついに大和と武蔵が向かい合った。


その後全ての船を巻き添えにVSー3に搭載されているテレポートコンバーションを使って沖合に転送した。市街で殴り合ってしまうと市民と街に大損害を与えてしまうからだ。



「アレに誰が乗っているのかはわかりませんが、敵対するのであれば我々は排除しなければなりません、主砲!撃ち方始め!取り舵30度、側面にて一斉射撃!」


同じように大和も面舵30度で主砲を撃ってきた。互いに錬金結界があるため攻撃が通らない。どちらかが先に錬金結界を飽和状態にして機能不全にさせるのが勝負の決め手である。


VSー3は随伴しているほかの戦艦の相手をしている。VSー3には錬金結界が搭載されているが、相手は搭載されていない。一方的に砲撃を続けて3隻を仕留めた。



「艦長!側面ミサイル発射装置被弾!」


「バカな!?錬金結界はまだ臨海状態じゃないぞ!」


「翡翠弾か・・・厄介なものを地上に持ち込んだな、ダメージコントロール!上舵15度、大和の実弾射程から遠ざかれ!」


「日野さん!!なんだ翡翠弾って!」


「山本の刀と同じですよ、質量を10万分の1まで圧縮した実弾です」


「そうか、錬金結界の処理能力じゃそんな質量の物体を消すことはできないということか・・・こっちには搭載されてないのか!」


「あんなもの地上に普通持ち込みません!おそらく山本の刀同様反重力物質を織り込んだものでしょう、重量は1トン程度しかないと思います」


「そんなものまで持っているのか・・・どうすればいいんだ」



VS-3が武蔵と大和の間に入り、時間を稼いだ。念のためにVS-3は無人戦艦として運用しているため、これが最も有効に時間を稼ぐことができる。しかし、大和も黙って見過ごすことはなく、主砲から翡翠弾を一斉射撃してきた。



「VSー3が撃破されました!!」


「アンドレイ、アタシのスキルでなんとかできない?」


「流石に10億度で熱しても蒸発する前に着弾する、無理だ」


「それだったら・・・日野艦長、私を外に出してください」


「おい、まだ実弾の射程圏外にいないぞ!」


「やるしかないでしょ!」



レミが甲板に降り立ち、スキルを放った。要塞で使ったものではなく正真正銘全力のプラズマ砲である。直径80mのプラズマ砲が大和の船体を包み込んだ、しかし錬金結界の臨界点には届かず未だに無傷のままである。



「ダメか・・・いや、まだまだ!」


「艦長!推進部に被弾!出力低下します!」


「ダメージコントロール!左翼推進機をフルスロットル、右舷スラスター全開!左右のバランスに気をつけろ!」


「俺が出る!錬金結界を直接破壊しに行く!」


「何を無茶なことを!リナさんみたいに魔法が使えるんですか!」


「使えない、だが秘策はある」


「わかりました、この転送装置を使ってください。レミさんと行けば少しは死ぬ確率も下がるでしょうし」


「恩にきる・・・それじゃあ破壊するまで死ぬんじゃないぞ!」


「任せてください」



アンドレイは甲板にいるレミを連れて大和に転送装置を用いて飛んだ。甲板上に敵はいない、罠であることも警戒しつつ艦内に侵入した。幸いにもスキルを使うことはできるようだ。


「日野さんの話だと確かここを進めば錬金結界の制御室のはずだ」


「アンドレイ!あそこじゃない?」


「間違いない、戦闘母艦と同じスタイルだな。これならば破壊できるはずだ」



戦闘母艦の制御室はコンピュータが錬金結界で覆われて普通破壊できないようになっている。それと同様に大和の制御室は制御室そのものが錬金結界で覆われている。



「錬金結界は臨界させないければ突破できないと思ったら大間違いだぜ?レミ、このマントを羽織って侵入するんだ」


「なにこれ?」


「物質製造機のような物質エネルギーを扱う装置は必ずURという物質を使うんだ、URを物質製造機で作ることはできないが、URは物質エネルギーに変換もできないものだ。このマントは100%URで作られたものだから錬金結界を通り抜けることができる」


UR製のマントを用いて制御室内部に侵入した二人を待ち構えていたのは両腕に鋼製に見えるガントレットを装備した御手洗右助だった。



「よーーーくここまできた!!おいらの名前は御手洗右助だ!!お前たちなかなか度胸がある!てかどうやって錬金結界通り抜けてきたんだ・・・?ちょっと教えてくれない?」


「お前が御手洗か、この制御室に監視カメラとかは存在するか?」


「ない!!俺もここを任されてそれっきりなんだ!」


「実はな、俺たちは四葉を救助するべく動いてるんだ。救助できれば戦況をひっくり返せる」


「四葉さんを救助するううう!?そいつはいい!!きっと山本さん大喜びだぜ!!」


「協力してくれるな?」


「勿論だぜ!なにすりゃいいんだ??」


「ここのコンピューターを全て破壊しろ、それで錬金結界が解除される」


「やりゃーいいんだな?いやまてよ、これ壊したら船が落ちて俺たち死んじゃうんじゃ!?」


「さっきからうっせーよ!声が!声もっと小さくできないのか!」


「むーりでーす!」



しびれを切らしたのかレミがそっと御手洗の元に近づいた。



「アタシはね、あんたみたいな口だけの男は嫌いだよ・・・死にたくなければさっさとやりなさい」


「あわわわわ・・・なんだか姉御みたいだ怖い!!付き合ってくれ!」


「この世から痕跡を残さず消えてくれたらゴマ程度考える」


「なーんかこいつ親近感あるな・・・それじゃあ頼むぞ」


「チェストぉぉぉおぉお!!!」



バカそうでうるさいだけに見えたが、一瞬でコンピューターのほうに移動し、一撃で全ての端末を破壊した。山本の部下なだけのことはある。



「なんだ、やればできるじゃない!見直したよ」


「やったー!それじゃあお付き合いs」


「それ以上口を開くと蒸発させるよ?」


「はい、すいません」


「日野さん!錬金結界を破壊した!推進器を狙って航行不能にしてくれ!」


「了解しました、すぐこちらに戻ってください」



転送装置を使って御手洗を半ば強引に引っ張りながら武蔵に転送した。その直後武蔵の一斉放火が大和を狙い、大和は海に着水した。




少し時間を遡り、衛星砲制御室の近くでエリザと橋姫が対峙していた。二人ともナイフを握り、今にも戦闘が始まりそうな雰囲気だ。



「じゃあやろうか?楽しみだねぇ・・・」


「久しぶりに俺の本気を出せるようだな、全力でいかせてもらうよ」




一瞬二人の姿が見えなくなったかと思うと、部屋の中央でナイフとナイフが交差し、二人が膠着状態になっていた。エリザが後方に下がると、腕に切り傷がついた。橋姫の綱糸が既に張り巡らせてあったのである。



「言っただろ?アタシはナイフと鋼糸をつかうって!!」


「こんなもの子供のいたずらにしか見えないよ!」



エリザは縮地を使い橋姫の後方に回り込み切り込んだが、なぜか切ることができなかった。よく見ると衣服にナイフが仕込んである。



「そうか、こいつ全身にナイフを隠し持っているのか!」


「そうだよ!今気がついたの?遅いんじゃない?」



今度は衣服からナイフを数本取り出して投げつけた。エリザは全て弾き飛ばして橋姫にナイフを投げ込んだが、橋姫も弾き飛ばした。実力は互角のように見える。



「やるねぇ、俺のナイフ投げが弾かれたの久しぶりだよ」


「まだまだ、行くぞ!」



中央部で切り合いが続く、鋼糸に憚れながらもRM製のタクティカルナイフはそれを全て切断した。鋼糸が効かないと踏んだ橋姫は、今度は脇差に持ち替えて戦い始めた。



「ほぉー、リナが言ってた刀ってやつか。面白い!俺も剣に持ち替えるとしようか!」


エリザは転送装置を用いてRM剣を持ち、さっき以上に速度を上げて切り込みに向かう。流石の橋姫もあまりの速度についていくのが精一杯に見えるが、何か策を弄しているようにも見えた。


鋼糸を使い巧みに空間を移動して立体的な攻め方に切り替えた。これならエリザの速度に対抗できると踏んだのであろう。



「なるほど、糸にはそういう使い方もあるんだな?ヴァストークにそんな使い方をする奴はいないから楽しいよ、本当に楽しいよ!!」



エリザは指輪のようなものを首からはずし、指にはめた。そしてその指輪はみるみる変形し、蜘蛛のような足にも見えるものに変わった。それも一本ではなく四本にも五本にも見える。



「これを使うのはリナと喧嘩した時以来だねぇ?ヴァストーク七大宝剣の一振り、破城剣さ!いくぞ!!」



破城剣は文字通り、城を破壊するレベルの大きさまで変化する自由変形型の剣である。形や個数が変化し、自在にコントロールできる。切れ味はあまりないがその破壊力は見た目以上のもので、城を単騎で落としたという伝説も持っている。



「くそ!!なんだこのよくわからないものは!!動きが読めない!」


「どうしたどうした!!さっきまでの威勢と自信は!!」



やや橋姫が押されつつも互いに致命的な攻撃をできていない。破城剣の変則的な攻撃をしつつ、RM剣で確実に仕留めようとするエリザと破城剣の動きを見切りつつ切り込みをかける橋姫で戦闘が続く。



同じ頃データサーバーでは、ついに四葉が監禁されている場所の特定が完了した。青木は目を血走らせながら興奮していた。



「よっしゃぁー!!頑丈なセキュリティだったけど突破してやったぜー!!


「・・・青木さん、目薬あるけどつかう・・・?」


「リナさんありがとう!さあ行こう」



データサーバーの最深部、球体状のメインサーバーとは違い、四角い何もない空間が広がっている。一つ扉があり、セキュリティがかかっているようだった。



「電子セキュリティみたい、これなら私のスキルではずせる」


扉のセキュリティを解除し、中に侵入した。そこにあるのは衛星砲の発射コードを受診するサーバーだった。その前に四葉らしき女性が手足を縛られて放置されていた。


「四葉さん!青木です、覚えていますか!」


「あ・・・青木さん・・・覚えています、確か日野さんの部下の」


「そうです、助けに来ました!」


「よかった・・・あの・・・夫は?大丈夫なのですか!」


「申し上げにくいのですが、あなたを人質に取られ、現在参謀のアドルフに利用されています。しかし今のところ敵対状態にありながらも直接戦闘はされていないと思います。もっとも1時間前の情報ですが」


「そ、そうですか・・・お願いします!夫を助けてください!」


「四葉さん、私はリナ・ワーグナーと申します。この刀にみおぼえはありますか」


「あります、夫のものです。なぜそれをあなたが」


「私に剣を教えていただきました。これは餞別だと」


「あれだけ頑なに流派を教えたがらなかった夫がですか!?」


「はい、今から師匠の元に行きます。大丈夫、絶対に助けます。青木さん、外部情報遮断デバイスを解除してください」


「了解、解除完了しました」


「リナちゃん、僕たちはこのサーバーを操作して衛星砲を撃たせないように作業を進めるよ、親父!聞こえるか!!」



なぜか応答がない。現在の戦況を把握していない三人は何があったのか理解できなかった。


「レミ!応答してくれ!ナビ!!エドワルトさん!」


「エドワルトだ、どうした」


「よかった、ほかの部隊と連絡が取れないんです」


「ナビは生きているが敵にやられた、レミは今頃大和とやりあっている。この通信端末じゃ届かない。アルフォードは俺たちも確認中だ」


「そうですか、四葉さんの救出に成功しました!そちらは安全ですか」


「ああ、こっちは軍隊に損害なしで完全に陣地を制圧できている。来るならこっちにこい」


「お父さん!今から四葉さんと一緒にそっちに飛ぶ。シガール兄と青木さんは衛星砲をなんとかするって」


「わかった」



リナはオーバーマジックマルチテレポーテーションを使ってエドワルト引きいる側面牽制部隊と合流した。四葉は保護され、いよいよ残すところは司令部のみである。



「リナ、お前は司令部に侵入し山本に事実を伝えに行け。俺はアルフォードがどうなったか確認しに一度本拠地に向かう」


「わかった、お父さん気をつけて」


「お前もな、検討を祈る」


「親父!俺も行く、司令部だったな?」


「アンドレイ、お前もいるとリナも心強いだろう。一緒に行ってやれ」


「足手まとい」


「おい!!行くからな!山本のやつに一発食らわせないと気がすまん!」


「わかったよ兄、早く来てね」


エドワルトとリナはそれぞれ持ち場へ向かった。アンドレイも転送装置を用いて司令部の前に向かう。正面ゲート、側面、大和と制圧、破壊をしていよいよ残すところはアドルフが率いる司令部のみだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ