03:破壊と修復
「はぁ……はぁ……」
俺は一歩ずつ、一歩ずつゆっくりと歩く。
この建物の中を探し始めてから何分がたったのだろうか……時計がないから分からない……が、10分……いやもっとかかったかもしれない。
入るとき、階数を数えた……。全部で3階。
今居るのは、3階……
「一体、どこに……」
あの男を警戒しつつ……急がなくてはならない。
部屋を見つけては中を見るの繰り返し……。
「もしかしたら、爆発じゃないんじゃ……」
瞬間。
「ま、またっ!?」
バグォォォォン……という音、次いで少しの揺れが起こった。建物はカタカタと少しだけ揺れ、数秒で収まる。
「い、今のは……!? 間違いない! アイツだ!」
音からして……。
「し、下の階!」
ヤバイ! 早くしなければ……!
今のは間違いなく攻撃だ!
だったらあの女性は……。
「い、いや……もうそんな考えは……急がなければ!」
俺は部屋を飛び出し、廊下を走り抜け、階段を駆け下りた。
途中、1度だけ爆発音がしたが音も衝撃も小さかった。
もしかして相手は爆発の威力を変えれるのかもしれない……。
「はぁっ……はぁっ……どこだっ! どこにあい……なっ!?」
窓から見えたのは、あの男とそして女だった。
女は血を流してるのか、スカートが赤くなっている。
「あ……あの男……お、俺に……」
俺が追っているのはスデに気付かれていた!?
なぜ……?
いや、そんなことは後で考えればいい!
今は……。
窓から男をうかがう、今俺が居るのは2階
男は、森の方へ歩いていく。
「やばい、森の中へ逃げられたら……」
男が振り返った。
「え……?」
ニヤリ、と男が笑ったような……そんな気がした。
ポーカーやダウトで、相手が自分の罠にまんまとはまったときにする、あの感じの……。
悪寒が、走る。
やばい、何かがやばい。
何がやばいのかは分からないが、とにかくやばい!
男が、手を振った。
「う、うっおっああああああーーーーっ!!!!」
俺は全力でその場から走りだす。
バグォンッ!
爆発音が鳴った直後、俺の体は前方へ吹っ飛ばされた。
「ぐっが! あっ……! ぐっ!」
2度、3度体を床にたたきつけられる。
腕が、足が、体中に痛みが走る。
「ぐぅ……あっ……」
間違いない、あいつの……あの男の能力は爆発。
早く追わなければ……。
そう、頭の中で分かっていても、体が動かなかった。
「はぁっ……はぁっ……くそっ……」
這ってでも、這ってでも行かなければ……。
もうこれは、俺だけの問題では無くなった。
あの男は、確実に人を殺そうとしている……。
他にも……殺されるかもしれない……。
「き、……煌……」
壁に手をつき、なんとか体をあげる。
足がふるえ、視界もかすむ。
頭に触れた手に、血がベトリとついた。
「っ……はぁっ……はぁっ……ち、畜生……床が……」
爆発した方を見ると、床に巨大な穴が開いていた。
階段は、その奥……。
「こ、この道は……いけそうにない、ほかの……他の場所を探さなければ……」
この床が……直れば、渡れるのに……。
いや、そんな考えは止めよう。
振り向いて、俺は歩きだした。
いや、歩く。なんてスピードじゃあなかった。
「……ん?」
後ろの方で、何か音がした。
今度は爆発じゃあなく、なにか……堅い物どうしがぶつかったような音。
「……え?」
一瞬、何が起こっていたのか分からなかった。
「そんな……なんで……ゆ、床が……」
床が、直っていた。
焦げ跡も、なにもかもが新築のようにきれいに直っていたのだ。
「一体……何が……だ、だれ……誰の」
誰の能力……。
「ま、まさか……!」
俺は、ポケットから血が付いた1枚のカードを取り出した。
王が玉座に座り、剣を持つ。
そのカードの名は、正義。
「まさか! 俺の能力!?」




