不動産屋
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不動産屋
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私は鈴木家の男に教えられた不動産屋に来ている。
取りあえず猫被って不動産屋の店主から色々聞きだす事にしよう。
中には行ってみると、書類の山が両隅に積まれており、家具といえば奥の方に一つの机しか見えないという、とてもじゃないが不動産屋には見えない光景が広がっていた。
これならまだゴミ屋敷と言われた方が納得できるかもしれない。
しかし、ここにしか黒沼上官の手掛かりが無いのだ。いくらゴミ屋敷にしか見えない不動産屋だったとしても、ここに頼るしかない。
「あ、あのぅ、すいませーん。」
部屋の中は静かで、私の声だけが響く。
「あのー、誰かいませんかー?」
「あぁ、すまんすまん。お客さんかい?」
私の呼びかけに反応した声は、机の方から聞こえてきた。
どうやら店主はいるみたいだ。
「少し尋ねたいことがあるんですー、教えてもらいたいんですけどぅ・・・」
「なにかな?」
――30分後
大体の事を聞き終えて私は不動産屋を後にする。
分かった事は分からないという事だけだった。
取りあえず引っ越し先の大体の場所は教えてもらえた。
どうやら親の実家に移ったらしい。
ここからかなり離れてはいるが行けない距離じゃない。
これも黒沼上官なりの私への挑戦状のようなものだと考えよう。
取りあえず私は黒沼上官の実家に行く事に決めた。




