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オリジナル・バトルロワイアル  作者: 八緒藤凛
一日目
46/54

42 続・血の祝祭

1


 森林地帯と南側住宅街に挟まれる繁華街。結構な長さの通りだが、どの店も電気は点いていない。だが扉は空いている店が多く、不自然な光景だ。そしてその道の端を歩く四人組は、更に異様なおおよそ統一感のない一行だった。


 一人はグレーのスーツ。一人はどこかの学校の制服。一人は無難なメンズファッション。そしてもう一人はピンクと白のフリフリワンピース。


「服屋ないのかしら、ほんとに」


 最後尾を歩くフリフリワンピースの少女、穂高凛(ほだか・りん)が切実に呟く。


「ハハハ、放火に続いて万引きまで働くおつもりですか……。いやはや、最近の女子高生は恐ろしいですね」


 それに対し、その前を歩くグレーのスーツの男、室島斬也(むろしま・きりや)が軽口を叩いた。


「あんたいつか殺すわよ!」


 ワンピースの少女はその背中をたたきながら、半ば冗談、半ば本気といった体で返す。


「……仲良いね」


 更にその前を歩く逢坂秀都(あいさか・しゅうと)が疲れ気味にぼやいた。


「二人とも元気だよね……」


 先頭を歩く制服姿の女子高生、高坂星華(こうさか・せいか)も余り元気ではない。


 先程森の入口で出会ったこの四人は、何となく行動を共にしていた。

 今は、夜を越せる建物を探している。



2


「ん……?」


 ふと、室島斬也は違和感を感じた。この既視感はあの時と同じだ。遊園地の事務所で、凛が放った火球を自分の能力で無効化した時と。なので一応、斬り捨てておく。


 未だに後ろから自分を小突いてくる穂高凛をいなし、そっと前を見やる。が、なにせ暗い。自分に支給されている腕時計を暗闇の中で辛うじて読み取ると、時刻は七時三十分頃を示していた。


「どうされました? どなたかいらっしゃいます?」


 声を潜めて、前にいる秀都に問う。

 先頭の星華が止まっていたので、今は皆足が止まっていた。


「ああ」


 秀都からの返事はそれだけだった。


「何、どうしたの?」


 状況が読めない凛が大きな声を出すも、秀都からの返事はなかった。この二人が微妙にギクシャクしているのが気になるが、それは後だ。


「っ……」


 まただ。胸が小さく小突かれる様な感覚、小さな違和感。斬也はそれをまた斬り捨てる。これが何かは分かる。自分の能力【マジックキャンセラー】が発動条件を満たした時に感じるものだ。事務所で凛の火球を無効化した時に感じたのと同じもの。そしてこの能力の効果範囲は「自分とその周囲」なので、つまりこれは。


「……敵ですか」

「まだ分かんないけど、そうなのかな」

「いえ、攻撃を受けていますよ」

「え、なんでわかるの」

「ハハハ、【マジックキャンセラー】なので」

「ああ、なるほど」


 秀都にだけは自分の能力を話しておいて良かった。彼はその一言だけで状況を把握したらしい。自分がその攻撃を「斬り捨てている」ことも。


「何よ、誰かいるの? まどろっこしいわね」


 凛がリュックをガサゴソと漁っていたかと思えば、背後から強烈な光が前を照らした。無遠慮にも、凛は懐中電灯を前の人物に向けていた。


 光の直撃を受けたその人物は、怯むこともなくこちらを見据えていた。



3


 四人の前に立っていたのは黒髪の少年だった。白を基調とした制服に、黒いズボン。そして背には黒いリュックサック。紛うこと無きこの試合の参加者。


「貴方ですか、攻撃を仕掛けてきたのは」


 斬也が問うも、その少年は反応する気配がない。そもそもあれは、生きていると言えるのだろうか。生気を纏わないその目と出で立ちに一種の畏怖を覚える。


 胸の違和感は何度も続いていた。つまりそれは、その少年が何らかのアクティブスキルをこちらに向けて放とうとしているという事だ。それら全ては自分の能力で「斬り捨てて」はいるが、どれだけの敵意があればこれ程続けて攻撃しようと思えるのだろうか。


 いや、もしかしたら攻撃のつもりはないのかもしれないが、念には念を入れて無効化を続ける。


「ちょっとあんた、返事くらいしたらどうなの?」


 珍しく凛が加勢に入ってくる。だがそれでも、少年からの反応はない。虚ろな目でこちらを見続けているだけだ。


「埒が明かないわね。ちょっと乱暴だけど、口開くまで水攻めにでもする?」

「過激派すぎません?」


 あれだけ魔法を使うのを嫌っていた凛が今ではこんな事を言い出すのだから、慣れというのは恐ろしい。


「待って待って、そんなことしなくたって、別にこのまま通ればいいんじゃないかな」


 至極冷静な意見を出したのは逢坂秀都だ。実に彼らしいと思う。確かに道幅の広さを考えれば、通り抜けることは出来そうだ。まあそれは、【マジックキャンセラー】である自分の存在あっての提案だろうが。


「話が通じそうもないですし、仕方ないですね」


 見たところ、非力そうな少年でしか無い。どのような能力を持っているのかは分からないが、アクティブタイプの能力であるのならば問題ではない。秀都が、星華を促し歩き出そうとする。だが――


「……秀次くん」


 高坂星華は、消え入りそうな声で呟いた。



4


 制服姿の少女、高坂星華はここまで一言も話さなかった。それどころか微動だにせず、ずっと前の少年を見つめていた。驚きが、彼女の身体を硬直させていたからだ。


 連秀次(れん・しゅうじ)。森の中の小屋で秀都に名簿を見せてもらった時に思わずこの名前に反応してしまった。あれは不覚だったと今でも思う。彼は、あたしのクラスメイトだ。


「何してんの……って、聞くまでもないよね。ははは、やっぱり居たんだ」


 まあそれは、名簿を見た時から予想はしていた。心構えもしていたつもりだが、不十分だったらしい。鼓動が高鳴る。


「高坂さん、知り合い?」

「うん、まあね。クラスメイトだから」


 そう答えると、秀都は少し安堵の顔をした。私のクラスメイトと聞いて、穏便にことが済むと思ったのだろうか。でもきっと、秀次くんはそういうのじゃない。


 今、あたしは一人ではない。秀次くんと話したい事はいくつかあるけど、自分の都合で皆をここに足止めするわけには行かない。今の自分達には、夜を越せる場所を探すという目的がある。


「先言ってていいよ。あたし、ちょっと話したいし」

「まあ、こんな場所で出会ったクラスメイトだもんな。いいよ、じゃあ俺達は――」

「少しお待ちを」


 秀都くんは了承してくれかけたが、鋭い声で遮ってきたのは斬也さんだった。彼にしては珍しく、険しい顔をしている。


「その案、私には飲めませんね。四人で行動する方が得策かと」

「え、なんで」

「私達の会話、聞いてませんでした?」


 そう言えば、後ろで「敵」だとか「攻撃」だとか言っていたような気もする。秀次くんに会った衝撃が大きすぎて、ちゃんと聞いてなかった。凛ちゃんが懐中電灯で照らす前から、あたしには秀次くんの姿が見えていた。【戦場のヴァルキュリア】という能力は、夜目も利くようになるらしい。


「……ごめん、聞いてなかった。何?」

「彼に攻撃を受けています。今も、ずっと」

「そう……」

「驚かないんですね」

「まあ、ね」


 何となく予想はしていた。今の秀次くんなら、そういうスタンスでもおかしくないなと思う。


 普段から何を考えているのか分からない、無表情、無感情だなんて、クラスでは好き勝手言われていたけれど、あたしは知っている。彼は元々底抜けに明るかった。小中高全部一緒だったから、それは間違いない。


 中学三年のあの日から、彼の心は完全におかしくなってしまったんだ。



5


 始まりはなんだっただろう。きっと些細なことだった。彼がたまたま女子の着替えを見てしまったとかそんな事。でも中学三年生にとってきっかけなんて単純だ。その日始まった些細なからかいは、いつしか大きないじめになっていた。


 見てられなかった。明るかった秀次くんが日に日に心を閉ざして行くのをあたしは見てられなかった。小学校の時から、何度も話した事もある。家が近かったから、一緒に帰ったこともある。いじめが始まってからだって、朝出会えば一緒に登校した。でも、そのことすらもいじめの原因になっていたのを、あたしは知らなかった。


「なあ、もういいよ。俺に構わないほうがいいと思う」


 寒い日の朝だった。秀次くんは私の目を見もせずに言い放つと、そのまま一人で学校へと歩いていってしまった。汚れまみれになった制服と、傷だらけの鞄が痛々しく見えた。


 突き放されたようで、すごく悲しかったのを覚えている。


「なんでっ……なんで抵抗しないのっ……!」


 十五歳のあたしからは、そんな言葉しか出てこなかった。不甲斐ないと思った。どんな言葉をかけても彼の力にはなれないと、どこかで理解していた。せめて心の傷を少しでも癒せたら、と思っていたけれどそれも出来ない。


 その日は本当に寒い日だった。途中で友達と出会って一緒に行ったけれど、あたしはきっと上の空だったと思う。だからだろうか。彼に刺されても、そんなに痛くなかった。




6


 その日は、気がつくとベッドの上だった。記憶は全然定かじゃない。でも何となく、彼の驚いた顔だけを覚えている。


「星華」


 隣に座っていた友人は、いつものように涼しい顔をしていた。涙のあとが見えたけど、触れない方がいいんだろう。


「……雪優、ここ、どこ」

「病院だよ。星華、刺されちゃったの」

「ふーん……」


 徐々に蘇る記憶。驚いた顔の秀次くんと、泣きそうな顔のクラスメイト。

 茫然自失のまま取り押さえられる彼と、救急車のサイレン。


「傷は深くないって。私、先生呼んでくるから」

「うん」


 部屋を出て行く友人を見送る。

 そこから私は、もう一度寝て、夜に起きた時には誰も居なかった。


 その日から、秀次くんの親と担任の先生、それから校長先生が何度も病院に訪ねてきた。彼の両親とは顔見知りだったけれど、見てられないくらいに謝られた。でも、秀次くんの所在については何も教えてくれなかった。


 先生たちにはいじめのことを伝えて、どうにか事故に出来ないかなって思ったけれど、目撃者が多すぎたから難しいらしい。報復した人間だけが悪者にされるのは哀しい。でも、あたしが庇わなければきっともっと大きな事態になっていただろう。



 学校は一時騒然となった。刺されそうになっていた、あの時半泣きだったクラスメイトはいじめの主犯格で、彼も不登校になったらしい。あたしが学校に復帰した時、二つの空席が目立って見えた。


 あの時は、反射的に身体が動いた。秀次くんはきっと、感情的に動いたんじゃない。殺す気だったんじゃないかなって、今でも思う。あたしが身を出さなければ、いじめの主犯格だったクラスメイトの事を滅多刺しにしていたのかもしれない。


 あたしは何を庇ったのだろう。クラスメイトは勿論だけど、秀次くんの事も庇えたのだろうか。幸い、警察沙汰にはならなかった。所詮十五歳の一女子中学生が出来た事としては悪くないんじゃないだろうか。高校の入学式で秀次くんを見た時は嬉しかったけど、別人のようにやつれていた彼を長くは見れなかった。



7


「ねえ、秀次くん。あたし、あの後も秀次くんが学校来てたの知ってたよ。特別なんとか室? だっけ。行こうと思ったけど止められたし。ていうか、秀次くんがあたしにだけは会いたくないって言ってたのも知ってたんだけどさ」


 問いかけるように投げた声は、それでも秀次くんの表情を変えなかった。あの日以来、一度も喋ることなく二年が経ってしまった。こんなイレギュラーな場所でさえも、それは変わらないのだろうか。


「高坂さん……?」

「星華ちゃん……?」


 秀都と凛が、訝しげな顔で自分を見る。確かに、今のはただのクラスメイトにかける言葉としてはおかしい。けど今は……。


「別に、あたしは怒ってないよ。ていうか謝りたかったし、抵抗しないのとか言ってごめんって。もっと早くに助けられなくてごめんって。だから、また話しようよ。あたし、秀次くんと話すの嫌いじゃなかったんだからさ」


 心の底にある、ずっと言いたくても言えなかった言葉を押し出した。こんな場所だし、周りに人はいるけれど、今言わないと永遠に言う機会がなくなりそうな気がした。


「ねえ、……何か言ってよ」


 それでも、秀次くんは一言も話してはくれなかった。あたしの声が聞こえていないかのように、ずっと目を見てくるだけで。


「高坂さん、君とあの子との関係は一体」

「ただのクラスメイトだってば!」

「……そうか」


 逢坂秀都は察しが良い。それは今、すごくありがたい。でももう、あたしに手持ちの言葉はなかった。これ以上は何を言っても届かないのだろう。


「……ごめん秀都くん。……いいよ、行こっか。ごめん皆、あたしの勝手で時間取らせて」

「それは全然いいわよ。友達との再開だもの、生きてる内に話しておかなくっちゃね」


 凛ちゃんが、自分に言い聞かせるように言ってくれる。


 諦めたくはないけれど、もうあたしには彼の生存を祈るくらいしか出来ない。秀都くんがこの殺し合いをぶっ殺してくれるのなら、お互い生きて帰れるのかもしれないし。


「では、行きましょう」


 斬也さんがずっと険しい顔をしていたのが気になった。理由は後で聞こうかな。


「じゃあね、秀次くん」


 未だに目だけを見てくる秀次くんの横を通り過ぎながら、あたしは心が締め付けられるのを感じていた。



8


 ……彼女は、何を言っていたのだろう。

 遠い記憶を漁りながら、連秀次は去っていく四人の背中を見つめていた。


 初めは「四人同時に溶かせばどうなるのだろう」という好奇心しかなかった。でも先頭を歩いていた少女は、どこかで会ったことがあるような懐かしい匂いを醸し出していた。……思い出せない。せめて耳が聞こえたなら、と今更になって後悔する。


 今、二つの疑問が胸の中にある。


 一つ目は、彼女が誰だったのかと言うこと。自分の頭の中の記憶は、つい最近のものしか残っていない。いつからこうなったのかもすら覚えてない。何かきっかけが有ったのだろうと思うが、思い出せないのだから仕方がない。その日その場所の好奇心の赴くままに過ごすしか、生の意味はないとまで思う。


 二つ目は、何故あの四人に能力が効かなかったのか。自分の能力【メデュー酸】は、好奇心を満たすのにはぴったりだった。人体溶解という未知の体験は、一度目はたしかに自分の心を少しだけ踊らせた。二度目はマンネリを感じたが、四人同時は正直見てみたかった。


 また楽しくなってきた。「疑問」というものは「好奇心」へと昇華される。

 まだまだこの場にいる意味はありそうだ。



No.40 連秀次(れん・しゅうじ) 17歳

【能力名】メデュー酸

【能力】 目が合った瞬間に発動することで、その対象の全身を痛みなく溶解させる能力。ただし「一度でも発動すれば聴覚を失う」

【タイプ】アクティブ

【系列】 規格外




9


「高坂さん。今の子は一体なんですか」


 生気のない少年と別れてから、高坂星華はまた口を開かなくなった。自分が【マジックキャンセラー】であの少年の攻撃を無効化し続けていたとも知らずに。


「お願いします。今後の為にも――」

「あんたね、デリカシーってもんはないの? どう見てもワケありでしょ、ちょっと黙ってたらどうなの!?」


 口を開いたのは穂高凛だ。ふざけた格好のくせに眉間に皺を寄せてこちらを見る。


「まあ、それもそうですね……。夜は長いですし、どこかに腰を落ち着けてからでも悪くはないですが」

「結局聞き出すつもりじゃない!」

「ハハハ、すみません。気になってしまうもので」


 本当に気になる。クラスメイトと言うのなら、何故攻撃を仕掛けてくるのか。いやまあ、アクティブスキルと言うだけであって攻撃ではなかったのかもしれないが、あの雰囲気は何にせよ異常だ。凛の言うとおり「ワケあり」なんだろう。


「待たせたかな」


 逢坂秀都が、一軒の民家から姿を現す。


 繁華街を突っ切るとそこには住宅街があった。ところどころに街灯が光っているのを見ると、電気はどこからか供給されているようだ。夜を過ごすために、今秀都が一軒の民家の中を見てくれていた。


「どうです? ちゃんと寝室はニ部屋ありましたか」

「ん? いや、それは見てないが……部屋はいくつか有ったかな」

「それは良かった。女性陣、特に凛さんが気になさるでしょうから」

「別に緊急事態にそんなの気にしないわよ、あんたが外で寝てくれればね」


 凛はぷいっと顔を逸らした。


 

No.1 逢坂秀都(あいさか・しゅうと)21歳

【能力名】災厄回収

【能力】 退場者の身体に触れる事で、その者の能力を自身に宿すことが出来る能力。

【タイプ】アクティブ

【系列】 規格外




No.34 室島斬也(むろしま・きりや)23歳

【能力名】マジックキャンセラー

【能力】 自分とその周囲を対象としたアクティブスキルを無効化する能力。

【タイプ】アクティブ

【系列】 能力操作系



10


 顔を逸らしながらも、横目でチラリと気づかれないように星華ちゃんを見る。

 ……痛々しい。目が虚空を見つめているのが分かるし、手もよく見れば小刻みに震えている。


「ねえ、星華ちゃん……」


 その震える手を抑えるように肩を掴んであげた。

 身長が一回りも低いので、星華ちゃんのは顔が随分と下にある。


 たぶん事情が違うのだろうけど、中御門桜(なかみかど・さくら)を亡くした自分もこうだっただろうか。いや、それはまだ現実感がないからここまでではない。それにあの時はすぐに室島斬也が現れたので、感傷に浸る暇もなかった。そのまま奴のペースに引き込まれたが、……まあ、結果的には感謝してもいいのかもしれない。


No.30 穂高凛(ほだか・りん) 18歳

【能力名】エレメンタリスト

【能力】 四大元素を基礎とした魔法を展開可能。詠唱を正しく唱えた場合のみ発動する。

【タイプ】アクティブ

【系列】 物質操作系






 三人の会話も凛の言葉も、どこか遠い出来事のように聞こえていた。

 この場で何を優先するべきは分かっている。自分の過去と都合だけでこの集団を振り回すことは出来ない。ある程度の感情は噛み殺さなければいけない。


 そしてあたしには、それが出来る。状況を鑑みて、どれくらい感情を出せばいいかを概算することが出来る。何を言って何を言わないかが最善なのかを分かっているつもりだ。


 ……それでも、震えが止まらない。


「ごめん凛ちゃん、もう大丈夫! ってか、この家シャワーとかあるのかな?」


 ぶるぶると震える手を隠すように、あたしは後ろ手を組んで会話に混ざった。






 あの事件を知ってる人が「血の祝祭」だなんて言っていることは知っている。

 それは連くんが刃物を手に持った時に、「祝祭だ」と呟いたのを近くの女子が聞いていたとかいう話だった。でもあたしには何となく分かる。あれは「祝祭」じゃなくて「粛清」だったんだろうなって。

 まあそれは、今となってはどうでもいいんだけど。



No.10 高坂星華(こうさか・せいか) 17歳

【能力名】戦場のヴァルキュリア

【能力】 身体能力が著しく上昇する能力。ただし「???」

【タイプ】パッシブ

【系列】 身体変化系


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