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オリジナル・バトルロワイアル  作者: 八緒藤凛
一日目
40/54

37 爆雷大戦争

1


「さあ決めろ、今すぐ決めろ! 闘うなら倒す、逃げるなら殺す。答えは決まってるだろこれ!」

「はー……。穏便に済ますってのはねーのかよ?」

「ないな!」

「話通じねえなあ」


 日が沈みかけ、家々の影が長く連なる北側住宅街。

 青い髪の少年と、中折れ帽を被った長身の男が路地の交差点で対峙する。


「んー……」


 長身の男は、【イクスプロジア】たる爆塵奏者。

 その男、漁火奏汰いさりび・かなたは目の前の青い髪の少年を観察した。


 160cm程の身長と、風になびく青色の髪。表情は闘志に溢れ、この状況を楽しんでいる様にすら見える。黒い制服はところどころに土埃が付着し、背には参加者の証である奇抜な色のリュックサックがあった。


「はー……。いいぜ、闘ろうや」


 その返事に、【サンダーテイカー】たる青い髪の電撃少年、雷岩陽仁らいがん・あきとは楽しそうに笑った。


「いいね! やっぱりそうじゃなくちゃなっ!」


 奏汰が指を構える。左足を引き、いつでも回避出来る体勢に入った。

 相手の能力が分かるまでは待ちの一手。後手必殺。


 陽仁も同じく指を構えた。銃撃の構え、雷光を飛ばすには別になんでもいいのだが、これが一番雰囲気が出る。

 相手の能力が何であろうと先手必勝。後手に回る理由はない。


「ふぅー……」


 一陣の風が舞う。どこからか飛んできた石の欠片が二人の間に転がってきた。


「おっと、闘いの前には自己紹介だよな! 先に名乗ろう、おれの名前は――」

「って、石?」


 風と共に石。

 その違和感に気付いたのは奏汰で、その言葉で嫌な予感を感じたのは陽仁だった。


「やっとっ、見つけたっ」


 別の道から現れたのは、身長ニメートルには届こうかという巨体。よく見ればそれは人ではなく、大きな石が一人でに歩いているようだ。そしてその後ろから姿を現したのはあどけない少女。【古代の錬金術士】の能力を持つ、創造少女の兵丹七葉へいたみ・ななば


「げっ、お前は……」


 雷岩陽仁はその少女を知っている。

 つい二時間ほど前に彼女の連れているゴーレムと闘い、負けた。陽仁の能力では相性が悪すぎたのだ。


「もうっ、キミが死んでくれないとっ、この子がっ、次のターゲット見つけられないでしょっ」

「知るかよそんなの! お前の都合押し付けてくんなよ! これだから話通じないやつって嫌いなんだよ!」

「いや、お前もだから……」



2


 三者三様の戦意が有ると言っても、状況は一端膠着しかけた。三つ巴ほど面倒な状況はない。三人の人間はお互いを牽制し合うのが道理だ。ただひとつ、石のゴーレムであるトントンを除いては。


「いけっ、やっちゃえっ!」

「あああああだからお前だけはまじでむり! やめろってほんと!」


 『誰かを見つけ次第、殺せ』の命令を与えられたそのゴーレムは、一度決めた標的が死ぬまで追う。二時間ほど前に不運にもその標的に設定されてしまった雷岩陽仁は、能力相性最悪のそのゴーレムに追われ続けられる運命だった。


「お? もしかして俺、フリー?」


 状況を把握した漁火奏汰。だがその発言はとても藪蛇。


「んっ? お兄さんはっ、この子の相手っ、するっ?」


 よくよく見れば七葉の後ろには更にもう一体、動いている黒いモノがあった。


「おっと、出来れば勘弁願いてえなあ……」

「えへっ? なんでよっ? 楽しいよっ!」

「ねーよ」


 七葉の後ろのその生物は全身が流れるように蠢いており、タイヤの様なトレッド模様が全体に刻まれている。


 材質ゴム。火力0、速度50、耐久50のクロ。

 七葉が陽仁を取り逃がしてからここへ来るまでの間に新しく作成していたゴーレムだった。


「でもっ、残念っ、もうこの子にはっ、命令あげちゃったからねっ」


 その発言に頷くように、その黒い生物は顔にあたる部分を激しく動かした。見ていて気持ちの良いものではない。

 だがその擬似顔面、あの石のヤツにもある目や口に見える部分は、奏汰には見覚えがあった。森での戦闘、仁科神にしな・しんとの共闘で撃破した木の化物はもしかすると。


「なあお嬢ちゃん、もしかしてそれ、木のヤツとかもいる?」

「なんで知ってるのっ? あっ、もしかしてモックン倒したのってっ、お兄さんっ!?」


 名前まで有ったのか。だがあの化物が彼女の能力の産物だとすると、そこら中にうろついてるわけでもなさそうだ。それについては安心していいのかもしれない。


「悪趣味だなオイ。それで人殺しまわってるってワケだ、まあとやかく言わねえけどさ」

「おおおおおおおい! お前決闘受けたんだからまずおれを助けろよ!!」

「さーて、俺もすることねーみたいだしどっか行こうかなあ」

「はああああああっ!?」


 青い髪の雷岩陽仁の叫びを無視して、奏汰は来た方向へと戻り始めた。



3


「はっ! こいつに勝てないんならお前を攻撃すればいいんだ!」


 陽仁はトントンの振り下ろしを横に避け、そのままの体勢で銃撃の構えをとる。


「喰らえ!」


 指先からほとばしった電光。それは無防備な兵丹七葉へと一直線に向かっていく。


「残念っ」


 だがその攻撃は、七葉の横にいた黒い生物に阻まれた。

 『私を守って』の命令を下されたゴムのゴーレムクロは、忠実にそれを守ったのだ。


「ドオオオオ!」


 更に攻撃の隙を突いて、トントンが腕を横に振るう。

 陽仁は倒れかけた身体を右手で支え、そのまま地に伏せそれを避けた。


「危ねえっ! ほんと死ぬから、やめろよ!」

「やだやだっ! やっちゃえっ!」


 トントンは攻撃を止める素振りはない。ゴーレム達の行動原理は機械的、攻撃が止まることはない。


「だったらっ! あんまりやりたくないんだけどなこれ!」


 右手を天に掲げて場所を念じる。湾田守蔵わんだ・もりぞうを殺害した時のように、七葉の頭上にも雷撃を落としてやろうと。


「ドオオン!!」


 今度は突進。トントンが鈍い動きで陽仁へと迫ってきた。そちらへ意識を割くと、落雷の位置がずれる。


「ひゃっ」


 案の定、雷は見当違いの方向へと落ちた。

 七葉の立っている道路とは違う道、漁火奏汰が去っていった方向から衝撃音が聞こえた。



4


「あん?」


 既に遠く離れていた奏汰には、一瞬なにが起きたか理解できなかった。

 後ろから聞こえる戦闘音と青い髪の少年の叫び声を聞き流しつつ、悠々と歩を進めていたところだ。


 だが突然、目の前が真っ白になり、足元にとてつもない衝撃を感じた。

 ようやく目が慣れた頃、歩こうとした先に大きなヒビが入っているのを見つけた。


 光、ひび割れ。何者かの攻撃。そう判断せざるを得ない。


「ったく、次から次へとなんだってんだよ」


 慌てて周囲を見渡すも、どこにも人影は見当たらない。とりあえず自分も道の端へと寄って、身をかがめた。後ろからは未だに衝撃音と声が断続的に聞こえてくる。


「何してんだ?」


 だが次の声は前から来た。

 進もうとした先、夕日に照らされた道の先に、一人の青年が立っているのが見えた。


「何してんだはないだろ。攻撃仕掛けといてどういう了見だよ?」

「おいおい、勘違いしないでくれよな……。確かに今すごい光ったけど、俺じゃないぞ?」

「あーん? イマイチ信用できねーなあ」

「ひどい誤解だな……。って、あっちにも人居るよな、どういう状況なんだ?」

「あー、戦闘中」

「ははっ、端的だな!」


 青年は一定の距離を保ったまま近づいてこない。何を警戒しているのか。

 とはいえこの場で根っからの平和主義者は格好の獲物になるので、青年の判断は正しいとも言えるなと奏汰は納得した。

 実際、その青年には別の理由が有るのだが。


「なあ兄ちゃん。俺は漁火ってもんだ。能力、教えてくれよ」

「お? いいぞ。あーでも使ってみせるのは勘弁な……」

「ほー? それはまたどういう意味で?」

「うーん、説明しにくいな。あんま、能力使いたくないんだよな。おっと、そう言えば名乗ってなかったな。俺の名前は烏丸千星からすま・ちほ。女みたいな名前だけど、気にしないでくれよな!」


 その自己紹介は慣れているのだろう。照れも淀みもなく言い切って、にかっと笑う。見るものを惹きつけるような、太陽のような笑顔だった。



5


 烏丸千星は警戒していた。

 今相対している中折れ帽の男をではなく、自分のことを。


 これ以上近づけば、またあの正体不明の殺傷衝動が自分を襲うのかもしれない。病院で百瀬凛月華ももせ・りつかに抱いてしまったような、目の前の人間を有無を言わさず殺してしまいたいと思うあの感情を。


 一度目の衝動は能力を使ったタイミングで訪れた。

 二度目は凛月華の姿を認識した時だ。

 その二つに、人と関わった事以外の共通項は特に無い。だからこそ怖い。


「能力不使用ときたか。ふーん、それはなんで?」

「言ってもいいけど、信じてもらえるか微妙だぞ。後、それなら一つ俺の質問にも答えてほしいな」

「まあ内容次第だな」


 掴みどころのない男だ。千星は第一印象としてそう思った。

 廃墟で出会った眼鏡の青年や、凛月華にはない余裕が見て取れる。


 一方、漁火奏汰は千星の本質を掴みかねていた。

 状況からみて、自分に攻撃を仕掛けてきたのは間違いなくこの男だ。

 だがその笑顔と言動から読み取れる人間性には、他者への攻撃性を感じさせる部分が無い。


 奏汰は陽仁の能力を知らない。だからこそこの勘違いが生まれる。


「あー、まあ言うぞ。誤解はしないでくれよな。俺が能力使うと……、誰かを傷つけたくなってしまうんだよな……」


 千星はこれでも言葉を選んだつもりだ。争うつもりのない彼にとって、出来るだけ過激な発言は避けたいところだった。


「ほーん、楽しそうだなあそれは」


 だが奏汰の返しは無遠慮だった。一触即発の空気が流れる。


「おいおい! ほんとに違うんだって! 分かってくれよな……」

「どう感じるかは俺次第だからな。で、質問ってのは?」

「聞いてくれるのか? この写真なんだけどさ……」

「あー、あんま近づくなよ」


 二人の距離は離れている。千星が妹の写真を見せ、こいつ知らないか? と聞こうとするなら、ある程度は近づく必要がある。だが奏汰はそれを拒否した。先程の雷撃の強力さが、警戒心を高めている。


「そうか……。残念だけど、だったら諦めることにするな。でも道を変えるわけには行かないな。もう夜だし、回り道はあんまりしたくない。だからな」


 千星はその場で軽く屈伸をすると、奏汰の目を見て言い切った。


「押し通らせてもらうな!」



6


 行けると思う。大丈夫だ。あと一度なら耐えられる。

 千星は自らの能力【インビジブルヒーロー】を使ってでも、この場を通り抜けるつもりでいた。


 向こうで戦闘中の誰かは、もしかしたら妹の事を知っているのかもしれない。

 その可能性を捨てるわけには行かない。例えどれだけ自分が危険に晒されようとも関係ない。妹のためなら。


「止めはしねーよ、お前の目的がこの先にあるってんなら」


 だが奏汰は、左手で中折れ帽を押さえながら壁に背をつけたまま動こうとしない。右手は親指と中指をつけて顔の横で構えていた。千星にとってそれが何を意味するのかは分からないが、考えている暇もない。


「ありがとう、恩に着るな! またどこかで会えるといいな! お互い頑張ろうぜっ!」


 前を走り抜けていく千星を見送りながら、奏汰は構えていた指を解いた。どうやらあの青年に戦闘の意思はなかったらしい。この場に居る以上、お互いに生存には邪魔なライバルのはずなのに「またどこかで会えるといいな」とは、変なヤツだ。疑った自分の心の荒みに笑えてしまう。


 だがだとしたら、あの雷撃は一体なんだったのだろうか。


 この会場にランダムで分布する罠のようなものかもしれない。いや、あの森の化物も結局能力の産物だった。だったらこれも……。


「考えてもわっかんねーな」


 材料不足の考察よりも、今は生き残る事を優先した方がいい。

 夜を過ごす方法を考えながら、奏汰は手頃な家を探し始めた。




No.2 漁火奏汰いさりび・かなた 23歳

【能力名】イクスプロジア

【能力】 右手を鳴らす事で、任意の場所に任意の威力の爆発を起こすことが出来る能力。クールタイム300秒。

【タイプ】アクティブ

【系列】 爆発系



7


 烏丸千星は、戦闘中らしい交差点までたどり着いた。

 とりあえず手近な距離にいる少女に声をかける。


「おーい、そこの君!」

「んっ?」

「って、うおっ!? なんだこれ。君のなのか?」


 そこで初めて、少女の隣でうごめく黒い物体に気がついた。

 辺りが暗くなってきているため、遠目からでは見えなかった。


「そうだよっ! この子はクロっていうのっ、よろしくねっ」

「お、おう、そうか。俺は烏丸千星だ、よろしくな!」

「あっ、お兄さんっ、好きかもっ! わたしは兵丹七葉っ、よろしくねっ」

「おう! ところで、あっちで暴れてるでかいのも七葉ちゃんのなのか? って、あの青い髪の奴はなんなんだ?」

「あの子はねっ、トントンっていうのっ、かわいいでしょっ? 遊んでもらってるのっ」

「かわ……まあ、そうだな。個性的でいいと思うな!」

「えへへっ、でしょでしょっ!」

「ところで、七葉ちゃんに一つ聞きたいんだけどな……」

「いいよっ、なんでも聞いてっ!」


 そうこう話している間にも、トントンが雷岩陽仁への攻撃を空振って地面を殴る地響きが聞こえてくる。


「この子、知らない?」


 千星はいつものように妹の写真を取り出して、目の前の少女に尋ねる。

 そういえば、この少女には殺傷衝動は沸かないなと、千星は密かに安堵した。


「んーっ。わかんないなあっ……ごめんねっ?」

「そっか。いや、いいよ! じゃあもし出会ったら、俺が探してたって言ってくれな、あと、多分七葉ちゃんと同じくらいの年だからさ、よろしく頼むな!」

「わかったよっ! もういっちゃうのっ?」

「ああ、探し人が待ってるからな!」

「そっかっ! またねっ」

「おう!」

「いやいやいやいやおいおいおい! 俺を助けろよ!!」

「え?」


 青い髪の少年が、恨むような訴えるような視線を千星に向けてきた。いくら赤の他人とは言え、人が襲われているのにそのまま行こうとはどういう了見だとでも言いたげな眼。


「なんだ、遊んでるんじゃないのか?」

「そうだよっ」

「ちげえよ! 今まさに殺されかけてるんだよ! 見れば分かるだろ! 明らかに遊びの威力じゃないからこれ!!」

「と言われてもな……」


 隣の七葉は、青髪の少年と戯れる石のゴーレムを心底楽しそうな顔で見ている。

 その眼には一片の殺意も無い。ただただ単純にペットに遊び相手が出来て嬉しい、そんな眼だ。



8


 烏丸千星は究極のおせっかいである。

 それは、ただ同じ場所で生まれたからという理由のみで妹を溺愛している事からも見て取れる。


 だから、この少女の遊びを邪魔することは出来ない。

 だから、この少女から笑顔を奪うことは出来ない。


 兵丹七葉は純粋に無邪気すぎた。

 そして彼女は、己の殺意を理解していない。


 もしも彼女がそれ理解して、この行動に少しでも悪意が混ざっていたのならば、それに感づいた千星は彼女の敵となりえただろう。だがそうではなかった。

 そうでもなくとも、もしも陽仁が大怪我でもしていれば事の重大さにに気付いたかもしれない。だがそれもなかった。


 だから結果として、千星は陽仁を助けない。二人の遊びを邪魔しない。


「まあ、遊んでやれよな! お前にも聞きたかったけど、忙しそうだからまた今度にするな! じゃっ!」

「おいおい嘘だろおおおお!?」


 言うが早いか、千星はトントンと陽仁の隣を駆けていく。

 そこに悪気も悪意もなかった。

 ただ兵丹七葉という少女が心底楽しそうだったから。それだけだ。



No.8 烏丸千星からすま・ちほ 18歳

【能力名】インビジブルヒーロー

【能力】 任意のタイミングで、全身を他者から見えなくする能力。各種制限有り。

【タイプ】アクティブ

【系列】 身体変化系



9


「あははっ、いいお兄さんだったねっ、クロっ」

「ゴォオオン!」

「さっ、早く決めちゃってっ、トントンっ」

「ドオオオオ!」


 トントンは相変わらず攻撃の手を緩めない。


 それを躱し続ける陽仁の体力にも限界が近づいていた。

 いくら身軽とは言え、持久戦ともなれば人間が不利。


「ぜえ……ぜえ……、もういいかなこれ……」


 陽仁は半分諦めていた。

 新しく現れた青年が七葉と会話している時も、虎視眈々と隙を伺っていた。だが七葉の前で立つ黒いゴーレムがそれをさせない。

 だからもう“陽仁は七葉を仕留める事は諦めていた”


「なになにっ、おわりっ?」

「ああ、終わりだ! 不利な相手と無理に闘う事はない、戦闘の鉄則だからなこれ!」


 逃走はいつでも出来た。それ用の体力は残してある。

 雷岩陽仁が十六歳にして戦雅高校の第一線を任されているのは、その圧倒的な戦闘バランス調整力にあった。


 陽仁はトントンの振り下ろしを後ろに大きく跳んで避けると、そのまま思い切りバク転。そして一発雷撃をトントンに浴びせると、踵を返して走り出した。


「ええっ!?」

「ドオオオ?」


 だがトントンは陽仁の後を追っていく。

 その速度には何倍もの差があるのに、一度定めた標的は更新されない。


「またどっかいっちゃうのっ? しょうがないねっ、ねえクロっ」

「ゴオオオオ」


 隣のゴーレムを軽く撫でて、七葉はまたゆっくりと歩き出した。

 そう言えば、墓場で放った三体のゴーレムの最後の一体は今どこにいるのだろうか。


 森方面に放った木のゴーレムは漁火奏汰と仁科神に撃破されている。

 住宅街方面に放った石のゴーレムは、雷岩陽仁を標的に定め今も追っている。

 もう一体、会場の中心部へと走っていった土のゴーレムについては、未だに何の情報も入ってきていなかった。




No.29 兵丹七葉へいたみ・ななば17歳

【能力名】古代の錬金術士

【能力】 任意のタイミングでゴーレムを作製することが出来る能力。作製にかかる時間は一体辺り一時間で、その間自身は無防備になる。完成したゴーレムには初回一度のみ命令を組み込み可能で、今後の変更は一切不可。

【タイプ】アクティブ

【系列】 物質操作系



10



「ぜえ……ぜえ……、危ねえししつこいなこれ!」


 陽仁は後ろを振り返る。

 日がほぼ落ちかけて、自分の影が長く伸びている。


 遠目に見える人型の巨体は、自分の天敵。

 このまま引き離す事は簡単だが、癪だ。


 【サンダーテイカー】雷撃を司ると書かれた自分の能力は、色々と応用が効くはずだ。頭上から雷を落とす事も、垂直に電撃を飛ばす事もできた。だが電撃そのものが効かない相手にはどうしょうもない。打つ手なしというやつだ。


 そもそも石の巨体など、どうやって打倒しろというのか。


「はあああ……」


 厄介なものに目を付けられた。陽仁は深い溜め息と共にそう思った。



No.39 雷岩陽仁らいがん・あきと16歳

【能力名】サンダーテイカー

【能力】 雷撃を司る力を得る能力。

【タイプ】アクティブ

【系列】 銃撃系



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