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海色の瞳  作者: 徳次郎
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18/21

【第18話】藤島綾香編・11

(藤島綾香編・11)


「ヒロトくんとは、その後どうなの?」

 ゆかりが言った。

 綾香とゆかりは休憩ロビーのベンチに並んで腰掛けていた。

「うん。今度、バイクで海に連れて行ってくれるって」

「いいなぁ。バイクかぁ」

 ゆかりは、そう言って缶コーヒーをグイッと飲んで

「あたしも、バイクに乗れる彼が欲しい」

「なによ、裕一くんがいるじゃない」

「だって、原付すら持ってないんだよアイツ」

「優しいからいいじゃない」

「ま、今はアレで我慢しとくか」

 ゆかりが笑うと、

「裕一くん、かわいそう」と、綾香も笑った。


 最近綾香の体調が良い様子で、ゆかりも安心している。

 相変わらず白い肌も、ほんのりピンク色で血色もよく感じる。

 やはり、精神的なものも、十分体調を左右するのだ。

 休憩ロビーの窓から差し込む陽射しも、夏が終わったにも関わらず、最近やたらと明るく感じていた。


 そうだ、アヤとは一生の友達なんだ。

 ぜったいそうだ。

 ゆかりは心の中で呟いた。



「でもさぁ、最初怖くなかった?ヒロトくん」

「別に」と真顔の後に

「でも、チンピラかと思った」

 綾香が笑って言うと、ゆかりが吹き出した。

「でも、最初から親切だったよ」

と、綾香は付け加えた。

「学ランって、いいよね。裕一なんてブレザーだし、ちょっと間違えるとリーマンのオッサンに見える」

 今度は綾香が吹き出して笑った。

「ねぇ、アヤ。制服デートしなよ」

「制服は家だよ」

「あたしが、持って来てあげるよ」

 綾香は、少しだけ考えて、笑顔で肯いた。

「勝負下着も着ける?」

 ゆかりが笑って言うと

「バカ!」



「じゃぁ、家には電話入れておいてね。明日アヤん家に行ってくる」

 ゆかりはそう言って、綾香に見送られながら病院を後にした。

 穏やかな日々が続いた。

 これから春が始まるような、季節を逆行した穏やか日々だった。

 ゆかりは、出きるだけ綾香の彼とバッティングしない時間を選んで彼女を見舞った。

 彼女は、綾香の病状が回復に向っていると思っていた。

 必ず元気になると、そう信じていた。



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