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何のために生きるのか  作者:
日常
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6/14

食玩

これ欲しい。


昔からコレクションに憧れていた。

あまり裕福な家庭ではなかったから、贅沢は言えなかった。

欲しいものを買ってもらえるのは、誕生日とクリスマスくらい。

お小遣いなんて概念もなく、友達の持っているあれやこれやを羨ましそうに眺めることしかできなかった。


だからだろうか。

大人になって、お金も時間もある今になって、急にその頃の夢を叶えたくなった。


初めてBOX買いというものをしてみた。


お菓子売り場に売っている、シール付きウエハースだ。

買ったことはあっても、レアなシールとはほとんど縁がなかった。

だから、お金と自由のある今なら手に入れられるんじゃないかと、ふと思った。


二十個入りで、三千円くらい。


昔の夢はこんなに安かったのかと少し拍子抜けしながら、一つ一つ開けていく。

袋を破るたびにウエハースの甘い匂いがして、シールを取り出す瞬間だけは子どもの頃に戻ったみたいだった。


そして、見事に一番レアなシールを引き当てることができた。


ホログラムや箔押しで細かく描かれたキャラクターは、スマホで見た見本なんかよりずっと輝いて見えた。


コンプリートしてみるか?


全三十種類ほどのそのシールは、おそらくあと四十個ほど開ければ揃うだろう。

一番レアなシールはもうあるんだし、そんなに難しくないはずだ。

そう思って、その場の勢いで買いまくった。


結局、全部揃うまでに計一万円ほどかかった。


最後の数枚になった頃には、「これ、フリマサイトで買った方が安いんじゃね」と、ようやく我に返った。

ノーマルからスーパーレアまで、多種多様なシールを一つのファイルにしまう。

ページをめくっては眺め、また閉じて、もう一度眺める。

良い買い物だった。

良い経験だったとも思う。


そしてそのファイルは今タンスの中で眠っている。

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