好きなことして
やることがない。
無職になると、暇になる派と、やりたいことがありすぎて忙しい派がいると聞いたことがある。
働いていた時は、漫画にアニメ、ゲームなど、やりたいことがたくさんあったから、自分はそんなことにはならないだろうと思っていた。
しかし、現実は甘くない。
朝起きて、「今日何しよう」と少し憂鬱になる日もあった。
もちろん、動画投稿サイトや小説投稿サイトを開けば、毎日のように新しい作品が投稿されている。それらをぼーっと眺めて一日を終えることもできるだろう。
だけど、それもなんだか虚しかった。
次の仕事のために資格の勉強をしてみようかとか。
動画を作って、その収入だけで暮らせたらいいなとか。
できもしないことを考えては消してを繰り返し、その日を終える。
そんな日々が続いた。
大学には行っていないし、工場勤務で特別なスキルが身についたわけでもない。
そこでようやく、自分には何もないことに気づいた。
やることがないんじゃない。
やりたいことがないんだ。
真面目な人間だったとは思う。
学校の成績は悪くなく、仕事も同世代より評価され、ある程度信頼されるくらいには何事も真剣に取り組んできた。
言われたことだったから。
そうやれと指示されて、その通りにやっただけだから。
だから、それなりにできるようになった。
なんでも自分で決めていい立場になって、有り余る時間を前にして。
そこにいたのは、何もできない自分だった。
ならば、どうするか。
今あるものは何かと言われれば、有り余る時間と、五年間働き、趣味もほとんど持たずに貯め続けた貯金くらいだ。
とりあえず何でもやってみることにした。




