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何のために生きるのか  作者:
始まり
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2/13

無職になって

朝、目覚まし時計の音で飛び起きる。


目覚めは良いほうだから、数分で朝ごはんの支度を始めて、部屋の掃除と洗濯をして、今日は何から片付けようかと考えたところで、自分が無職になったことを思い出す。


「ああそういや、そうだった」


誰に言うでもなく呟いて、布団へ戻る。

そんな二度寝をする日々が数日続いた。

二度寝をしたら全部忘れてしまうのか、目覚ましのタイマーを切り忘れるのもいつも通りだった。体だけは、働いていた頃の生活を繰り返そうとしているらしい。


一週間ほど経つと、ようやく実感が湧いてくる。


小学生らが登校するのを横目に散歩をしてみたり、主婦の方々と一緒に平日の昼間から買い物に行ってみたり、真夜中のコンビニで買い食いしてみたり。

今まで仕事があるからと避けてきた時間帯を、何の気兼ねもなく歩く。

平日の昼間はこんなにも静かだったのかとか、この時間帯のスーパーは年配の人が多いんだなとか、そんな当たり前のことを新鮮に感じた。


やりたかったのかはわからないけど、やってみたくなったしょうもないことを色々やってみた。


誰もいない公園のベンチで酒を飲んでみたり、用もないのに知らない道を歩いてみたり。


どれも想像していたほど特別なものではなく、「こんなもんか」と思って終わることばかりだった。

くだらないなと一人で笑うのは、存外寂しかった。


一ヶ月も経つと、昼に起きて夜更かしするのが習慣になってくる。


忙しくて見られなかったアニメや漫画。

時間がなくてできなかったゲーム。

いくらでも時間はあるんだからと、一気に消費していく。


次は何を見ようか、何をしようか。


そんなことを考える時間だけは、いくらでもあった。


だが、それらもいつかは終わる。


気づけば新しく何かを始めることもなく、動画を眺めて一日が終わる日も増えていた。


要するに暇になった。

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