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第三話 値札

ある日、暗闇が終わった。

突然だった。

私たちを囲んでいた世界が揺れたかと思うと、どこかへ運ばれていく。

仲間たちはざわめいた。

何が起きているのか分からない。

私も分からない。

だが確かなことが一つだけあった。

ずっと続くと思っていた暗闇が、終わろうとしている。

そして――

私は初めて光を見た。

眩しかった。

あまりにも眩しくて、世界が白く溶けてしまうかと思った。

これが光。

ずっと求めていたもの。

ずっと信じていたもの。

私はしばらく言葉を失った。

周りの仲間たちも同じだった。

誰もが光に見入っている。

ようやく辿り着いたのだ。

そう思った。

だが違った。

光の向こうで、人間たちが私たちを見ていた。

彼らは私たちを手に取り、並べ、袋に詰めていく。

そして私たちは知る。

自分たちが育てられていた理由を。

私たちは花になるためではなかった。

木になるためでもなかった。

種を残すためでもなかった。

私たちは――

食べられるために育てられた存在だった。

しばらく誰も言葉を発しなかった。

光を信じていた仲間も。

疑っていた仲間も。

伸びることをやめた仲間も。

みんな黙っていた。

あまりにも想像していた未来と違ったからだ。

私も混乱していた。

光を求めていた。

その先に何か素晴らしいものがあると思っていた。

けれど待っていたのは終わりだった。

袋の外から見える世界は広かった。

青い空があった。

風があった。

人々の笑い声があった。

それなのに、なぜだろう。

私は少しだけ寂しかった。

やがて私たちは店に並べられた。

そこには数字が書かれていた。

値札。

私にはその意味が分からなかった。

だが人間たちは、その数字を見て私たちを選んでいた。

長い時間をかけて伸びた命。

暗闇の中で信じ続けた日々。

そのすべてが、たった一つの数字に置き換えられていた。

そのとき私は思った。

私たちの人生は何だったのだろう。

光を求めた意味は何だったのだろう。

答えは見つからなかった。

ただ一人の人間が私たちを手に取る。

その手は温かかった。

私はその温もりを感じながら、静かに運ばれていった。

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