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第二話 光を信じて

私たちは伸び続けていた。

昨日より少し高く。

今日より少し先へ。

暗闇は何も変わらない。

景色も変わらない。

光は相変わらず見えない。

それでも身体だけは止まらなかった。

不思議だった。

何も知らないのに進んでいる。

何も見えないのに向かっている。

ある日、少し離れた場所から声が聞こえた。

「俺はもう伸びるのをやめる。」

周囲がざわめく。

その声の主は、私たちより少し先に芽を出した仲間だった。

「どうして?」

誰かが尋ねた。

「だって変やろ。」

そのもやしは言った。

「光なんて見たことない。」

「上へ行けって言われても理由がない。」

「ただ伸び続けるだけや。」

「それで何になる?」

誰も答えられなかった。

その問いは私たちも何度か考えたことがあったからだ。

伸びた先に何があるのか。

本当に光があるのか。

なぜ伸びるのか。

分からない。

何ひとつ分からない。

「俺は疲れた。」

そのもやしは言った。

「見たこともないものを信じるのは。」

それから彼は本当に伸びるのをやめた。

少しずつ周りとの差が開いていく。

私たちは伸びる。

彼はその場にいる。

暗闇の中では、その違いだけがはっきりと分かった。

しばらくして、また別の声が聞こえた。

「俺は光を信じる。」

それは私の反対側にいた仲間だった。

「見たことなくても信じる。」

「なんで?」

誰かが聞く。

「だって。」

そのもやしは笑った。

「信じなかったら、どこにも行けへんやん。」

静かな沈黙が流れた。

私はその言葉を何度も考えた。

信じる理由はない。

証拠もない。

保証もない。

それでも。

信じなければ、一歩も進めない。

それは確かだった。

暗闇は変わらない。

光は見えない。

未来も分からない。

けれど私たちは今日も伸びている。

信じているからではない。

確信しているからでもない。

ただ、

伸びることしかできないからだ。

いや。

もしかすると。

それこそが「信じる」ということなのかもしれなかった。

私はまた少しだけ身体を伸ばした。

上へ。

もっと上へ。

まだ見ぬ光へ向かって。

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