表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/68

断罪

 レイカはボールドから剣を受け取る。


 短剣より長いショートソードだ。


 危険物として扱われる剣を裁判に持ち込むというのは簡単な事じゃなく、用意周到に計画されていたことだろう。


 ボールドもミントも俺を嵌める気満々で、最初からレイカに俺を切り刻ませるつもりだったんじゃねーか!


 やられたぜ。


 後の祭りとは正にこのことだ。


 レイカがボールドに確認する。


「マスター、本当に窃盗犯をこの剣で斬り刻んでよろしいのですか?」


「わしが責任を取るから構わん、切り刻め!」


「では」


 レイカは俺の身体を切り刻むことはせず、ボールドの手足を切り落とした。


 あまりにも切り口が鋭いのか、負傷の程度の割には出血は無いと言ってもいい程度だ。


「えっ?」


 ボールドは困惑の表情を浮かべた。


「わしじゃない、アルクだ……」


 そして困惑の表情は激痛と恐怖に塗りつぶされた。


「うぎゃー!」


「な、なんで、わしを……うぎゃー!」


 レイカは冷静に答える。


「窃盗犯を切り刻みました」


「切り刻むのはわしじゃない、アルクだ!」


「アルク様はなにもしていませんよ」


 そこには『傀儡の指輪』から解き放されて正気を取り戻したレイカがいた。


 俺はレイカに声を掛ける。


「正気を取り戻したのか?」


「正気を取り戻したというのは正しくは有りません。最初から操られてなんていません」


 演技だったのかよ……。


 レイカは話を続ける。


「サキュバスであるわたくしが、この程度の魔道具で操られる訳が無いじゃないですか」


 レイカは『傀儡の指輪』を指から取り外すと握りつぶし粉にした。


「じゃあ、ミントは?」


 ミントが答えた。


「もちろんわたしも演技よ」


「演技にしては俺への憎悪が籠りまくってたけど?」


「敵を騙すにはまずは味方からって言うからね」


 ケラケラと笑うミント。


 ムカついたので後で殴っておく。


 レイカはのたうち回るボールドを踏みつけていた。


「ところで、このクズはこのまま見殺しにしてもいいんですけど、アルク様の素晴らしい能力を傍聴人の皆さんにお披露目する検体に致しましょう」


「置換とやらで治して見せて」


「お、おう」


 ミントはホーン・ラビットを俺に投げてきた。


 俺は置換でボールドを治す。


 傍聴人たちが騒ぎ出す。


「ボールドの切り落とされた手足が生えているぞ!」


「床には切り落とされた手足が転がっているのに手足が元通りってどうなってるんだ?」


「本当に治ってる!」


「すげー!」


 すかさずレイカが説明した。


「これはアルク様の天職の置換師の治療能力です。手足を失って瀕死だったわたくはアルク様に金貨5000枚で買われ、ボールドと同じようにアルク様が治してくれたのです」


 裁判長はそれを聞き、納得した表情をしている。


「なるほど、レイカ殿がアルクに金貨5000枚で買われたのは真実だというのですね」


「はい」


 ボールドは治された自分の手足を触り、なにごとも無いことを確認すると騒ぎ出す。


「これはトリックだ! 手品だ!」


 レイカはボールドの地面に転がっていた腕を拾い上げるとボールドに投げつける。


「もう一度、切り落としましょうか?」


 切り落とされた自分の腕を見たボールドは顔を真っ青にする。


「ひえ~っ!」


 そしてして逃げていった。


 すかさず裁判長が動いた。


「偽証犯ボールドを確保せよ!」


「はっ!」


 裁判所の事務官が動き、ボールドはすぐに取り押さえられたのであった。


 ボールドは法廷侮辱罪でサビア落ちだ。


 *


 裁判長が改めて判決を下す。


「冒険者アルクに掛けられたサビア・レイカの窃盗容疑は無かったと断じる。無罪!」


 こうして俺の裁判は終わり、俺たちの穏やかな日常が戻って来きた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ