表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/57

戻らないギルド長

 日没となり今日の冒険者ギルドの窓口営業が終わる間際、先ほどまで見かけなかったハリーが戻って来た。


「報酬を受け取りに来たのと……その、なんだ。久しぶりの再会を祝って一緒に飯でも食わないかと思ってだな……」


「申し訳ないんですが、無理なんです」


 女ってものは婚約者がいるとここまで冷たくなれるのかよ。


 研修中は俺のことを実の兄貴、いや彼氏のように慕ってくれてたのにな。


 ここで泣きごとを言ってしまうと敬遠されて、今後一切関りを持てなくなりそうなのでちょいと茶化して場を濁しておくか……。


 ハリーはそんなことを考えた。


「そりゃないよ……。俺とライムは同じ枕で夜を過ごした仲じゃないか」


 それを耳にした仕事終わりの掃除をしていたギルドの独身お(つぼね)がギョッとして目を剝いていたのをライムは見逃さなかった。


「それは研修で同じテントで野営しただけで、なにも無かったじゃないですか! それに寝袋を使っていたから枕なんて最初から無かったです」


「そうだったっけ?」


 ハリーはわざとらしくとぼける。


 お局はそれを聞くと掃除に戻っていった。


 ライムはハリーと『なんで窓口でこんな話をしているんだろう?』と悩んだがすぐに原因に気が付いた。


「あ、さっき無理と言ったのは報酬の支払いのことで、食事は近況報告がてらぜひお願いします」


「やった!」


 ハリーはサムズアップをして子どものように大喜びだ。


「ただ、夕方には戻るはずだったフォレスタリアの調査に向かったギルド長がまだ戻って来てないので今日の食事会は無理そうです」


「まだ、ギルド長が戻って来てないのか……。調査で手間取ってるのか?」


「確実に今日中に調査が終わるよう、かなりの人数を連れて向かったんでそれは無いと思います」


「そうか……」


 二人がそんな話をしている時に、アイラがやって来た。


 アイラは今にも泣きそうな声で聞いてくる。


「宿屋に誰も戻って来てない」


 ライムはアイラに事情を話した。


「アルクさんはレイカさんの窃盗容疑で捕まって、レイカさんはサビア屋に連れ戻されて、ソニアさんは調査にいったまま戻ってこないのよ」


「じゃあ、アルクに会いに行く」


「アルクさんは取り調べ中で今日は面会出来ないらしいのよ」


「そう……」


 アイラはライムが見ていてもハッキリとわかるほど落ち込んでいた。


 見かねたハリーが助け舟を出す。


「そうだな。ハリーお兄さんとソニアに会いに行くか?」


「おじさんと?」


「おじさんじゃない。お兄さんだ」


 するとライムもついて来るという。


「わたしも行くわ。ギルド長が心配だからね」


 アイラはハリーとライムと一緒に早馬車でフォレスタリアに向かうこととなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ