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オークの巣の再調査

 ジャックスはソニアに問い詰める。


「フォレスタリアでは他になにをした?」


「順番は前後するんですが、オークの巣に行方不明の冒険者を探しに行きましたね。結局彼らは見つからなかったです」


 ボロが出るんじゃないかと思ってカマをかけてみたがアルクと同じことしか言わねぇ。


 やはりこいつらの言っていることは全て本当なのか?


 そうなると、死にかけのサキュバスを買ったということも本当のこととなるんだが、今度はサキュバス屋の方が嘘を言っていることになるぞ。


 いったい、どっちの言い分が本当なんだよ?


 ジャックスは考えがまとまらず、頭を抱え込んだ。


 *


 オークの巣に到着すると、無数のオークの死体が転がっていた。


 それと死体を見た女冒険者の一人が怯えだす。


「物凄い数のオークが居たみたいなんですけど、まだオークが生き残っていて襲われたりしないですよね? こんな村から離れた森の中では誰も助けに来てくれません」


 その泣き言をジャックスは笑い飛ばした。


「オークは全て退治したと報告を受けている。万一グレート・オークが現れても俺がいるんだ。俺が奴らをぶちのめしてやる!」


「はぁ……」


「さあ、モタモタしてねーで、とっとと捜索をするんだ! モタモタしていると夜になってインキュバスの眷属になった元村人が襲ってくるかもしれないぞ」


「えっ? 村人が襲ってくるって本当ですか?」


 ジャックスの脅しを聞いた女冒険者は青ざめていた。


 身体を小刻みに振るわせて、ちょっと脅かし過ぎたなと反省するジャックスである。


 ジャックスは女冒険者を安心させるべく慌てて訂正した。


「村人じゃない、元村人の魔物だ。インキュバスの眷属は日が昇ってる間の日中は身動きが取れず襲ってこないから安心しろ」


 女冒険者はそれを聞いて胸を撫でおろしていた。


 他の冒険者から次々に歓喜の報告が上がる。


「このオークの死体、魔石入りですよ」


「特別手当だ。オークの魔石は見つけた者にやるぞ!」


「さすが、ギルド長! 話がわかる」


 魔石を発見者が貰えることになって、オークの巣はちょっとしたお祭り騒ぎになった。


 本来はアルクたちが倒したものなのでアルクたちに所有権が有るが、アルクの奴は投獄中で明日には処刑される身分である。


 アイツの証言の検証をしているのに、所有権とか文句を抜かしたらぶん殴って性根を叩きなおしてやる!


 そんなことをジャックスは考えていた。


 オークの巣では更に大きな歓声が上がっていた。


「ハイ・オークにも魔石が残っているぞ!」


「こっちはグレート・オークだ!」


「マジかよ! グレート・オークの魔石を売り払ったら数年は働かないで遊んで暮らせるじゃねーかよ!」


 そんなオークの巣に一人の冒険者が現れた。


 オークの巣の討伐依頼に来て行方不明になっていたタウンシアの冒険者ギルド所属の冒険者パーティー『青の雷鳴』のリーダー『ロバート』だった。


 ギルド長のジャックスはロバートに声を掛ける。


「お前、無事だったのかよ? 連絡も無いから心配したぞ!」


 ジャックスは彼の無事を祝福したが返事をすることもなく様子がおかしい。


 話し方もいつもは気さくな感じなのに、形式ばった堅苦しい話し方をしている。


憑代(よりしろ)の身体と我の魂が馴染んだので散歩がてらオークの魔石を回収に来たら……なんという僥倖(ぎょうこう)! 我が糧となる人間で巣が溢れかえってるじゃないか!」


 それを聞いたジャックスは見た目はロバートのままだが中身がローバートじゃない何者かに変っていることに気が付いた。


「お前はいったい誰だ!」


「お前呼ばわりとは……。人間とは礼儀を知らん獣ですな」


 ロバートはマントを翻すと背にコウモリの羽を生やし、空に浮かび上がった。


「我はこの村の主である『リリアク』! 貴様らを我の生贄とする!」


 リリアクと名乗った元ロバートだった者は眷属である村人を召喚した。


「さあ、我がしもべたちよ、我に供物をささげるのです」


 さっきまで魔石祭りをしていた冒険者たちは、あるものは村人だったものに襲われ、あるものは突如現れた魔物に恐れ慄いていた。

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