フォレスタリアのギルド調査
冒険者ギルドタウンシア支部のギルド長『ジャックス』はギルドで暇にしていた冒険者を全員連れてフォレスタリアの調査に来ていた。
冒険者の数はギルド長とソニアを含めて28名。
馬車6台での大移動だった。
案内人は当事者であるリプレイスメントのメンバーであるオーガのソニア。
ソニアはリーダーのアルクのサビアである。
フォレスタリアで起こったことの証言は4名ともほぼ一致していたが、4人中3人がサビアで実際には大したことは起こっておらず皆で口裏を合わせていた可能性が高い。
だから、証言の真偽を確かめる為にわざわざ現地調査に来たのだ。
アルクの他にアイラというサビアもいて本来は連れてきた方が良かったのだがまだ未成年らしく昨日の徹夜が響いてとても連れて来れる状態じゃないので帰したと取り調べをしたライムから報告を受けていた。
ギルド長は皆に指示を出す。
「皆にはこの村で起こったことを調査してもらいたい。可能性は低いと思うがグレート・トレントを発見した場合は戦闘せずに直ちにこの場を離れるんだ。いいな!」
「おす!」
冒険者ギルド長のジャックスはフォレスタリアで何らかの戦闘は起こったとは思っているが、グレート・トレントが出たというのはアルクの出まかせだと思っていた。
理由は簡単だ。
サキュバスが居ようと、グレート・トレントが操れるわけが無いからだ。
それはジャックスが騎士団で現役の王国騎士として勤めていた時に『フォレスタリアのグレート・トレント討伐作戦』に参加したことで身を持って経験したことだった。
グレート・トレント討伐作戦参加したメンバー144名のうち70名が帰らない人となった苦い思い出がある。
無敵と言われた騎士団をもってしてもその程度の戦果だ。
ましてや、たった一人のサキュバスが操り、倒したとはジャックスには到底思えなかった。
まあ、巨体故に遠方から発見が出来るので手を出しさえしなければ無害な魔物である。
明日の裁判への証拠提出に間に合うべく、今日中に調査が終わる様にフォレスタリアに多くの冒険者を連れてきた。
『アルクはグレート・トレントを倒してはいない』そんな証拠を出す為に。
そう思っていたんだが……。
村の中心部にあたる村長邸前の村の広場には巨大な大木が倒れていた。
ソニアが言う。
「これが倒したグレート・トレントです」
「おい、嘘だろ!」
ジャックスは思わず声が出てしまった。
あの憎っくきグレート・トレントがただの大木となり果ててフォレスタリアの広場に横たわっていた。
早速調査を始める冒険者たち。
冒険者から声が掛った。
「魔石がそのまま残ってますね」
「おい、嘘だろ?」
グレート・トレントの魔石と言えば地方の領都を2つ3つ買えるぐらいの価値のある魔石である。
しかも無傷だ。
そんなものが放置されてるとは……。
「なんでグレート・トレントの魔石を回収しなかったのか?」
「この木の魔物は魔石なんて持ってたんですね」
実に平然というソニア。
「一瞬で倒れていた雑魚だから魔石が入っていたなんて考えもしませんでした」
グレート・トレントとは別の場所から報告が上がる。
「こっちにはぐちゃぐちゃですがグレート・ヴァンピールらしき死骸が見つかりました」
「それは執事の爺さんですね。操ったグレート・トレントの木の実攻撃で倒してました。ドカンと一撃で……」
嘘だろ?
あんな化け物を倒せるって、グレート・トレント以外ありえないじゃないか!
『グレート・ヴァンピール』と言えばAランク魔獣であってグレート・トレントとほぼ同格。
グレート・トレントを操っていたという証言もあながち嘘とは思えない。
更に報告が……。
村長の屋敷だったと思しき瓦礫の前には武器で両断された『インキュバス劣種』の死骸が転がっていた。
「それはわたしが真っ二つにした村長ですね」
それは見事な斬りっぷりだった。
証言通り、魔石が抜かれている。
「これはもしかして……」
アルクたちの証言は全てが真実だったのでは?
となると、サキュバスを買ったというアルクの証言も本当だったのでは無いか?
そんな考えがジャックスの頭に浮かんできた。




