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ギルドに報告

 徹夜明け、徒歩でタウンシアの町に戻った俺たちを待っていたのは依頼報告と言う名の取り調べだった。


 フォレスタリアで事件を解決し、徹夜明けにもかかわらず帰りの足が無いので歩いてタウンシア迄戻って来た。


「もう足が棒。それに眠すぎ。今すぐ寝かせて」


 アイラは半分寝ながら歩いてる。


 ソニアが「背負いましょうか?」と言っても「アルクじゃなくちゃ嫌」と言って拒否。


 俺も当然、ソニアを背負うほど余裕はないので拒否だ。


 ソニアもレイカも疲れ果てた顔をしていた。


「冒険者ギルドで報告したらすぐに宿屋に直行だ。それまで頑張れ」


「了解でーす」


 でも、冒険者ギルドの報告は簡単には済まなかった。


 タウンシアの冒険者ギルドのカウンターで起こったことをざっと報告したら、職員がざわつき始める。


「フォレスタリア迄の道で土砂崩れは起きて無くて、村が魔物に乗っ取られてただと?」


「証拠の魔石と、素材です」


「このサイズの魔石は……」


 そこからは職員たちが大騒ぎだ。


「すぐに依頼報告会の準備を!」


 徹夜なんだから、先に寝かせて欲しいんと頼んだんだけど聞いちゃくれない。


 仕方ないのでさっさと済ませて下さいと言って取り調べを受けることにした。


 俺、ソニア、アイラ、レイカがそれぞれの部屋で取り調べを受ける。


 俺にはおっさんが担当としてつく。


「ギルド長のリチャードだ。キミは当ギルド所属の冒険者パーティー『リプレイスメント』のリーダーのアルク君でいいんだな」


「間違いありません」


「なにが起きたのか説明してくれ」


「はい」


 俺は事件のあらましを説明する。


「元々はフォレスタリアで異変が起きているなんて知らなかったんです。土砂崩れが起きて連絡が出来なくなってるらしく、オーク村の討伐に送り込んだ冒険者パーティーも土砂崩れに巻き込まれて戻って来れなくなってるって聞いてまして、その土砂崩れの調査の依頼だったんです」


「そうだな。元々アルク君のパーティーの受けた依頼は土砂崩れの発生場所と規模の調査だったな」


 ギルド長はなにかの資料を捲りながら確認している。


「それがなんでフォレスタリアで魔物を倒すことになったんだ?」


「俺らも土砂崩れの調査をする気満々で魔物を倒す気なんて無かったんですけど、フォレスタリア迄なにごともなく着いてしまったんです」


「うーん、その証拠はあるのかい?」


「証拠ですか? 土砂崩れが起きて無いんだから証拠もなにも無いですけど……。あ、馬車の御者さんならなにごともなくフォレスタリアに着いたことを知っていると思います」


「なるほど」


 ギルド長は、部下の若い男の職員に指示を出す。


「おい! 大至急、駐馬場に行って裏を取れ!」


「わかりました!」


 職員は部屋を飛び出していった。


 ギルド長は話をすすめる。


「それで君はどうしたんだ?」


「土砂崩れの調査に来たのに何も起こってなかったじゃ話にならないので、村長に『土砂崩れは起こってない』と一筆貰いに面会に行ったんです」


「賢明な判断だな」


 ギルド長は頷きながらメモを取っていた。


 俺は話を続ける。


「一筆は貰えたんですけど、冒険者のことを聞いたら『ダンジョンに行った』というんで調べてみたんですけどダンジョンなんてあの辺りにはないんです」


「確かにフォレスタリアの周辺にはダンジョンなんてないな」


「それでオーク村の討伐と間違えてるんじゃないかと思い、オーク村を調べたんです」


「確かに、冒険者が受けた依頼はオーク村の討伐依頼で間違いない」


 ギルド長は資料を見ながらメモを取っている。


「オークを討伐して、村を捜索しても冒険者はいませんでした」


「フムフム……って、オークを倒せたのか? あの巣にはかなり強いグレート・オークがいただろう?」


「頑張りました」


「頑張ったのか……」


 またギルド長はメモを走らす。


「日が落ちたのでキャンプをしていると、フォレスタリアの村人が襲って来て倒して……。あっ、フォレスタリアの村人は魔物に操られていて既に人間じゃ無かったんです! だから俺たちは人間は殺してないし、悪くない!」


「わかった、わかった。そんなに必死に言わなくてもわかった」


 どうやら、ギルド長は信じてくれたようで一安心。


 そこへ駐馬場の御者に確認を取らせに行った部下の職員が息を切らせながら戻って来た。


「駐馬場の御者から裏が取れました」


「うむ、ご苦労!」


「はっ!」


 俺は話を続ける。


「その後、村長と執事も倒したけど、魔物に入れ替わってたんです。執事は空飛んで魔法を連発してきて半端じゃない強さだったです」


「あの魔石はその執事の物だったんだな」


「いえ、あの魔石は村長のものです。執事はボロ雑巾並みに叩きのめしましたので魔石は砕けて残っていませんでした」


 そこでギルド長の目が鋭くなった。


「アルク君の言ってることは嘘ばかりだな! あの魔石はCランク魔獣の『インキュバス劣種』のものだぞ。駆け出し冒険者のお前に倒せる魔物じゃない! あの魔石はどこから盗んで来た物なんだ?」


「それは……」


 俺はレイカのことがバレてしまうと悩んだけど、本当のことを言うことにした。


「実は俺、サビアを持ってまして……」


「元貴族の娘の性サビアと、オーガの性サビアだよな? 毎晩お楽しみみたいだな。いかがわしいことをするなら一人で十分だろ」


「違います。彼女らは性サビアじゃなく、パーティーの貴重な戦力ですし、まだ一度も手を出したことがありません。それに……」


「ん? それに?」


 ギルド長の目が更に鋭くなった。


「新しくサキュバスの()のサビアを仲間にしたんです。その娘がめちゃくちゃ強くて殆ど一人で倒してしまったんです」


「いいかげん、嘘を重ねるのは止めろ! お前の稼ぎでサキュバスのサビアを買えるわけが無い!」


 ついさっき駐馬場から戻って来て息を切らしている部下に指示を出すギルド長。


「おい、お前! 今すぐに裏を取ってこい!」


「わかりました!」


 返事はいいけど、足取りはかなり重いギルド長の部下。


 すぐに確認へとサビア屋へ向かった。


 どうやらギルド長は全然俺のことを信用してくれていないようだ。

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