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闇夜の火球

 爺さんは爪の攻撃をやめ、人差し指を立てて火球の魔法を放って来た。


 それも猫が鼠を遊ぶでいたぶる様に、俺たちをいたぶって楽しむかのようにわざと狙いを僅かに外してだ。


「ほらほら、早く逃げないと焼け焦げて炭になりますよ!」


 爺さんは火球を速射のように連発で放ってくる。


 俺は「あひゃ!」だの「うひゃ!」だの奇声を上げながら、地面を転がりまくってギリギリの所で避けていた。


 おかげで身体中泥まみれだ。


 俺は思わずぼやいてしまった。


「こんな肝心な時にレイカはどこをほっつき歩いてるんだよ! まだ戻ってこないのかよ!」


 さすがに戻ってくるのが遅すぎる。


 ソニアもレイカが戻るのが遅いのを心配していた。


「森の中で手間取っているにしても、戻るのが遅すぎますね」


 爺さんは俺たちを(あざけ)る。


「あの魔族の娘ですか? きっと今頃は負け確定の戦など投げ出して魔族領に逃げ帰ってますよ」


 そうなってないことを祈るのみだ。


「魔族の娘が戻って来たとしても、その頃に待っているのはお前たちの亡骸だけ! そろそろお遊びにも飽きました。覚悟するのです!」


 爺さんは攻撃を再開した。


 今度は弓を射る様な格好だ。


 速射の間隔は広がったが、さっきまでとは嘘のように狙いが鋭い。


 少しでも気を抜いたら火球を食らって一巻の終わりになるのは間違いない。


 あの爺さん、まだ遊んでいるのか鋭い狙いの中に見当違いな方向の攻撃も混ぜてくるから厄介だ。


 火球の発射と同時に当てずっぽうに逃げると当たってしまう。


 毎回火球の飛ぶ方向をよく見て避けないといけない。


「なんなんですか、この火球は! フェイント混ぜすぎ!」


 アイラが避けられないと泣き叫んでいる。


 俺はアイラにアドバイスをした。


「火球の飛ぶ方向をしっかりと見てから避けるんだ!」


「そんなことしてたら、逃げ遅れる!」


「理屈じゃないんだ、根性で避けろ!」


「根性で避けろって……アルクはバカ」


 俺を(さげす)むアイラ。


 全然アドバイスになってないけど、アイラの心に余裕が生まれたのか余裕をもって避けられるようになった。


「うーん、手ごわい人間どもですね」


 すると爺さんの火球攻撃が変わった。


 今度は両手の根元を揃えて気合を入れて発射する奥の手だ。


 爺さんは気合を入れて火球を発射する。


 今までは何発も速射のように放っていたけど、今度は完全に単発の攻撃だ。


 さっきまでは爺さんから直線的に放たれていた火球がホーミングの如く標的の俺たちを追尾し始めた。


 さすがにこれはキツイ!


 と思ってたら、爺さんの奥の手はまだまだ続く。


「少し距離を取れば完全に追尾できますね」


 そう言うと爺さんは闇夜の空へと浮かび上がった。


「さあ、散り散りになって逃げ惑いなさい! 今度は外しませんぞ」


 俺は叫ぶ!


「みんな四方八方に散るんだ!」


 俺は森の中、ソニアは小屋の影、アイラは……間に合わない!


 爺さんはアイラ狙いを定めて大きく振りかぶり魔法を放った!


「死ねえいぃぃぃ!」


 闇夜の上空からアイラに向けて火球が放たれる!

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