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冒険者パーティーの捜索

 俺たちは冒険者パーティーの捜索に向かおうとしたんだが……。


「ダンジョンなんてどこにあるんだよ?」


 フォレスタリアの村の近くにダンジョンが有るなんてことは冒険者ギルドじゃ聞かされてないし、初耳だ。


 村民に聞こうとするもよそ者の俺たちの前には誰も姿を現さないし、今から村長宅に戻ってダンジョンの位置を確認するのも俺がダンジョンの場所を下調べもせずにフォレスタリアまで依頼をしにやって来た無能の様に思われるのが(しゃく)で聞くに聞けない。


 俺がぼやくと、レイカが動く。


「お待ちください、高いとこから探してきます」


 レイカはそう言うと、村長邸の屋根へと飛んだ。


 サキュバスだから空を飛べるのか。


 あの羽は飾りじゃなかったんだな。


「なかなかやるな」


 俺が感心しているとなぜかソニアが対抗心を燃やしていた。


「ならば、わたくしも」


 そう言うと、ソニアは「どりゃー!」という掛け声と共に猛スピードで走り出し、村長邸の壁を力技で垂直に駆け登った。


「ソニアもスゲーな」


 アイラはどうやって登るんだろう?


 そう思ってアイラをじっと見ていたら、俺が見ていたのに気が付いてトゲのある感じで突っかかって来た。


「なによ?」


「アイラはどうやって村長邸を登るのかな? と思ってな……」


「バッカじゃない! あんなとこ登れるわけが無いじゃない」


 ごもっともで。


 レイカとソニアがおかしいだけだった。


 しばらくすると、レイカとソニアが戻って来た。


「この辺りにダンジョンは見つかりませんね」


「アルク様、ダンジョンは見つかりませんでしたがオークの巣なら見つけました」


 皆で協議した結果、依頼書にはオークの討伐と書いてあったので『オークの巣』と『ダンジョン』を執事のおっさんが勘違いしてたんじゃないかという結論に達してオークの巣に向かうことにした。


 *


 オークの巣に着いたんだけど、全く荒らされた様子はない。


 一週間前に冒険者パーティーがやって来て、オークの巣を掃除したなら小屋のひとつやふたつ壊れてても良さそうなのに全くそんな痕跡はなかった。


 俺はクビを(かし)げる。


「本当にこの巣に消えた冒険者パーティーがやって来たのかよ?」


「状況証拠的にこの巣を訪れたのは間違いないのですが、争った痕跡が無いですね」


 レイカもクビを傾げていた。


 するとアイラはいつもの冷静な分析をする。


「オークの巣に到着する前に捕まった可能性が有る」


 もし、捕まった冒険者パーティーの中に女性メンバーが混じっていたら……。


 精力旺盛なオークのことだ。


 今頃、その女性メンバーはオークの種を身ごもってることだろう。


「アルク様、オークを一掃して巣の中を調べてみましょう」


「よし! 攻め込むぞ! ただし無茶はするな」


 俺たちはオークの巣の討伐を開始した。


 *


 オークの巣でオーク狩りを始めた俺たち。


 オークなんてものはでっかいゴブリン程度としか思って居なかったが、全然違った。


 確かに身体が大きく力が強いので大きいゴブリンと言っても間違いじゃないんだが、奴らは人間並みに知性があるのか普通に冒険者と同じように複数のオークで連携を取りやがる。


ゴブリンのように最短距離で突進して襲ってくるんじゃなく、他のオークの攻撃とタイミングを合わせて襲ってきやがるのだ。


 一匹の攻撃を盾で防いでも、もう一匹に殴られそうになるなんてことになる。


 それがとにかく厄介。


 この攻撃の対処法はこちらもペアを組むしかない。


 ソニアとレイカがペアになってオークの群れに突っ込みなぎ倒し、俺とアイラはそのおこぼれを倒す。


「アイラいくぞ!」


「準備万端」


 アイラは魔法を使えるが、魔法は隙が大きいのでこういった乱戦時は剣を使ってもらう。


 アイラは剣での攻撃も器用にこなしていた。


 たしか、俺のとこに来たばかりのときは頼りない動きをしていたんだけど、今じゃその面影はない。


 とても魔法使いとは思えない動きだ。


「なかなかいい動きだな」


「優秀だから?」


 アイラには謙遜という言葉は無いらしい。


 褒めて育つタイプじゃなく、褒めると図に乗るタイプで褒めちゃいけない奴だった。


 一方、ソニアは猛り狂っていた。


「身体が、軽い! まるで羽が生えているみたいだ!」


 足が遅いはずのソニアが凄まじい勢いで突進しまくる。


 そう言えば、ソニアの角はホーン・ラビットからドレッド・ブルの角に変えたんだったよな。


 角が身体に馴染んで来たみたいで、ドレッド・ブルのスキルを使いこなしているようだ。


 狂喜乱舞するソニアと比べてレイカは俺から見てもハッキリとわかるぐらい動きが鈍い。


 俺は戦闘中にもかかわらず浮かない顔をするレイカに聞いてみた。


「レイカ、どうしたんだ?」


「さっきから何度もオークに魅了スキルを使っているんですが、一度も魅了出来ないんです。なんでこんな雑魚を魅了出来ないのかわけが分かりません」


 それってもしかして……完全に治せてないんじゃないのか?


 俺はレイカを鑑定する。


 目の前の空間に浮かび上がったのはレイカの一糸(まと)わぬ裸体だ。

 

 俺はなにか異常が無いか目を凝らして人体図を調べる……。


 すると異常を見つけた!


 レイカの牙だ。


 小さくて見逃してしまっていたが、人間でいう犬歯の場所にある牙の一本が欠けていたのだ。


 人体図上で赤く点滅しているのに小さかったので見逃してしまっていたようだ。


 おまけに人体図には『欠損』と書いてあり、その下には注釈だろうか『チカンカノウ』とまで書いてある。


 これは治療ミスだな。


 俺はレイカに素直に謝った。


「ごめん、レイカ。治療をミスってたみたいだ」


「そうだったのですか?」


「魅了が使えないのは牙が欠けたままのせいだろう。この巣のオークを片付けたら治療するから待っていてくれ」


「魅了が使えるようになるんですか? 早くオークを根絶やしにしましょう!」


 レイカは魅了が使えるようになると聞いてやる気が出たようだ。


 レイカの気分が軽くなったせいか動きまで軽い。


 *


 そんな感じでオークを倒しまくっていたら、オーク兵の質が変わった。


 身体がさらに大きく、攻撃も重くなる。


 今までは新人冒険者から奪い取った簡素な装備だったのに今は中堅冒険者が使っているようなしっかりとした装備に変っていた。


 きっと、この巣のオーク四天王のお出ましだ。


 これはキツイ。


 ソニアが叫ぶ。


 「アルク様、オークの群れは雑魚兵では我々に対処出来ないのに気が付いたらしく、幹部クラスのハイ・オークが参戦してきました」


 ソニアとレイカの主力チームならともかく、俺とアイラの貧弱チームにはキツイ。


 「アルク様、ここからは4人で纏まって動きましょう」


「おう!」


 4人なら、幹部連中が束で襲って来ても対処できる。


 正確には俺とアイラは殆ど役に立ってなかったが、ソニアの目の届く範囲にいたのでソニアが安心して戦えるみたいだ。


 四天王のうち、最弱の一匹を倒した時点で一際身体の大きなオークが現れた。


 それは……。


 この群れの(おさ)


 グレート・オークだ!

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