村長との面会
日没になるまでオークの巣を捜索するが、結局失踪した冒険者パーティーは見つからなかった。
この巣に消えたパーティーのメンバーが捕らえられていると思ったが予想は外れたようだ。
レイカがため息交じりに話す。
「予想通り、消えた冒険者パーティーは見つからなかったですね」
「予想通りって……、失踪したパーティーがここに居ないことがわかってたような言いぶりじゃないか」
「この巣の長のグレート・オークが言ってたじゃないですか。『久々に人間が来た』と、だから来ていないと思ったんです」
確かにそんなことを言っていたな。
レイカは言葉を続ける。
「グレート・オークの話していたことが嘘か本当かわからなかったので念のために捜索をしてみましたが、この巣にいた痕跡がないので言っていたことは本当だったと確信が持てました」
なるほどね……。
冒険者はダンジョンへ向かったということで、明日からはダンジョンの捜索か。
元々は崖崩れを探すだけの簡単なお仕事だったはずが面倒な仕事になって来た。
「じゃあ、フォレスタリアの村に帰って宿に泊まるか」
「今から帰っても途中の森が真っ暗で危ないですし、村に無事に辿り着いたとしても村人の姿を見かけなかったので宿屋に泊まれる保証は無いですよ。それに今からあの村に戻らない方がいいと思います。嫌な予感がします」
「嫌な予感てなんだよ?」
「まだ確信が持てないのでハッキリとしたことは言えませんが……、あの村長はなにかを隠していると思います」
なにかってなんだよ……。
レイカはやたらと言葉を濁すよな。
俺が『なにか』がなんなのかを問いただそうしたら、レイカから言ってきた。
「このまえ、わたしが村長から変な臭いがしたと言ったのを覚えてますか?」
たしかにそんなことを言ってたな。
「香水の話だろ?」
「違います。あれは嫌な臭いを誤魔化す為にキツイ臭いの香水を振りかけていたんじゃないかと思います」
「じゃあ、村長はなんの臭いを消そうとしてたんだよ?」
「人間の恐怖の臭い。しかも断末魔に近い……」
「マジか?」
「それも冒険者だけではなくかなりの数の……」
そんな臭いまで嗅ぎ分けるとはサキュバスは恐ろしい。
「多分、あの館で冒険者は殺されてると思います。そして村長は人間ではなく魔物が化けているんだとわたしは予想しています」
うへっ……。
とんでもないことに首を突っ込んでしまった。
村の外から
「今夜はあの館に近づかず一刻も早くタウンシアに戻りましょう」
アイラがいいアイデアを出した。
「日の落ちた今から夜道を移動するのは現実的ではない。朝までこのオークの巣の家に泊まればいい」
「ですね。アルク様、この巣に泊まりましょう」
オークの巣の中で一番大きな長の家を思しき建物を宿とした。
中にオークがいないことはさっきの探索で調査済みだ。
オークの家は総藁作りで中は大きな部屋がひとつ有り、床には藁を敷いているだけの質素な作りだ。
その藁の上にごろ寝をして寝ることとなった。
簡単に食事を済ませたあと、やることも無いので話をして時間を潰す。
俺たちは話をしていたんだが、レイカのケガのことに話が及んだ。
「俺のとこに来る前にレイカは大けがを負っていたんだけど、なんであんな大けがをしていたんだよ?」
「わたしの父が治めていた村が人間の冒険者に襲われたんです」
「なんと!」
サキュバスと言えば魔大陸の森に住むと言われる種族で、分類上は魔族であり魔物である。
言葉が通じるので普通は狩りの対象にはならないが、なんらかの意図があればその限りじゃない。
高額で取引される魔力素材としてサキュバスを狩る奴もいるそうだ。
当然、サキュバスは魅了というかなりの戦闘力を持つので生半可な気持ちで手を出したら大やけどをすることだろう。
そんなサキュバスを冒険者が襲うとはかなりの手練れなのは間違いない。
レイカの話はまだ続く。
「辛うじて村人は森に逃がしたのですが、村の兵士の多くや父は命を落としわたしも激闘の末、人間界まで逃げて潜伏して回復していたんです。でも、わたしの臭いを覚えていた勇者のペットのフェンリルに見つかり襲われてあの大けがを負ったのです。顔面に傷を付けたということで激怒した勇者はわたしを殺さずにサビア屋に売り飛ばし更なる生き地獄を与えた……ということなのです」
色々と情報が詰め込まれ過ぎて、よくわからん。
「似たような話を聞いたことあります」
レイカの話を聞いていたソニアが首を突っ込んでくる。
「最近、魔族や獣人の村が人間の冒険者に襲われるという事件が頻発していたので警戒していたら、わたしの村も襲われて……アルク様の嫁になりました」
それ途中の話を省略し過ぎだ。
「まだ結婚はしてない。ちなみにアルクとはわたしが先に結婚する」
アイラも全否定だ。
そんな話をしていたら煙臭い臭いが漂ってきた。
俺はその臭いの元を探す。
ソニアが叫ぶ!
「この家が燃えています」
俺たちは話に夢中で気が付かなかったが、どうやらこの家は何者かに取り囲まれ火事になっていたのだった!




