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グレート・オーク

 目の前のグレート・オークは幹部のハイ・オークたちにオークの言葉で『雑魚になに手間取ってやがる!』みたいな叱りつける様なことを言っている、たぶん。


 そしてグレート・オークは俺たちに向け人間の言葉を喋りやがった。


「久々の人間のパーティーじゃねーか! とっとと殴り倒して、オスとガキは鍋にしてメスは種付けをして久々の人間尽くしの宴じゃー!」


 グレート・オークは俺たちをビビらせる様に下卑た声をわざと響かせる。


 魔物もある程度の強さになると知性も上がり言葉をしゃべる様になるという。


 あくまでも俺たちを餌としてしか見ていない人間を見下した言葉で、とても知性があるとは思えない。


 その汚い言葉を聞き終わる前にソニアが動いた。


「アルク様、このオークは任せて下さい。こんな雑魚、ドレッド・ブルの角が有るわたしならば楽勝です!」


 ソニアはドレッド・ブルのスキルの突進を放つ!


 グレート・オークはどてっぱらに風穴を開けて倒れるハズだったんだが……。


「そんなバカの一つ覚えの突進など、容易(たやす)()けられるわ!」


 言葉通り、グレート・オークはソニアの突進を軽々と避けていた。


 ソニアは得意技が避けられたので狼狽(うろた)えまくっていた。


「アルク様、必殺技の突進が全く効きません! ど、どうすればいいんでしょうか?」


「どうしろって言われてもな……」


 いったいどうすればいいんだ?


 戦士のソニアがわからないんだから、俺にわかる訳が無いだろ。


 俺の方こそうずくまって頭を抱えて悩みたかった気分だが、俺がうずくまるよりも早くレイカがソニアに指示を出した。


「ヒット・アンド・アウェイで時間を稼いでください! 一分稼いでくれたらわたしが倒します」


 その一分間でレイカが気を溜めて超必殺技でも放つんだと思ったら、働くのは俺の方だった。


「アルクさん、この隙にチカンしてください」


 レイカに『チカンして』なんて言われたもんだから思わずレイカの胸に目が行くがそっちのチカンじゃないことぐらいわかっている。


「倒したハイ・オークの牙とわたしの折れた牙をチカンして下さい」


「おうよ!」


 俺がチカンをしようとするとアイラの泣きごとが聞こえてくる。


「わーん! アルク、早くチカンを済ませて。1人で3匹のハイ・オークの囮をするのはムリ!」


 アイラは剣撃の間に魔法を猫だましのように使ってどうにか避けているようだった。


 女たちに『チカンして!』と何度も言わせてしまう罪でニヒルな男の俺。


「とにかく頑張れ! レイカのチカンはすぐに済ます」


「20秒でどうにかして」


「俺もハイ・オークの相手をしないといけないのかよ……」


 忙しいのかアイラからの返事は無かった。


 俺はレイカと倒したハイ・オークに触れチカンする。


 レイカの裸体が目の前に現れ、そして人体図に変る。


 俺はレイカの牙をチカンした。


「うあぁぁぁ!」


 そしてオークの巣に響くレイカの叫び声。


 チカンは上手く成功したようだ。


「じゃ、パス」


 アイラからハイ・オークの囮役のバトンをパスされた。


「パスって……。アイラは手伝ってくれないのかよ?」


「わたしはレイカの治療をしないといけない」


「レイカの治療はハイ・オークを倒してからでいいんじゃないか?」


「それじゃソニアがもたない」


 ソニアを見ると、ギリギリのとこでグレート・オークの攻撃を避けていた。


 ソニアがやられるのも時間の問題だ。


 急がないといけないのは間違いない。


「やるっきゃないか!」


 俺は勇気を振り絞りハイ・オークの群れの中に飛び込んだ。


 *


 俺がどうやってハイ・オーク3匹を相手に囮をしたかって?


 そりゃ必死に避けるしか無いだろ。


 突進を使えるソニアや魔法を牽制に使えるアイラでさえオークの攻撃を避けるのはギリギリだったんだ。


 全く魔法を使えない一般人の俺は更に必死に避けるしかない。


 華麗に盾でハイ・オークの攻撃を受け流した隙に攻撃する……。


 なんて一流の剣士みたいなことをしようとするもんなら、最初の一撃で盾を叩き飛ばされてハイ・オーク3匹に囲まれて袋叩きにされる未来しか見えない。


 だから俺は避けまくった。


 この状況を知らん奴が俺のことを見たら、きっとシャーマンが怪しい踊りでもしてるように見えたかもしれない。


 鼻水にヨダレになんだかわからない汁まで垂らしまくって避けまくっていたら衰弱から回復したレイカの声が掛かる。


「アルクさん、加勢します!」


 どうにか避け切ったぜ、俺。


 がんばった。


 レイカは3匹のハイ・オークを魅了する。


 すると、あれほど激しかった攻撃がピタリと止んだ。


 そしてレイカは魅了したハイ・オークに指示を出す。


「しもべよ、グレート・オークを倒しなさい!」


「ハッ!」


 ハイ・オークはグレート・オークを取り囲んだ。


 まさか、部下が魅了されてるとは思わないグレート・オークは加勢が来たと大喜びだ。


『雑魚掃除がやっと終わったのか。お前ら、この女の足腰が立たなくなるぐらいブチのめしてやれ!って……。 おい! ちょっと待て! なんで俺を殴るんだ! 攻撃するのは俺じゃない! いてっ! やめろ! やめてくれ! 痛い痛い!』


 グレート・オークは魅了されたハイ・オークたちに袋叩きにされ虫の息。


 オーク同士で殴りまくり共倒れになった。


「お前ら……ぐふっ!」


 仲間に倒されたグレート・オークはやたら無念そうな目をしていた。


 レイカが一礼をする。


「魅了という真の力を取り戻したわたくしの実力はこんなものです」


 俺もソニアもアイラも歯が立たなかったグレート・オークを無傷で倒すとはサキュバスの魅了こぇぇぇ。


 魅了されるのはごめんなので、俺は絶対にレイカを怒らせないと心に誓った。

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