ツケ払いの返済
サキュバスのレイカを治療した俺。
新たな戦力であるサキュバスを俺たちは仲間にしたのだった。
まあレイカを治療したと言ってもあくまでも応急処置なので正確にはまだ治療は済んでないんだけど、治療よりも先に済ませないならないことがある。
取り合えず、先に自己紹介だけは済まさせておく。
「サキュバスのレイカです。改めてよろしくお願いします」
「レイカは今日から俺たちの仲間だ、よろしくな」
「よろしく」
「よろしくです。それじゃアルク様、いつもの歓迎会をしましょう」
「歓迎会をしたいとこなんだけど、それよりも先に済ませないとならないことがあるんだ」
「先に済ませないといけない事?」
ソニアは先にしないといけない事がなんなのか分からず首を傾げていた。
「レイカの購入代金のツケを払わないといけないんだよ」
「なるほど」
レイカはツケ払いでサビア屋から連れて来たので、ツケの金貨5000枚を支払うまではレイカの正確な所有権はサビア屋のままだ。
もしレイカを治療して五体満足な身体にしたこでレイカの価値はとんでもない価格まで跳ね上がっている。
万一これがサビア屋にバレた場合、ツケを支払ってないことで難癖を付けられる可能性が有る。
最悪、レイカを奪い取られるなんてことも考えられるのだ。
正式な俺のサビアになるまではレイカを治療したことをサビア屋にバレたらマズいし、その他の町の住民に魔物であるサキュバスと言うことがバレたら騒ぎになってマズイ。
サキュバスとバレないように装備屋でフード付きのコートであるチュニックを買ってきて着せておく。
これで特徴的な耳と背中の羽が隠せる。
戦闘でも起きてフードが開けると耳が露出してバレるかもしれないが、街中で戦闘が起こることはまずないのでこれで十分だろう。
「それじゃ、レイカの代金を稼ぎに行くぞ」
アイラは異論を挟んだ。
「金貨5000枚なんて大金、すぐに稼げる額じゃない」
「確かに金貨5000枚は今の俺には大金なんだけど、貰える充てが有るんだ」
*
やって来ました冒険者ギルド。
そしてアイラは気が付いた。
「グレート・サイクロプスの報奨金をまだ貰ってなかった」
そう、それこそが俺の唯一の資産であり貯金でもある。
それをレイカのツケの支払いに充てれば……。
丁度、受付にライムが居たので聞いてみた。
「急用でグレート・サイクロプスの報奨金が必要なんだけど、そろそろ貰えないかな?」
「グレート・サイクロプスの報酬、金貨10000枚ですね?」
金貨10000枚も貰えるのか。
そんなに貰えるならレイカの代金のツケの支払いは余裕じゃないか……と思ったんだけど、世の中そんなに甘くない。
「来週、ギルド本部から報奨金が届いて支払予定です」
来週じゃダメなんだよ、来週じゃ。
モタモタしていたらレイカの噂が広まって騒ぎになるかもしれない。
俺は半額でも払って貰えないか聞いてみたけど、ダメだった。
ライムは小声で話す。
「ところで、金貨5000枚もなにに使うんです?」
「またサビアを買っちゃってね……」
「またなんですか……」
「ちょっと訳ありでね。詳しくはミントに聞いてくれ」
レイカを紹介すると、二人はお辞儀をしあってた。
「半額の金貨5000枚なら金庫に有るから払えなくも無いけど……他の冒険者への報酬の支払いが滞って、きっとアルクさんが袋叩きに遭うよ」
さすがに袋叩きに遭うのはまずい……。
俺だけならまだしもレイカ迄袋叩きにあったら……身バレの可能性も有るのでヤバい。
「どうしてもお金が必要なら、依頼を受けてみたらどう?」
「依頼って、ドブさらいじゃたかが知れてるしな……」
「なに言ってるんですか、この前ランクアップしたからもっと稼ぎのいい仕事の紹介が出来ますよ」
「そうなのか?」
ライムが紹介してくれたのは緊急の依頼で、一回で金貨1000枚の手に入る依頼だった。
「街道で土砂崩れが起きたらしくフォレスタリアの町と連絡が取れなくなってるので、災害の規模の調査です」
ライムが教えてくれる。
「フォレスタリアなら徒歩で半日の距離。街道の途中で災害が起きているなら往復で1日も掛からない依頼なので楽な仕事ですよ」
「楽なのはありがたいけど、金貨1000枚じゃ全然足りないんだけど……」
「フォレスタリアの依頼をやってるうちに、なにかいい依頼が無いか探しておくね」
「おう、すまない」
俺たちは金貨1000枚を稼ぐ為に、フォレスタリアの依頼を受けることにしたのだった。




