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ソニアの新しい角

 ソニアはあの巨体のドレッド・ブルの頭を楽々と砕いた。


 牛っていうものは突進に使う頭が唯一の武器でやたら固いって聞いたことあるけど、それを一撃で砕くソニアは凄いもんだ。


「ソニアは相変わらず力だけは凄いな」


 俺が素直に褒めてやったんだけどソニアは複雑な表情をする。


「力だけっていうのはちょっと引っかかるんですが……」


「でも、ソニアは足がおそいじゃん」


「はうっ! でも、この筋肉質な身体とか張りのある胸とか興味湧きません?」


 腕を組んでやたら胸を強調するソニア。


 俺は言ってやった。


「俺は女の人の胸の大きさはあまり気にしない」


 まあ、これは嘘だ。


 さっきソニアに飛びついた時は途轍もない弾力に驚いた。


 でも、それを認めたら「女は所詮身体」とか言ってるエロ親父と同じような感じで世界の女性のほとんどを敵に回すというか、なんか己の性欲に負けたような気分になるじゃん。


 だから、口には出さない。


「はう……」


 それを聞いてソニアはしゅんとなり、なぜか勝ち誇るちんまりアイラ。


 ソニアはなにかを思い出したのか元気を取り戻した。


「そう言えば、わたしの角をドレッド・ブルの角とチカンしたので力が倍ぐらいになった気がします」


「それは凄い!」


 俺が褒めてやるとソニアは素直に喜んでいる。


 ソニアって強い魔物の角と変えると更に力が強くなるのか。


 ホーンラビットの角とソニアの砕けた角をチカンした時は元の力の1割ぐらいを取り戻したと言っていたから、今はその倍で2割ぐらいの力を取り戻したのかな?


 2割であの力なのか。


 元のソニアってどんだけ強かったんだよ?


 きっと殴られたら顔面がペシャンコで凹むぞ。


 怒らせたら怖そうなので足の遅さをからかうのはもうやめとこ。


 *


 ツヴァイの町に戻り、武器屋に行って事情を説明して失くした剣の代わりの新しい剣を売ってもらうことにした。


 武器屋のおっちゃんは上機嫌だ。


「あの手紙に『ドレッド・ブルに負けない冒険者に運搬を頼んだから安心だ』と書いてあったのでもしかしたらと淡い期待をしていたんですが、まさか倒してしまうとは!」


「俺たちはグレート・サイクロプスを倒したことがある冒険者パーティーのリプレイスメント。ドレッド・ブルなんて余裕です!」


「ほえー!」


 武器屋のおっちゃんは驚きのあまりアゴを落として床を這いつくばって探していた。


 嘘だけど、そのぐらい驚いていた。


 おっちゃんが胸を叩いて言う。


「剣はおっちゃんの奢りで再度手配してやる。もちろんリアカーも新調だ!」


「いいの?」


 アイラが遠慮気に聞くとおっちゃんは笑っていた。


「お嬢ちゃんが可愛いからサービスな」


 *


 タウンシアに戻り、武器屋のおっさんに剣を渡すと驚いていた。


「なんか、いつもの剣よりグレードが少し高いみたいだし、リアカーも新しい気がするんだがどうなってるんだ?」


「色々あってね……」


「色々」


 それを聞いたおっさんは喜んでいる。


「それじゃ、おじさんも奮発しないとな」


 そう言って約束の装備の包みをアイラとソニアに渡した。


「今夜はお楽しみに」


 退店際に見せたソニアとアイラの笑顔が何か引っかかる。


 *


「じゃーん!」


 その夜、宿の部屋で新装備のお披露目会をしたんだけど……。


「そ、それは伝説の……」


 ソニアとアイラはとんでもない装備を着込んでいた。


「ビキニアーマーです」


 やたら肌の露出度が高いのに防御力は黒鉄の装備よりも高いという、ファンタジー界の七不思議の一つであるビキニアーマーだった。


 そんな伝説の装備を武器屋で報酬として貰っていたのだ。


 二人は俺に擦り寄って来る。


「アルク様が全然そういうことをしてくれないのでわたしたちからアルク様に迫ることにしました」


「アルクはヘタレ」


 二人のビキニに挟まれる俺。


 これは人生初の俺の大黒柱のこけら落としになるのか?


 俺、今夜どうなっちゃうの?

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