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草原のドレッド・ブル戦

 ――ドレッド・ブルは突進の構え!

 ――ドレッド・ブルは突進だ!

 ――アルクたちは必死の飛び退きで避ける。

 ――だが、突進を食らったリアカーがお空の星になってしまった。


 やべーぞ! こいつ!


 この牛、とんでもない破壊力だ!


 しかも突進が速い!


 背中に翼を授かってるんじゃないかと思えるぐらい地面を滑るように走る。


「どうすんの、これ?」


「どうするんですかね?」


 俺が元戦士のソニアに倒し方を質問したら質問で返してきやがった。


 質問を質問で返すなや。


 アイラが避けながら叫ぶ。


「わたしの魔法でなんとかするから、アルクは30秒だけでいいので牛の(おとり)になって!」


「わかった!」


 アイラは魔法で落とし穴でも掘ってあのドレッド・ブルを落とし穴に落とす気なんだろうか?


 それだと結構大きく深い落とし穴が必要だぞ。


 魔法を使ったとしてもたった30秒でアイラがそんな落とし穴を掘れるとは思わないが他に作戦を思いつかないのでアイラに賭けるしかない。


 俺は囮役をすべく、ドレッド・ブルの注意を引く。


「のろま牛! 俺はこっちだ!」


 注意を引くべく石を投げるが毎度の如く当たらず。


 でも俺が石を投げたことでドレッド・ブルは怒り狂う。


「ブンモー!」


 物凄い鼻息で飛ばされそうだ。


 ――ドレッド・ブルは突進の構え!

 ――ドレッド・ブルは突進だ!

 ――アルクは必死の飛び退きで避ける。


 ドレッド・ブルは突進をしてきたが、俺はギリギリとこで避ける。


 なんどか避けていてわかった。


 このドレッド・ブル、身体がバカでかいだけで動きはワイルド・ボアと変わらない。


 ダッシュ命の直線攻撃タイプだ。


 ダッシュを始めてから避ければ軌道修正が出来なくて余裕で避けられる。


 *


「アルク様! 今助けに行きます!」


「来んな! 足の遅いソニアじゃ足手まといだ」


「はうっ!」


 アルク様に足手まといと言われた。


 わたしはその場に座り込み地面に落書きをしてイジけていると、アイラが背中をぽんと叩く。


「ソニア、イジけている暇なんてない」


「でも、アルク様になにもするなと言われた」


「わたしからは大切な役目がある」


「そうなのか?」


 わたしの気分は急に晴れ渡り明るくなった。


 アイラはわたしにドレッド・ブル倒すを作戦を説明する。


「なるほど。そうやればドレッド・ブルを膝まづかせることが出来るんだな!」


「がんばれソニア! この作戦の成否はソニアの脚力に掛かっている」


「頑張る!」


 *


 俺はドレッド・ブルから必死に逃げ回っていると、30秒経ったのかアイラの声がかかった。


「アルク、こっち!」


 アイラの言われた方に向かうが、どこにも落とし穴なんて掘れてなかった。


 落とし穴を掘った形跡なんてどこにも無くて、アイラとソニアがいるだけだ。


 俺が30秒間ドレッド・ブルから死ぬ気で逃げ回っていた労力はなんの為だったんだよ?


 ドレッド・ブルの角に刺されそうになってお尻の穴が増えるとこだったんだぞ!


 ソニアも叫ぶ。


「アルク様、わたしの胸に飛び込んできてください!」


 アイラがなにをしようとしてるのかが、よくわからないが俺はソニアの指示通り胸に飛び込む。


 ボン!


 俺の身体はソニアのボリューム感のある大きな身体で包み込まれる。


「捕まえたぞ!」


 ソニアはそう言うと、大きな両手で俺の身体をがっしりホールド!


「はい!」


 その返事と同時にアイラが魔法を詠唱した。


「ストーン・ピラー!」


 ズゴゴゴ!


 凄まじい振動と音が足元から鳴り響く。


 アイラの唱えた魔法で突如地面がせり上がったのだ!


 そしてあっという間に高い柱の上に立つ俺とソニア。


 その高さはあれほど大きかったドレッド・ブルを見下ろせるほどだ。


 ドレッド・ブルは突如現れた石柱に頭をしこたまぶつけて気絶していた。


 ソニアがドレッド・ブルに飛び降りる。


「飛び降りますよ!」


 って、言う前にもう飛び降りてるじゃねーか!


「うぎゃー!」


 紐無しバンジーかよ!


 俺は情けなく悲鳴を上げた。


 そして俺もドレッド・ブルと同じく気絶。


 ソニアが呼びかける声で目が覚めた。


「アルク様! 起きて下さい!」


「むにゃ?」


 俺が目を覚ますと、目の前にはドレッド・ブルの角。


 どうやら俺は今、ソニアとドレッド・ブルの頭の上にいるようだった。


 地上にいるアイラが豆粒のように見える高さに眩暈(めまい)がする。


 ソニアは俺が次にやるべきことを話した。


「さあ、ドレッド・ブルの角をチカンをしてください」


「チカンをするって、ワイルド・ラビットの角なんて持ってないだろ?」


「角ならここにありますよ」


 そう言うソニアは自分の角を指さした。


 確かにソニアの角は有るんだけど……折れても無いのにチカンしちゃっていいものなのか?


「さあ、ドレッド・ブルが目を覚ます前に早く!」


 でも悩んでる暇なんてない。


 本人が言うんだからやるしかない。


「お、おう」


 俺は右手にソニアの右角、左手にドレッド・ブルの右角に触れチカンスキルを発動。


 幸いなことに、ソニアの右角は折れてもいないのに『チカンカノウ』の表示だ。


 俺はソニアの角をチカンした。


 それと同時にソニアが叫び(うずくま)る。


「うああぁぁ!」


 そして足元のドレッド・ブルも叫んだ。


「ブモモモモモー!」


 どうやらチカンは成功したようだ。


 ドレッド・ブルが暴れて俺たちは振り落とされボロボロになったが、ソニアだけは俺が抱きしめていたので無事だ。


 代わりに俺がソニアの下敷きになってボロボロだけどな。


 アイラがソニアに回復魔法を掛けると立ち上がる。


「さあ、とどめを!」


「おう!」


 ソニアは斧を掲げ、うずくまるドレッド・ブルの頭をいとも容易(たやす)くカチ割った。

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