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俺はソニアにチカンする

 チカンスキルを使い、目の前の空間に浮かび上がったのはソニアの一糸(まと)わぬ裸体だった。


 ソニアの裸体であるのは間違いないのだが、全く(もっ)て卑猥な感じは一切ない。


 なぜならばソニアの肌は透け筋肉や内蔵などが透けて見える、俗にいう人体図だったからだ。


 むしろ、目を背けたくなる程のグロさ。


 こんなものを見るのがチカンスキルなのか?


 こんなのを見て喜ぶなんてニッチ過ぎる性癖だぞ。


 全く役立たずなハズレスキルじゃないか。


 俺は目を背けようとするがひとつ気になったことがあった。


 ソニアの角だ。


 二本生えた角のうち、向かって右の角が砕け散って本来は無いはずが人体図上では存在し黄色く点滅している。


 おまけに人体図には『チカンカノウ』とまで書いてある。


 『こんなとこ触ってどうするんだよ?』と思いつつ、俺は引き寄せられるように角を触ってしまった。


 すると頭の中に声が響く。


「この部位をチカンします。どれとチカンしますか?」


 そして新たに現れたのは『ホーンラビットの角』と書かれた文字と絵。


 これをチカンしろってどういう意味だよ?


 わけがわからん。


 わけわからんながら、頭の中に響く声に促されて俺はホーンラビットの角を選択した。


 その途端、ソニアが叫ぶ!


「うああぁぁ!」


「ど、どうした? 大丈夫か?」


「頭が……痛い!」


 俺は痛みを和らげるべくソニアを抱きしめる。


 ソニアの頭を見ると失ったはずの右角は光り輝いていた。


 息も絶え絶えのソニアが言葉を振り絞った。


「も、もう、大丈夫です」


 ソニアの角はもう光ってない。


 見ると足元には角の無いホーンラビットが転がっていて、ソニアの頭には角が復元されている。


「おい、ソニア! 角が生えているぞ」


「うそ?」


 ソニアは慌てて頭を触ると確かに失った筈の角の感触が手に伝わってくる。


 角の感触が確かなものだと確信したソニアは満面の笑みをこぼした。


「角が生えてます。アルク様、なにをしたんです?」


「『チカン』スキルを使っただけなんだが……」


 足元に転がる角無しのホーンラビットを見てソニアは『チカン』スキルの意味を悟った。


「もしかして『チカン』スキルとはえっちな意味の『痴漢』スキルではなく、物を置き換える『置換』スキルなのでは?」


「そうなのか?」


「間違いないです。この角は間違いなく生えています。その証拠にわたしは力がみなぎっています」


 試しにソニアが小石を投げると、ボウガンよりも速い速度で飛んでいきホーンラビットは角だけ残して爆ぜた。


 なにこれ?


 強くなるにしても限度があるだろ……。


 俺は口あんぐりだ。


 *


 どうやら俺のチカンスキルは置換スキルで間違いないようだ。


 なんだよ、このふざけたオチは。


 俺がどれだけ痴漢呼ばわりされて苦しんだと思ってるんだよ。


 俺が憤慨しまくってる一方、ソニアは力が戻ったみたいで大喜びだ。


「力が完全に戻ったのか?」


「まだ僅かな力ですが戻りました。ご主人様ありがとうございます」


 あれで僅かな力なのかよ……。


 オーガっ娘恐るべし。


 そしてソニアは俺の胸に頭をうずめた。


「ご主人様、ありがとうございます。大好きです。ソニアはご主人様に一生尽くします」


 脳筋種族のオーガなのに可愛いな。


 その夜の宿屋でソニアとどうなったのかは詳しく語るまい。


(俺がヘタレなのでなんにも起きなかったのは内緒。)


 *


 町へ戻った俺たち。


 ギルドに依頼完了の報告をしに行ったんだけど、ソニアはずっと俺の腕にソニアの身体を絡めていた。


 傍から見ても初めての事後を済ませたカップルというのが丸わかりだ。


 ソニアとの間にはなんにもなかったけどな。


 ライムさんが刺々しい感じで嫌味を言ってきた。


「ずいぶんとお二人は仲良くなったんですね」


「おおう」


 ソニアは満面の笑みで答えた。


「あの夜はわたしの人生の中で最高のひとときでした」


 それを聞いたライムさんは青ざめていた。


「アルクさんとやったのですか?」


 ソニアは笑顔で返すだけなので俺は慌てて取り繕った。


「な、なんにもしてないです」


 男が言い訳しても誰も信じてくれる訳も無く、ライムさんはソニアを鬼の形相で睨んでいた。


 誤解されるような反応はやめようね。

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