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初めての指名依頼

 そんな感じでしばらくの日々ウサギを狩りまくって稼いでいるとギルドの受付嬢であり幼馴染のライムに呼び止められた。


「チカンさん」


「チカンじゃねーよ! 俺にはアルクってちゃんとした名前があるの」


 ソニアも猛烈抗議だ。


「そうですよ、ライムさん! アルク様はたまにジトっとした目でわたしの胸の辺りを見てくるけど、決してチカンじゃありません」


 おい!


 ソニア、それフォローになってないから!


「そのジト目のアルクさんに指名依頼です」


「指名依頼だと?」


 俺たちのラビットスレイヤーの名声が轟いて、ついに指名依頼か。


 俺たちも出世したもんだ。


 どこから依頼が来たのかな?


 騎士団からかな?


 まさか王様からなんてことはないだろうな。


 ワクワクしながら依頼を確認したら、指名依頼はウサギ狩りとは全く関係が無かった。


 昇格試験の指名依頼だった。


 昇格試験とはギルド内の冒険者の階級を上げるための物。


 冒険者なりたての最低の者がなるFランクから国の英雄様のなるSランク迄あるらしい。


 ランクが上がれば受けられる依頼も増えるのでギルドとしても依頼を紹介しやすい。


「アルクさんがずっとFランクのままで居られるのはギルドとして困ります。そろそろ昇級試験の依頼を受けてEランクに昇格して下さい」


「そう言われても、俺たちはウサギしか狩れないしな」


 ライムは有無を言わせぬ毅然とした態度で、俺の苦情をスルーする。


「拒否権はありません」


 ギルドの指名依頼に拒否権なんて存在しないんだな。


 まあ、仕方なし。


 俺は諦めて指名依頼兼昇級試験を受けることにした。


「昇給試験てなにをすればいいんだ?」


「この荷物を隣村に届けるだけです」


 あーん。


 わかったぞ。


「Eランク依頼で報酬が低いわりに時間が掛かって面倒で誰も受けたがらない荷物配達の依頼を、昇級試験と偽って俺たちに押し付ける気だろう?」


 俺の指摘が図星だったらしく、ライムは目を泳がせ吹けない口笛を吹いていた。


「荷物運びみたいな子どもでも出来る簡単な依頼で昇級できるんだからありがたく思って下さいよ!」


 そう言って受付嬢のライムは減らず口を叩いていた。


 *


 ギルドの指名依頼を拒否できないのは事実なので、俺たちは隣村の『ビレジ』に荷物を届ける依頼を受けることにした。


 隣村迄徒歩で丸一日掛かるけど、馬車も通れない田舎道しか通ってないので盗賊も現れない気楽な旅路だ。


 俺たちは遠足気分で出掛けることにした。


 道中、暇だったのかソニアが話し掛けてくる。


「アルク様の天職はなになんですか?」


「チ……」


「チ?」


「チカン師だよ。謎の職業チカン師!」


 俺の天職がチカン師だと言うことを聞いても街の連中と違ってソニアは笑うどころか興味を持って聞いて来る。


 ソニアはいい子だな。


 俺のソニアに対する好感度が爆上がりだ。


「聞いたことの無い天職なんですけど、それってどんな職業なんですか?」


「しらん」


「しらないんです?」


「だって戦ってないからずっとLV1のままで、スキルをひとつも持ってないからどんな天職かさえわからない謎の天職のままなんだ」


「じゃあ、チカン師らしく試しにわたしの胸でも揉んでみます? 条件達成でスキルが貰えるかもしれませんよ」


 ソニアの申し出に俺の目がソニアの張りのいい胸に吸い寄せられる。


 だけど、いくらソニアが俺のサビアだと言っても、彼女でも無いんだから胸を揉むなんてことは出来るわけが無い。


 そこは(あるじ)としてサビアを所有する者としての分別(ふんべつ)だ。


「そ、そんなことしねーよ!」


 さすがに彼女でもない俺に好感度を持っている女の胸を理由を付けて揉むなんてことは俺には出来ん。


 結局、二人で話し合った結果レベルが上がったら何らかのスキルが取れるんじゃないかの結論で、ビレジの村に荷物を届けたあとウサギを狩ってレベルを上げてみることにした。


 まあ、レベルが上がって取れたスキルが『チカン』とか言うスキルでズッコケるオチしか見えん。


 俺でもモンスターが狩れるのか?と疑わしかったけど、ソニアが詳しくやり方を説明してくれた。


「いいですか? ホーン・ラビットはボウガンでわたしが仕留めますから、石でも剣でもなんでも構いませんから先に攻撃して下さい」


「倒さなくてもいいのか?」


「ええ、倒すのはわたしがしますから、わたしが攻撃するより先に攻撃を当てて下さい。当てるだけでいいです」


 もちろん、俺の攻撃はノーダメージだ。


 でもソニアはそれでいいという。


「わたしが倒す前に一度でも触れていれば二人で倒したことになりますから、アルク様も経験値GETです!」


 日が沈むまでウサギ狩りを繰り返しているとレベルが3に上がってスキルを覚えた。


 覚えたスキルは予想通り『チカン』だった。


「やっと立派なチカンさんになれましたね」


「嬉しくねーよ!」


 こんなスキル覚えてどうするんだよ?


 試しにソニアに使ったらあんなことや、こんなことが好き放題出来るのか?


 でも、無理やりやったら愛想尽かれそう。


 やめとくか……。


 と思ったんだけど、手が滑った!


 わ、わざとじゃないからな!


 俺はチカンスキルが発動したことでとんでもない物を目にしたのであった。

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